77 / 102
第71話 勝負の行方
「さて、この馬鹿馬鹿しいお遊びも最後だね。ここらで私もワンナンバー当たらないかな。ちょっと真面目に置いてみるとするか」
いちいち癇に障る文句を並べるビル。僕も何か言い返したかったがここは黙っていた。
「そうそう、君の処遇だけどさ。ただもらっても仕方ないから、ここのゲイバーで、ストリップでも踊ってもらおうかな。君なら売れっ子になるよ」
「なんだと!?」「そんなことさせられるかっ!」
僕とジェフが同時に叫んだ。こいつ、マジで許さん。僕はあいつに掴みかからんばかりに立ち上がったが、先にジェフが手を出しそうになった。
「やめろ、ジェフも倫も座れ」
「でもっ」「サヤマ……」
佐山に制され、僕とジェフは憤然としながらも元の場所に下がった。
「へえ、そりゃ楽しそうだな。まああと1回あるんだ。お楽しみはそれからにしてくれ」
ようやく口を開いた佐山が落ち着いた様子で口角をついっと上げる。余裕なのか、それとも観念したんだろうか。いや、そんなはずはない。
「よろしいですか?」
ディーラーが声をかける。佐山はゆっくりと頷いた。
「プレイスユアベット」
勢いよくウィールが回る。少しの間を置いて、ディーラーが美しい仕草でボールを投げ入れた。
「ジェフ、最後だ。あんたの好きなところ賭けていいぞ」
「え……いや、駄目だ駄目だ。そうだ、リンの好きなところでどうだ?」
「馬鹿言うなよ、無理だよっ。無理! 佐山、どこがいいのか言ってくれ」
突然振られたって無理だ。頭がこんがらがるじゃないか。僕らが譲り合ってる間に、ディーラーが催促の眼差しを送ってきた。
「じゃあ、リンの誕生日だ。それでいいか?」
ジェフが佐山に尋ねる。あいつは満足そうに首肯した。
「ああ、それでいい」
佐山は最後のベットに自信があるんだろうか。だから、僕の誕生日でいいなんて……それとも、もうどうでもいい?
「18だ」
僕がジェフに言うと、分厚い手のひらでチップを押し置いた。ビルは既に数字を決めていた。佐山はいつも通り、ノーモアベットの声がかかる寸前、狙った数字にチップをずらす。
――――21……。
覚えがない。多分なんの記念でもない数字だ。あいつはどうしてこの数字を選んだんだろう。
「ノーモアベット」
軽快な音を鳴らして飛ぶように転がっていくボール。4人とビルの目がウィールに注がれる。ジェフが息を呑む音がする。まさに固唾を飲んでボールが納まる場所を睨みつけてるんだ。
「佐山」
僕はこの時、初めてあいつの手を握った。ぐっと握り返してくれる佐山。汗ばんでいるのは僕の手のひらで、あいつのはいつもと変わらず暖かいばかり。
このボールが思わぬところに止まったら、僕はこの手を放さず走って逃げる。そう心に決めた。
少しずつウィールの回るスピードがゆっくりになっていく。同時に数字がだんだんと輪郭を表し、目で追えるようになってきた。
ついさっきまで上機嫌で美女と自慢話してたビルが、体を乗り出し、食い入るように見ている。
――――ボールが止まる。
ぴょんぴょんと跳ねていたボールが自分の居場所を決めようと小さな動きに変えていく。
――――18と21は1つ置いて隣の数字だったんだ!
「どっちだ!?」
それに気付いたジェフが興奮気味に叫ぶ。ボールは21、6、18と転がっていく。
「止まれー!」
4人全員、一斉に命令するばかりに叫んだ。ビルも無言で立ち上がる。いよいよ、ウィールは静かにその回転を止めた。
白いボールはわずかに揺らしながら、赤の18番にその身を収めた。
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。