上 下
605 / 821
温かい場所

温かい場所6

しおりを挟む
小さな紙にはそう短い文章と共に小さな絵が三つと、署名欄が在った。

三つの絵の内、二つは以前ミストルァルタと服を買いに行った時に、時がクレーンで取ってミストルァルタにあげたぬいぐるみだった。

そして残りの一つの絵は、
私とミストルァルタがまだ出会ったばかりの時に、私が不安そうな表情で泣きそうな顔になっていた──といっても、もしかしたら私がそう感じただけかもしれないが──ミストルァルタに、想創そうそうノ民の力で創り出してあげた白い猫のぬいぐるみだった。

恐らく美術部員である時が描いたのであろうソレはとても凝っていた。



お前ら真面目に勉強しろ。



そう想いながらも、綾瀬は署名欄の自分の名に「賛成」と書くと、再びソレを火水夜に回した。

署名欄には「火水夜」──恐らくコイツが手紙と案の首謀者だろう──、
「時」──恐らくコイツも強く賛同した一人だろう──、
「勇気」──恐らくコイツもまた(以下略)──、
「羅姫」──きっとノリに乗ったのね──、
「水月」、「音」──二人とも巻き添えを食らったか…──、「綾瀬」と名が続いていた。



お前ら真面目に勉強しろ。



綾瀬は強く心の中で想った。
しおりを挟む

処理中です...