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第5章 戸惑い
第28話 再び人へ
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ここは何処だろう。ふわふわする。
夢の中? それとも……死後の世界なのかしら。
けど想像より、薄暗い。もっと明るいところだと思っていたのに。
ううん。私はユベールのお祖母様やお父様方、ご兄弟を不幸にした身。薄暗い方が似合っている。
でも……。
「あんなに『死』を願っていたのに、今は……」
死にたくない。死が怖いんじゃなくて、ユベールを残していくのが怖かった。
私がサビーナ先生のところに行くことさえも、嫌がったユベール。
一人になりたくないと言ったユベール。
傍にいて、と懇願したユベール。
今の私は、そんなユベールが愛おしかった。ヴィクトル様に似ているからじゃない。私を求めてくれるからだ。必要だと、言ってくれるからだった。
何もできなくても、ただ傍にいてほしい、と。
役に立たない私の世話を焼きたがって、逆にその姿にアタフタしてしまった。
でもそれは、人形としての私に対しての行為だ。
ユベールは人間の私も必要としてくれるかな……。
いざという時でさえ、必要な時に必要な魔法が使えない私を、責めないでいてくれるかな……。
私に失望しないで、いてくれる……?
怖い……。もしも、否定されたら、と思うと聞くのが怖かった。けれど言わなければ、ユベールに伝わらない。
出会ってまだ三カ月。私もユベールの知らないところが多いように、ユベールもまた私のことをよく知らない。だから聞いてみないと。怖くても、勇気を出して。
「こんな私でも……ユベールの傍に、いていい?」
***
「勿論だよ。そう約束したじゃないか」
「約束?」
「あれ? もう忘れちゃった? それなら何度でも言うよ。僕はどんなリゼットでも傍にいてほしいって」
夢……なのかな。自分の望む言葉が返ってきた。だから今度は手を伸ばす。虚無に向かって。それなのに、あっさりと手を握られてしまった。
凄い。どこまでも都合のいい夢。このまま、ここにいたいな。
「だから、目を覚まして? 僕はここにいるから」
そうだ。心地よい夢の中にずっといたら、本物のユベールを一人にさせてしまう。
「一人にしないって、約束した」
私は手を伸ばした先の方を見据える。すると、その場所を中心に、一気に明るくなり始めた。その光があまりにも眩し過ぎて、私は思わず目を瞑る。
それでもユベールの声は聞こえて来た。
「そうだよ、リゼット。良かった、憶えていてくれて」
「うん。だって私も……一人になりたくない……から!」
叫ぶ勢いに任せて、私は目を開けた。途端、ユベールの顔が至近距離にあって、思わず飛び出しそうになる。けれど、その当人に肩を掴まれていて、身動きが取れなかった。
えっと、えっと、ここはどこ? というか、何が何で、何が起こったのーー!!
「良かった。なかなか目を覚まさないから、心配したんだ。おまけに寝言? みたいなのを言うから」
「え? え? もしかして声に出ていたの? さ、さっきの……会話……」
「うん」
キャャャャャャャャャャーーー!!
……つまり、あの時の会話は夢であって夢じゃなかったってこと?
「ど、どこから?」
「返事? それとも寝言? 『こんな私でも……ユベールの傍に、いていい?』って言うから、勿論だよって答えた」
それは……ほぼ全部……!
寝言を聞かれていたこと自体、すでに恥ずかしいことなのに。そんな平然と答えないで……!
私は毛布を鼻の高さまで上げた。けれどすぐに、ユベールによって剥ぎ取られてしまった。
「あー!」
「ダメ。リゼットの顔をよく見せてよ。ちゃんと赤い瞳を見たい」
「な、なんでー!?」
「だって、人形の時は小さくてよく見えなかったからだよ」
え?
「人形の時はって?」
「う~ん。自覚なしか。近くに鏡もないし……」
私の質問に応えずに、思案し出したユベール。説明し辛いことなのだろう、と思っていた矢先、突然、覆いかぶさるように抱き締めた。
「ゆ、ユベール!」
体を横にしていたから、さらに困惑してしまう。背中に回った腕のお陰で、ユベールの重みは感じない。が、今度は上半身を起こされた。
私は咄嗟に、宙に浮いた手をユベールの背に回し、服を掴む。と、そこで違和感を覚えた。
腕が余る。もう少し伸ばせば、抱き返せそうな感じがしたのだ。私はそのまま掴んでいた手を離し、腕を伸ばす。すると考えていた通りの結果になった。
さらにもう一つ感じる、違和感。
そう、目線だ。ユベールの肩越しに見える景色がいつもより高い。いや、上半身を起こしたのに、ユベールの背後にある家具が、そもそも見えるはずがないのに……どうして?
