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第70話 緊迫のルーレット
「ノーモアベット」
5回目のコールがされる。さっきまで山と積んであったチップがもう残り少ない。ジェフが言われたままチップを置くのにだんだんとじれてきてる。
そりゃそうだろ。置けども置けどもかすりもしない。佐山もずっと黙ったままだ。
だからと言って、おいそれとは話しかけられない。『大丈夫?』なんて聞いたところでどうしようもないしな。
――――負けが決まったら、こいつをひっつかんで逃げるか。どのみち、こんな勝負乗る必要ないんだ。やくざでもないのに。ただ、後でまた嫌がらせされるのかなあ。それはちょっと憂鬱かも。
しかし、ずっと青ざめて小刻みに震えてるショーンが心配だ。彼だけでもテーブルから離れさせたいけど、動かないだろうな。
でかい二人の向こうにいるから話しかけることもできないでいる。
「よし、あと2回だね。私はだいぶ回収させてもらってるよ」
ビルが嫌味たっぷりに楽しそうに言う。当てれば勝ちなので、チップのかけ方は自由だ。
あの野郎は1数字賭けには低額のチップを置き、アウトサイドベット(偶数奇数や赤黒などの賭け方)で賢く稼いでいた。
「おい、佐山。オレたちも賢くやろうぜ」
「うるさいな。俺の言う通りにやってろ。言い出したのはこっちだ。俺はズルはしたくない」
「っな、もう……なんで今そんな頑ななんだよ」
じろりと佐山と僕と、ついでにショーンに睨まれるジェフ。誰のおかげでこんなことになっていると?
さすがのジェフも若干小さくなった、若干だけど。
「ショーン、向こうで珈琲でももらおうか。もう、終わるし」
僕は6回目のボールが音をさせて回ってる間、ショーンに背中から声をかけた。
「無理だよ。今ここを離れられないっ」
だよね……。僕は彼の近くまで行って耳打ちした。
「もし負けて終わったら、とにかく走って逃げるんだ。僕は佐山を引きずってでも逃げるから、ショーンもジェフと逃げて」
「わかった……そうする。あの……」
「謝んなくていい」
僕は今度は素の笑顔で彼の肩をぽんぽんと叩く。それから自分の席に戻ると、またチップがディーラーにさらわれていくのを見送った。
佐山が呼吸をしていないように思える。ずっと動かない。時折、ジェフにチップを置く場所を指示する声だけが聞こえるだけだ。
――――あいつの手を握りたい。だけど、集中しているようにも思えてできない。
真向かいに陣取るビルがチップが動くたびに嫌味を言ってくる。僕はそれに付き合ってやった。佐山は話したくないみたいだし、そのまま放置するのもなんだか良くない気がする。
あまり気の利いたことは言い返せなかったけど、そん時はジェフが適当なスラングで紛らわせてくれた。
6回目も当たらない。ついにラストだ。ビルの野郎が下劣な笑みを浮かべて上機嫌だ。僕は佐山を見上げる。あいつは一つ、息を吐いた。
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