血の香りは甘く

月灯り

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甘い香り

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「私に恋愛は難しい」

そう思い始めたのはいつからだったか。

学校を卒業した頃からな気もするし、二十代後半になってからな気もする。

「どこでこうなっちゃったかなぁ?」

なんて思ってたのが昨日の夜。





「どうしてこうなっちゃったかなぁ?」

と思ってるのが今夜。




遠くから聞こえるシャワーの音にごくりと唾を飲み込む。

「…逃げる?」

「逃すわけないでしょ?」

「きゃーーーーーっ!!!!」

普段大声を出すことのない私だが今日ばかりは本気で叫んだ。

「なんで!?なんで!?やっぱり夢!?怖っ!!!」

やだー!といいながら部屋の出口がありそうな方へ走る。

ホラーは苦手なのだ。

まだ遠くからはシャワーの音が聞こえる。

ひいいい!どうゆうことよ!





今日は私は馬鹿になってたのだ。

子供の頃20歳も過ぎれば当然初彼氏も初体験も結婚も済ませているものだと思っていた。

でもどうやらそれは思い違いだったみたいで、積極的に行動できない非モテ女は売れ残るらしい。

せめて彼氏がいなくても1人リア充してる友人を見習って、1人〇〇をしてみやうと思った。旅とか焼肉とか、そんなの。色々あるじゃない?

初めては旅とかご飯とかそういうのにしようと思ってたんだけど、仕事で大へこみすることがあって、急遽1人酒にしてみることにした。

家に帰って1人の部屋で過ごしてまた明日切り替えられるような気が全くしなかった。帰りたくなかった。

でもさ、「私、まだ帰りたくない」なんて、彼氏の前で言う女子じゃあるまいし、夕方帰りたくないって思ってたからってこんなことになるとは思ってなかった。





「おねぇさん?約束したでしょ?」

「ひっ!」

さらさらの少し長めの黒髪の男の子。20歳か下手したらそれより若く見える。

「言ったでしょ?働きたくない、養ってくれる人が欲しい、漫画みたいにでろでろに愛されてみたいって」

「ひいい!忘れて!忘れて!」

色んな意味で恥ずかしい。

ぶんぶんと頭を振る。





お酒なんて普段飲まないし、限界知っておいた方がいいなんて話を聞いても飲み会で酔い潰れて周りに引かれてる人をみたら全然試してみる気になれなかった。

でも初めて訪れたバーで(帰り道にあった最後の飲食店だった)気づいたら強いお酒を飲んでいたらしい。らしいってゆうか、ちょっとやけくそで度数高いやつ飲んじゃったんだけど。

なんかそこから色々記憶が怪しい。

この男の子が隣の席に座って優しく色々話を聞いてくれたのは覚えてる。仕事のこととか恋愛のこととか、色々。

半分冗談、半分本気。

でもさ言ったって現実は早々変わらないんだよ。言ってすっきりできるかどうかくらいでさ。普通は。普通は!(大事なことなので二度言いました)

「お姉さんが血をくれるなら全部叶えてあげる」

なんて、ハロウィンの夜に吸血鬼みたいな格好した優しい初めてのバーで出会った年下イケメンに言われたらさ、ついさ、ノリでさ、

「えー、叶えてー!」

とかさ、そのくらいはノリで言いたくもなるじゃん?こちとら傷心だよ?

学生時代の文化祭とかさ何にも華やかなことなかったんだよ?女子校だったし!コスプレ喫茶なんて禁止だったし!イケメン高校生との青春♡なんて物語でしか見たことない喪女よ?

優しさが生理用ナプキン並みにグングン吸収される状態だったのよ。(汚い例えでごめんよ)

献血はたまに言ってたしその分で人生幸せになるんなら激安だし、夢があるじゃん?

「叶えてあげるよ。全部。」

手にキスする仕草をされたらさ、この男の子、ジャニーズでもギリな動作(個人的な意見です)なのになんて様になって!?って感動するじゃん?




