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第72話 甘いご褒美
あいつの汗ばむ背中に、僕は腕を強く絡ませる。僕の耳元に荒い息を吐きながら暴れるあいつを感じて脳も身体も痺れているよ。
セミスィートのベッドの上は、僕らが繰り広げる痴態にシーツもよれて皺を作っていた。
さっきまでは汗もかかないほど冷静だったあいつが、今は興奮に濡れている。いや、興奮してるのは僕の方か。
「キス……して」
もう何十回めのキスだろう。僕はあいつのキスを求める。佐山は躊躇することなく、少し厚めの唇で僕を食らわんばかりに覆ってきた。
艶めく舌で唇をなぞられ、息もさせじと深くねじ込まれていく。痺れていた脳はさらに段階を上げて暴走する。
――――好きだ……お前が好き過ぎて感情が止まらない。
「あ……ああ、ううんっ」
苦し気に息を吐きながらあいつにしがみつく。
「まだ……足りない……ようだな」
唇から耳たぶ、首筋と唇を這わせる佐山。僕は息も絶え絶えに応えた。
「まだ……足りないよ。もっと、欲しい……おまえが欲しいよ……」
あいつがふっと笑うのを感じた。おかしければ笑え。今の僕にはおまえに抱かれることしか考えられないんだ。
「奇遇だな……俺もだ」
息を一つつくと、また甘くて熱いキスが降ってきた。
ほんの数時間前、僕らはルーレットテーブルの前で歓喜に湧いていた。約束の10投目。白いボールは僕の誕生日、18の目にコロンとその身を投じてくれた。
「佐山……っ」
僕は隣で茫然としてるあいつに抱きつき、勢いのまま濃厚なキス! 驚きと感激で脳みそが爆発してたよ。
ジェフもジャンプして大騒ぎ、泣き出すショーンを抱きしめてた(と思う。実際僕の目には佐山以外何も映らなかったから)。
忌々しそうな表情のビルを残し、僕らはテーブルを後にした。ま、長居は無用だよ。
勝ち取ったチップを交換し祝杯を上げるとすぐ、佐山と僕は自分たちの部屋に戻った。ずっと体が疼いて仕方なかった。早くおまえに抱かれたくておかしくなりそうだったんだから。
そのままシャワー室に飛び込んで、勝利の美酒を味わう。体を拭くのももどかしくベッドになだれ込んだ。
外は既に朝日が昇り光り輝いている。僕らが激しくお互いを求めあった末ようやく眠りについたのは、健康志向の観光客がモーニングビュッフェに並ぶ頃だった。
マナーモードにしてあったスマホに着信を知らせるライトが点滅している。気だるい肉体をくねくねと動かし、腕を伸ばした。もう昼過ぎだ。
――――マイケルか。休み中に申し訳なかったな。
マイケルにはビルのことを尋ねてた。どうしても、これが偶然に思えなかったからだ。
ホテルはスティーブのおススメだったけど、彼がビルに伝えるなんて考えられないし。
メールには、ビルもスティーブもここが定宿だったから、使うことは不思議ではない。だけど、同じ日に来るなんて解せないとあった。
僕らがベガスにいることはスタッフの数人しか知らないし、ビルに告げ口するなんて有り得ない、と。
確かにそうだよな。マイケルは困ったことになってたらすぐ連絡してと言ってくれてる。無事に生還出来たって送っておこう。
だけど、本当にこれって偶然なんだろうか。
「どうしたあ? ふー、さすがにダルいー」
佐山がシーツから脱皮するごとく這い出してきた。髪がぼさぼさ。あ、僕がかき混ぜたからか。えへへ。
「いや、マイケルから生存確認。元気に遊んでるって送っておくよ」
「へえ。まるで保護者だな。ベガスでカジノ廃人になってないか心配したか」
「だね」
あいつはベッドに座る僕の後ろから抱きついてくる。お互いの肌が触れ合うと、まるで磁石のようにくっついた。
「でももうカジノはいいや。腹一杯」
「あー、僕ももういいかな。今夜はお待ちかねのライブがあるし、それまでは
食事しがてらショッピングでもしよう。ショーン達も誘うか?」
「えー? あいつらはいいよ。俺はあんたと二人で歩きたい」
体重をかけ、顎を僕の頭にグリグリしてきた。あいつが纏っている空気。匂いも含めて全部が愛おしい。
頭から肩の上に移動してきたあいつの頬にキスをする。ぽつぽつと生え始めた無精ひげが鼻の頭を擦った。
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