「どう? 少しは分かった?」
「……もしかして、私……人間に戻れたの?」
「うん。あと敬語も取れたかな」
「あっ!」
思わず体を引くと、ユベールは簡単に私を離してくれた。
人形の時も、ずっと傍にいたはずなのに、ユベールの顔をこんなにも近い距離で見たのは初めてだった。いや、見つめ合ったのは。
こうして見ていると、ヴィクトル様と似ていると思っていたユベールの顔が、違うように見えてきた。
幼さは勿論のこと、いたずらっぽい笑みが特徴的なユベール。硬い表情が多かったヴィクトル様と違って、柔らかくて居心地がとてもいい。
今だって、向き合っている体勢が気恥ずかしいと感じるのに、それほど嫌だとは思わない。むしろ、このままがいい……って何を私は!
「リゼット」
心の中で百面相をしていると、突然、名前を呼ばれて、額にキスをされた。思わず後ずさりをするが、ベッドの上にいるため、これ以上はできない。
「ゆ、ユベール!」
一体、何を! と言いたいのに、名前を呼ぶだけで精一杯だった。けれどユベールは、そんな私を宥めるように、頬を優しく撫でる。
「ありがとう」
「え?」
「人間に戻れたのとか、敬語が取れたとか、色々あるけど、一番これを伝えたかったんだ。リゼットが助けてくれなかったら、僕はあのまま焼け死んでいたはずだから」
「焼け……っ!」
そうだ。思い出した。赤毛の少女が松明を持って、ユベールはそれを止めようと……。でも結果的に炎はユベールと少女を包み込み、さらに家や草木にまで燃え移ったのだ。
それなのに、ユベールを見ても傷がない。あんなに勢いよく燃えていたのに、どうして?
「……私はあの時、火を消すことができなかった。ユベールも酷い有り様だったはずなのに。あれ? 私、火の中に飛び込んだんだっけ?」
「どうやら、人形になった時と同じだね。人間に戻った時の前後の記憶が曖昧になっているんだよ」
確かに。私はいつ、どのタイミングで人間に戻ったんだろう。サビーナ先生の力を借りることなく。
夢の中? それとも……死後の世界なのかしら。
けど想像より、薄暗い。もっと明るいところだと思っていたのに。
ううん。私はユベールのお祖母様やお父様方、ご兄弟を不幸にした身。薄暗い方が似合っている。
でも……。
「あんなに『死』を願っていたのに、今は……」
死にたくない。死が怖いんじゃなくて、ユベールを残していくのが怖かった。
私がサビーナ先生のところに行くことさえも、嫌がったユベール。
一人になりたくないと言ったユベール。
傍にいて、と懇願したユベール。
今の私は、そんなユベールが愛おしかった。ヴィクトル様に似ているからじゃない。私を求めてくれるからだ。必要だと、言ってくれるからだった。
何もできなくても、ただ傍にいてほしい、と。
役に立たない私の世話を焼きたがって、逆にその姿にアタフタしてしまった。
でもそれは、人形としての私に対しての行為だ。
ユベールは人間の私も必要としてくれるかな……。
いざという時でさえ、必要な時に必要な魔法が使えない私を、責めないでいてくれるかな……。
私に失望しないで、いてくれる……?
怖い……。もしも、否定されたら、と思うと聞くのが怖かった。けれど言わなければ、ユベールに伝わらない。
出会ってまだ三カ月。私もユベールの知らないところが多いように、ユベールもまた私のことをよく知らない。だから聞いてみないと。怖くても、勇気を出して。
「こんな私でも……ユベールの傍に、いていい?」
***
「勿論だよ。そう約束したじゃないか」
「約束?」
「あれ? もう忘れちゃった? それなら何度でも言うよ。僕はどんなリゼットでも傍にいてほしいって」
夢……なのかな。自分の望む言葉が返ってきた。だから今度は手を伸ばす。虚無に向かって。それなのに、あっさりと手を握られてしまった。
凄い。どこまでも都合のいい夢。このまま、ここにいたいな。
「だから、目を覚まして? 僕はここにいるから」
そうだ。心地よい夢の中にずっといたら、本物のユベールを一人にさせてしまう。
「一人にしないって、約束した」
私は手を伸ばした先の方を見据える。すると、その場所を中心に、一気に明るくなり始めた。その光があまりにも眩し過ぎて、私は思わず目を瞑る。
それでもユベールの声は聞こえて来た。
「そうだよ、リゼット。良かった、憶えていてくれて」
「うん。だって私も……一人になりたくない……から!」
叫ぶ勢いに任せて、私は目を開けた。途端、ユベールの顔が至近距離にあって、思わず飛び出しそうになる。けれど、その当人に肩を掴まれていて、身動きが取れなかった。
えっと、えっと、ここはどこ? というか、何が何で、何が起こったのーー!!
