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第一花 二人の出会い
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白いソノ子は白いカトレアの海に居た。
手には杖を、手には手紙を持ち、迷うこと恐れずにと歌を歌っていた。
白いソノ子の姿を、迷わずに恐れずにと歌いながら赤いソノ子は走って飛び掛かった。
辿り着く場所さえ分からない それでも今想いを走らせるよ
アノ日と同じコノ空は君へと続いている
双子はそう明るく歌ってカトレアの海に身を沈めた。
かろうじて赤いソノ子だけが分かり、オランジュは遠くから眺めていた。
「まさか王室の間の隣に国花の室が在るとは想いませんでした、グランディア皇羽国王、王妃」
「アノ子達の癒しの庭で、私達の想い出の場所なの。
ね、陛下」
「ああ。
だがアノ二人からの手紙…、くぅ…」
「もう娘っ子なんですから」
「御二方とも双人を愛してらっしゃるのがよく分かります。
双人はいつも笑顔だ。
出会ったときから」
「時に姫よ。
貴殿はアカデミーに自ら志願したそうだな。
私達の娘達も、頼んだぞ」
「では…」
「うむ、先月推薦書を出しておいた。
アノ双子が近くから離れるのは寂しいものだが、これも運命(さだめ)。
アカデミーの魔法戦闘科に入学させるつもりだ」
「魔法戦闘科…」
オランジュが声を低くして言う。
ソレは死願書どころか推薦書がないと入学出来ない科目。
オランジュが自ら選んだ医療科とは訳が違う。
戦闘に特化する、ソレ即ち、何を意味するのか。
「まだ娘達は見ておらんが、近衛軍が出る事態がついに起きてしまったのだ」
「…レザナパレス」
「うむ」
レザナパレス。
そう名付けられたソレは、国花を枯らす、もしくは花護りを殺そうと企んでいる謎の組織だ。
特定禁忌魔法さえ扱う、…つまり自らの命を削ってまで戦う恐ろしい集団だ。
「貴殿も気をつけられよ、国花を護る花護りとして。
ソノ命、決して散らしてはならん」
「国花の消失は十二ノ大陸の均衡を崩し、滅びの道へ行きます。
そして花護りの死もまた同じ」
王と王妃が言い、王妃の側に純白の服の侍女がやって来て何かを渡した。
「コレを」
「…“コレ”は?!」
「貴女の役に立つ時が来るでしょう。
例え母国を離れたとしても、遠く国花から離れたとしても」
そして王妃は歌を歌う双子の子供達を見た。
「昨晩アノ子達にも授けました。
生(行)きなさい、貴女達は選ばれた者なのだから。
種はきっと導くでしょう──」
王妃のソノ言葉に、”ソレ”を授かった七歳になって間もないオランジュは最敬礼をした。
。
手には杖を、手には手紙を持ち、迷うこと恐れずにと歌を歌っていた。
白いソノ子の姿を、迷わずに恐れずにと歌いながら赤いソノ子は走って飛び掛かった。
辿り着く場所さえ分からない それでも今想いを走らせるよ
アノ日と同じコノ空は君へと続いている
双子はそう明るく歌ってカトレアの海に身を沈めた。
かろうじて赤いソノ子だけが分かり、オランジュは遠くから眺めていた。
「まさか王室の間の隣に国花の室が在るとは想いませんでした、グランディア皇羽国王、王妃」
「アノ子達の癒しの庭で、私達の想い出の場所なの。
ね、陛下」
「ああ。
だがアノ二人からの手紙…、くぅ…」
「もう娘っ子なんですから」
「御二方とも双人を愛してらっしゃるのがよく分かります。
双人はいつも笑顔だ。
出会ったときから」
「時に姫よ。
貴殿はアカデミーに自ら志願したそうだな。
私達の娘達も、頼んだぞ」
「では…」
「うむ、先月推薦書を出しておいた。
アノ双子が近くから離れるのは寂しいものだが、これも運命(さだめ)。
アカデミーの魔法戦闘科に入学させるつもりだ」
「魔法戦闘科…」
オランジュが声を低くして言う。
ソレは死願書どころか推薦書がないと入学出来ない科目。
オランジュが自ら選んだ医療科とは訳が違う。
戦闘に特化する、ソレ即ち、何を意味するのか。
「まだ娘達は見ておらんが、近衛軍が出る事態がついに起きてしまったのだ」
「…レザナパレス」
「うむ」
レザナパレス。
そう名付けられたソレは、国花を枯らす、もしくは花護りを殺そうと企んでいる謎の組織だ。
特定禁忌魔法さえ扱う、…つまり自らの命を削ってまで戦う恐ろしい集団だ。
「貴殿も気をつけられよ、国花を護る花護りとして。
ソノ命、決して散らしてはならん」
「国花の消失は十二ノ大陸の均衡を崩し、滅びの道へ行きます。
そして花護りの死もまた同じ」
王と王妃が言い、王妃の側に純白の服の侍女がやって来て何かを渡した。
「コレを」
「…“コレ”は?!」
「貴女の役に立つ時が来るでしょう。
例え母国を離れたとしても、遠く国花から離れたとしても」
そして王妃は歌を歌う双子の子供達を見た。
「昨晩アノ子達にも授けました。
生(行)きなさい、貴女達は選ばれた者なのだから。
種はきっと導くでしょう──」
王妃のソノ言葉に、”ソレ”を授かった七歳になって間もないオランジュは最敬礼をした。
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