ミストルァルタ 第一巻 失った記憶 と 八卦炉の“謎ノ石”

そして中に居る主は語り出す──

そして中に居る主は語り出す── 11

「ちょっ！
ミストルァルタ…っ！
博士リークっ！」

「すぐに準備するである」

「んみゅ？」



ミストルァルタが不思議そうに言い、そして呟くように発された言葉に全員が同じ強い驚きの言葉を返した。
綾瀬が特に強く驚き、星月の方を見る。
星月がミストルァルタの方へと歩きながら言い、ミストルァルタを立たせる。



「えっ？
何々っ？」



ミストルァルタが星月に手を引かれるままに歩きながら言う。



「アンタちょっと博士に見てもらって来なさい！
ちょっと変よ！」

「はい?!
何でぇー?!」



綾瀬がミストルァルタを見ながら言い、ミストルァルタが強く驚き、叫ぶように言う。
彼はその後も何かをゴチャゴチャ叫びながら星月博士に連れて行かれた。



「…あの、綾瀬殿。
ミストルァルタ殿は何処に…？」

「博士専用の研究室。
ミストルァルタまだ全ての検診が済んでないの。

…それより、なんだったのかしら、さっきの」

「全くの別人のようだったな」



賢が綾瀬の疑問に重ねるようにして言う。
誰もが大きく心で頷いただろう。

ミストルァルタ、明るく元気で無邪気なグラムヴィル。
けれど彼自身記憶喪失である為、何も分かっていない、謎のグラムヴィルでもある。