「良かった。なかなか目を覚まさないから、心配したんだ。おまけに寝言? みたいなのを言うから」
「え? え? もしかして声に出ていたの? さ、さっきの……会話……」
「うん」
キャャャャャャャャャャーーー!!
……つまり、あの時の会話は夢であって夢じゃなかったってこと?
「ど、どこから?」
「返事? それとも寝言? 『こんな私でも……ユベールの傍に、いていい?』って言うから、勿論だよって答えた」
それは……ほぼ全部……!
寝言を聞かれていたこと自体、すでに恥ずかしいことなのに。そんな平然と答えないで……!
私は毛布を鼻の高さまで上げた。けれどすぐに、ユベールによって剥ぎ取られてしまった。
「あー!」
「ダメ。リゼットの顔をよく見せてよ。ちゃんと赤い瞳を見たい」
「な、なんでー!?」
「だって、人形の時は小さくてよく見えなかったからだよ」
え?
「人形の時はって?」
「う~ん。自覚なしか。近くに鏡もないし……」
私の質問に応えずに、思案し出したユベール。説明し辛いことなのだろう、と思っていた矢先、突然、覆いかぶさるように抱き締めた。
「ゆ、ユベール!」
体を横にしていたから、さらに困惑してしまう。背中に回った腕のお陰で、ユベールの重みは感じない。が、今度は上半身を起こされた。
私は咄嗟に、宙に浮いた手をユベールの背に回し、服を掴む。と、そこで違和感を覚えた。
腕が余る。もう少し伸ばせば、抱き返せそうな感じがしたのだ。私はそのまま掴んでいた手を離し、腕を伸ばす。すると考えていた通りの結果になった。
さらにもう一つ感じる、違和感。
そう、目線だ。ユベールの肩越しに見える景色がいつもより高い。いや、上半身を起こしたのに、ユベールの背後にある家具が、そもそも見えるはずがないのに……どうして?
「どう? 少しは分かった?」
「……もしかして、私……人間に戻れたの?」
「うん。あと敬語も取れたかな」
「あっ!」
思わず体を引くと、ユベールは簡単に私を離してくれた。
人形の時も、ずっと傍にいたはずなのに、ユベールの顔をこんなにも近い距離で見たのは初めてだった。いや、見つめ合ったのは。
こうして見ていると、ヴィクトル様と似ていると思っていたユベールの顔が、違うように見えてきた。
幼さは勿論のこと、いたずらっぽい笑みが特徴的なユベール。硬い表情が多かったヴィクトル様と違って、柔らかくて居心地がとてもいい。
今だって、向き合っている体勢が気恥ずかしいと感じるのに、それほど嫌だとは思わない。むしろ、このままがいい……って何を私は!
「リゼット」
心の中で百面相をしていると、突然、名前を呼ばれて、額にキスをされた。思わず後ずさりをするが、ベッドの上にいるため、これ以上はできない。
「ゆ、ユベール!」
一体、何を! と言いたいのに、名前を呼ぶだけで精一杯だった。けれどユベールは、そんな私を宥めるように、頬を優しく撫でる。
「ありがとう」
「え?」
「人間に戻れたのとか、敬語が取れたとか、色々あるけど、一番これを伝えたかったんだ。リゼットが助けてくれなかったら、僕はあのまま焼け死んでいたはずだから」
「焼け……っ!」
そうだ。思い出した。赤毛の少女が松明を持って、ユベールはそれを止めようと……。でも結果的に炎はユベールと少女を包み込み、さらに家や草木にまで燃え移ったのだ。
それなのに、ユベールを見ても傷がない。あんなに勢いよく燃えていたのに、どうして?
「……私はあの時、火を消すことができなかった。ユベールも酷い有り様だったはずなのに。あれ? 私、火の中に飛び込んだんだっけ?」
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