病弱な公爵令嬢(?)の家庭教師~その正体は?~

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第1章 ディアス公爵邸編

第21話 星読みの魔女とは

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「星読みの魔女?」

 ドルーの言葉に反応したのは、私だけではなかった。ザカリー様は鸚鵡おうむかえしをして尋ねる。

 しかし、答えたのはドルーではない。

「……大層な名前ですが、占い師みたいなものです」

 私はすぐに弁明した。
 ザカリー様は私が魔女だということは知っていても、どんな魔女かは知らない。
 私の力を利用することはないだろうけれど、変に追及されるのは嫌だった。

 だって、『星読みの魔女』って恥ずかしいし、そもそも私には似合わない!
 こういうのは、お祖母様のように怪しげな雰囲気も持っている人物とか。あとは美女とか、そういう魔女に相応しいと思うから。

 絶対、嫌みを言ってくるに違いない。

「何を言うんです。妻の話では、予言のようなものだと」

 人の通り名をバラされた上に、このドルーという男は何を言うんだろうか。

「違います! 違いますからね、ザカリー様。私が読むのは、天気を当てる程度のもの。それよりも、この仰々ぎょうぎょうしくて、しち面倒臭めんどうくさい通り名を知っている奥様というのは、魔女なんですか?」

 私はさりげなく、話題を本来の道筋へ戻した。
 しかし、見逃してくれるザカリー様ではなかった。

「ドルーの妻が魔女だというのは本当だ。ルシアの薬は、その者から得ている。が、その星読みの魔女というのはどういう魔女なのだ、ドルー」
「聞く相手をお間違えではありませんか?」
「いや、そんなことはない。どうせアニタは答えるつもりなどないのだろう」

 ひ、否定はできない。

「今朝、妻から連絡を受けて初めて知ったので、詳しいことは」
「構わない」

 構います!

「星読みの魔女というのは、とても気まぐれで。依頼しても、読んでくれないそうです」

 依頼したからといって、その人物が受け取るメッセージではないことが多いから、結果的にそうなってしまうだけで……。

「しかしその内容は、国家レベルのものだとか」

 え? 誇張されていない? 養父なんて、ダイヤモンドの山だよ?

「今朝から雨が降っているのは、星読みの魔女が星を読んだからだ、と妻は言うのですが、本当ですか?」
「……」
「アニタ」
「……事実です。が、私は未熟者なので、読んでもその意味までは分かりません」

 どういうことだ、と言わんばかりに、ザカリー様は顔をしかめた。

「星はただ教えてくれるだけなんです。それが何を意味しているのか、誰に必要な言葉なのか。後になって、ようやくその事実を知る。私がする星読みとは、そのようなものなんです」

 だから、大したことではないのだ、と告げた。

「それよりも、本題をお忘れではありませんか? ドルーさんを呼んだのは、ルシア様のためですが、ザカリー様のためでもあるんですよ」
「俺の?」
「はい。まさか、ずっとルシア様の代わりをなさるつもりですか?」

 察しの良いザカリー様は、私の意図に気づいたのか、罰の悪そうな顔をした。
 そう、成人した後も女装をするんですか? と聞いたのだ。

「私はザカリー様の、成人なさった姿を見てみたいです。勿論、公爵様になられるところも含めて」
「……分かった。特等席で見せてやる」

 いえ、そこまでしてもらわなくても、と思ったが、黙って頷いた。

「それでドルー。ルシアの病状は、お前も把握しているのか」
「星読みについて、話を聞いてみたかったのですが、仕方がありません」

 残念がるドルーの姿に、少しだけ怖くなった。が、ここで引くわけにはいかない。

 さりげなくザカリー様の近くへ寄り、ドルーの言葉を待った。

「私自身は把握しておりません。妻がふらっと帰ってきた時に、ルシア様のところへ繋いでいるだけで」
「そうか」
「けれどご安心ください。公爵邸に星読みの魔女がいると知った妻から、手紙を預かっておりますので」

 そう言ってドルーは、懐から出した手紙を私に差し出す。

 相手がどんな魔女かも分からないのに、受け取れというの?

 渋る私を見て、ザカリー様はドルーから手紙を奪い取った。

「この魔女には俺も会ったことがある。大丈夫だ。何も問題はない」

 スッと差し出された手紙とザカリー様を交互に見る。
 真剣な眼差しで頷く姿に、私も覚悟するしかなかった。
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