気づいたらここにいたんだよ。気づいたら。

なんでここにいるのかぶっちゃけ全然覚えてないんだよ。

お酒飲んで記憶なくして気づいたら知らないベッドに座ってシャワーの音聞いてるとかさ、もう想像はそっちにしかいかない訳でさ。

ワンナイトで捨てちゃうのもありだよね!とか確かに真剣に考えた時もありますよ?(最近)
でもいざとなるとね、初めてはちゃんと好きな人とね?って親切なネットの助言がね?頭をよぎってね?

ここまで30年近く大切に守ってきたものをポーンと捨てようなんてね思えない人間だったみたいで……再確認できたから、帰りたいな!!!!

大丈夫!今なら私ちゃんとちょっとしんどい現実でも戻れるよ!!!いける!本当!信じて!帰らせて!(テンパってます)

「だめ。逃さない。僕らには今夜しかチャンスがないんだ」

「チャンス?僕ら???」

「あれ?忘れちゃった?いいよ教えてあげる」

そう言わらるなり気づいたら視界が天井になってて足が地面についてなくて、左肩がなんかあったかい板状のものにくっついて…(放心)

気づいたら体の下にはふかふかの何かがあって、ぼーっと眺めてたお城みたいな天井は横から現れた男の子に隠された。

「むっ!?」

「むぐぅぅぅ……………………ん………ふ…ぅ……ぁ……」

息ができない。ナニコレ?え?キスされてる?なんで?私彼氏いないよ?

考えたくなくて現実逃避する。

「ふ……ぅ…………は……………ん………」

息がうまく吸えなくて、時折響く水音に頭が真っ白になって、口の中が熱くて、気づいたらごくりといつもと違う味の唾液を飲み込んでた。

「ふぁ………」

無理。現実逃避、限界。

顔に全身の血が集まって来るみたい。

目の前にはあの男の子の顔があって、その紫の瞳が宝石みたいにきらきらしてて、熱を帯びてた。

こんな、目で、何を、見てるの?…私を?

意識したら自分の中にも熱い何かが生まれてくるようだった。

熱い、

熱い、

熱い、

何も、考えられない、

頭の中が、紫に支配される。

「幽梨、何してる」

薄暗い部屋に張り詰めた声が響く。熱くて甘い空気が少しだけ霧散した。

「…夜杜、出たの。…味見」

私の背中に両腕をまわして、抱きしめたまま、幽梨、と呼ばれた目の前の男の子は答えた。

会話は聞こえるけど、どこか遠くの出来事のように感じる。

私、今、ファーストキス、失った?…よね?もしかして?

