【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。

紫紺

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第12話 自意識過剰

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 そんなことがあっても、僕は上機嫌で風呂から上がった。やっぱり気持ちいい。そして初めて腕に通したこのパジャマ! なんかすべすべで光ってるんですけどっ! 肌触りが良すぎてきっと僕の肌が驚いてることだろう。

 色々感動しながら寝室に行ってはたと気が付いた。晄矢さんは僕と入れ違いで風呂に入っている。無人の寝室にでかいダブルベッドがどかーんと鎮座している。

 ――――そうだった。ダブルベッドだよ。

 僕は自分の荷物から寝袋を取り出した。はじめからそのつもりだったのだ。

 ――――どこで寝よう。やっぱり隣のソファーの上がいいかな。

 部屋をうろうろしてると、見慣れないものが目に付く。まあ、この部屋にあるもの全てが、僕の生活圏にあるものとは別物だけど、値段的に。
 晄矢さんの書斎机の横に、ガラス製のチェスが置いてあった。見た目も綺麗だから置物なのか、それともチェスを嗜まれたりするのかな。ま、なんでもいいか。結局僕は、ソファーの上に寝袋を置くことにした。

「おい、何してる」

 僕が寝袋を広げていると、髪を拭き拭き晄矢さんが現れた。うっ! 上半身裸だ。僕は思わず目をそむける。
 やっぱり夢の通り、綺麗な筋肉と厚い胸板がこれでもかと男らしさを主張している。やばい、心臓が……。

「いえ、えっと……」
「そうか……なるほどな。でも、涼はベッドで寝ろ。どうしても二人で寝るのが嫌なら俺がここで寝る」
「それは……」
「ダブルベッドっていっても広いから、触れることはないよ」
「あの……でも僕は寝相が悪くて……」

 嘘だ。いつも寝袋で寝てるから、寝相が悪いなんてわかりはしない。それどころか、エジプトのミイラみたいに微動だにしない自信がある。

「それにこれは確認済みの案件だ。それを承知で来たはずだよね?」

 晄矢さんの言う通りだ。略式ではあるけれど、今回のバイトは書面での契約がされている。日給や決まり事なんかもそこに記してあり、確かに『ダブルベッドでの就寝』は入っていた。

「もし誰かが突然入ってきて、涼がここで……寝袋なんかで寝てたら疑われるだろ?」

 そう諭されて、僕は頷くしかない。

「心配しなくても襲わないから」

 晄矢さんはくすりと笑って、寝室に入っていった。ひええ。確かにそう言われてしまうと、こちらが自意識過剰過ぎて赤面するよ。

 ――――君の許しなしにはしない。

 晄矢さんはそう言ってた。これはバイトなんだから、信じていいはずだ。仮にも相手は超有名弁護士なんだ。
 僕は恐る恐るベッドに入る。しかし布団の中に潜り込んですぐに分かった。その気持ちよさたるや! 
 横に晄矢さんがいることなんか忘れ、僕は秒で眠りに落ちてしまった。


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