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坂道
しおりを挟む私が幼少の頃は東京都〇〇〇市に住んでいた。
〇〇〇駅から徒歩で数十分ほど離れたところにある第三小学校に通っていた。
当時は小学4年生だった私は、母子家庭で両親の離婚で〇〇〇市に引っ越してきた。
私の家から少し離れた場所には“みよし坂”と言う坂道があり、当時の小学生だったクラスメイトは皆知っている坂道があった。
その坂道は学校に向かう時は下り坂で帰りは上り坂で、長さが約50mぐらいの坂道だった。
坂道の片側が塀で囲われ坂道の下まで続いていて、その反対側には急な坂道に住宅が段々になるように立ち並んでいたが、空家の看板が坂道の下まで続いている事は今でも覚えている。
小学校も転向したばっかりで新しい友達と仲良くなると一緒に帰ることも多くなるのだが、帰り道に“みよし坂”を友達は避けていて、それを私は坂道が急すぎて疲れるからだと思っていた。
しかし、坂道を通ると家には最短で帰れるので、好きなテレビがある時や急ぎの用事がある場合はどうしても“みよし坂”を通って帰りたいのだが、友達は坂道を上ろうとしないので、この坂道を通るときは独りで帰っていた。
当時の友達にも“みよし坂”を上らないのはどうしてか、と聞いても誰もが話を濁すように「不気味だしね」とか「わざわざここを通らなくたって帰れる」と言うばかりで口にしないようにしているようだった。
確かに坂道が急な上り坂で小学生の私が正面から見ると、坂道が視界がいっぱい広がるような急な坂道であった為、昇り終わった時には少し息が切れるほどだった。
ある日の事、私は兄と学習塾に通っていたがたまたま兄が風邪で休み、独りで夜中21時頃だったろうか、学習塾から家に帰る道。
季節は夏だったので外は夜にも関わらず、汗で肌に服が張り付くような蒸し暑い夜だった。
私はいつも兄と帰っていたこともあって、兄がいないとなると帰り道はどうしても心細くなって、夜の暗がりを出来るだけ早く抜けて家に帰ろうと急いでいた。
そこで私は最短で家に帰れる“みよし坂”を通る事にして坂道を上り始めた。
異変に気がついたのは坂道を上り始めて数分後であった。
坂道を照らしている外灯の明かりが何度か通り過ぎているのに坂道が終わらない。
急に怖くなった、その場から通り過ぎていく外灯の数を数えていく、一つ、二つ、三つ…。
六つ、七つ、八つ、九つ、しかし坂道はまだ続いていた。
頭でおかしいとわかると急な寒気と恐怖で心が押しつぶされるようだった。
それでも足を進めるしかない、見上げたり、振り向いたりしたら何か見えてしまうじゃないかと言う恐怖で坂道を見ながら上るしかなかった。
早く終わって欲しい、誰か助けて、と心の中で声にならなかった思いが何度も何度も浮かんでは消えていくが坂道は続く。
上るにつれて息が切れてきて、頭に酸素が回っていないのか恐怖を感じながら、意識と足の力が限界に向かっていくのがわかった。
そして、ついには限界を迎えて、その場に手と膝をついて芋虫のように丸くなっていた。
恐怖で震える体、あふれ出す汗と涙、押しつぶれた心の中で目を瞑って助けてくださいと何度も呟いた。
それからどれくらい時間が経っただろうか、自分でも良くわかっていない。
しかし、急に意識が寝て起きた時のように覚醒してきた。
恐る恐る目を開けて周りをみると坂道の頂上にいた。
そこから私は全力で走って家に帰った。
そのおかげで私はあまりにも疲れで寝るときには泥沼にはまる様に眠りついた。
その後、知ったのは坂道の片側に塀の向こう側に広がるのは広大なの墓地だと言う事だった。
そして坂道の立ち並んだ無数の空家、友達が濁した話。
それから私は出来るだけ夏場は坂道を避けるようになった。
“みよし坂”は今でも残っている。
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