それどころじゃない気もするけど、頭は既にそこでキャパオーバー。

「やと……?」

それでもその響きだけ気になって、口に出してしまう。

不意に目の前の紫の瞳が揺らいだ。

「どうして俺の腕の中にいるのに夜杜を呼ぶんだ?」

「聞き覚えが…?」

あったような、なかったような。

あれ?バーであの時、夜杜って名乗ったんじゃないかしら?あの子。

「ん?」

ぼんやりしすぎて何も考えられない。
もうなんでもいいよ。夢だと思うこれ。色々感触とかリアルすぎるけど。

「ひゃっ……」

不意に背中を片手でなぞられて背中が仰け反る。

そのまま抱きしめられる。

「俺の腕の中にいるときは俺の名前だけ呼んで?幽梨だよ、ねぇ?呼んで?」

「ゆう…り…?」

「よくできました」

かすれるようでいて芯のある声、幽梨に囁かれた耳元が、彼の吐息で熱を持つ。

頭が沸騰しそうだ。沸騰して、煮えて、蛋白変性が起きて多分そのまま何にも考えられなくなる。
そんなわけないのに、その時の私は本気でそう思った。

「……ふっ………んぅ………」

「ご褒美」

強く舌を吸われる。幽梨との境界がなくなる。

「幽梨、おれが先約だ、どけ」

「はぁ!?早い者勝ちでいいだろ、もう俺キスしたし」

「人がシャワー浴びてる間に勝手に手を出しといてよく言う。邪魔だ、どうしても抱きたいならお前もシャワーくらい浴びて来たらどうだ?」

幽梨をベッドから引っ張り、立たせてから、ギシっと音を立てて夜杜さんが私の横になっているベッドへと座る。

なんで私、初対面の人達の前で横たわってるんだろう?

「…同じ、顔……」

目の前で緑の瞳が瞬いた。

ーそうだ。私さっきのバーで会ったの、こっちの人だ……。

…緑の瞳が深い森みたいで迷い込んでしまいそうって思ったの。

「幽梨、行け」

「……………」

「幽梨」

夜杜さんが、幽梨さんを睨む。しばらく2人で睨み合ってから夜杜さんが追い払うように手を振った。

「…あっ!」

幽梨さんがくるりと後ろへ歩き出した。

「卑怯!」

「お前に言われなくない」

「……?」

何があったのかわからないけど、幽梨さんが出て行って、夜杜さんと2人きりになる。

(もう、あのキスはないのか)

散々この状況から逃れようとしていたのに思ってしまう。

私以外といんらん?
まぁいいか夢だし。

なんて考えてたら夜杜さんが口を開く。

「もう一度、名前を呼んで」

「…やと………?」

ふわり、とバーで会った時と同じ優しい笑みで彼は笑った。

あ、この笑顔好きだな。愛されてるって感じる。

初対面で愛も何もないのに、そんなことを思う。

「俺にもご褒美頂戴」

綺麗な緑の宝石と、さらさらの黒い髪の毛が近づいてくる。

「んっ…………ふ、ぁ」

さっきのキスと違う。なんて考えて急に我に返って恥ずかしくなってくる。

あれ?私、こんな鮮明にキスの違いなんて妄想できるかな?

あれ?これ、夢だよね?
急に焦る。

今までなぜか無抵抗だったけど、それ自体もおかしいよね?思い出したように抵抗する。といっても軽く相手の肩を押すくらいだけど。

夜杜さんは少しだけむっとした顔をした。

離れてくれる?と思ったら、急に背中に両腕を回されて押しつぶすみたいに抱きしめられた。

へぇ!?

「んっ……!?……………ふ、…………は……ぁ………ふ…………っ…………んっ……………は…ふ…………」

どうしよう?全然キス終わらんないってゆうか激しくなってきてる。

舌が体の中から取り出そうとするみたいに強く座れて頭がぼうっとする。

息できないし胸も腕ごと押しつぶされてるし。

む、むり。

酸欠で頭がくらくらする。

つぅ、と生温いものが頬を流れ落ちる。

飲み込むこともできずに、2人が激しくしていたキスで生まれた唾液が溢れた。

「ん……ん、うーーーっ……!!」

死ぬ!

「ふっ………」

どんどんと力を込めて肩を叩こうとするがますます強く抱きしめられるだけだった。

だめだって、ば…………。

少し記憶が飛んだ。

き、気絶…してた?酸欠で?

気づくと唇は解放されていて、少し冷えた空気を肺いっぱいに吸い込むことができた。

唇がぴりぴりする。

い、生きてる。

そして自分の生存を確認してから、体がすーすーすることに気づいた。

「………?」

あ、布団かけてなかったから?服寝返りでまくれた?

なんて思ったら、体にも違和感があることに気づいた。

とたん、

「ん!?」

声が出た。

「や、やだっ、待って!」

体の中心に何か入ってる。

ついでにお腹の上には先ほどの彼の頭があった。

え、えーとじゃあ、えっと、………指!?

………ゆ、指!?

一瞬安心してから再度衝撃を受ける。

待って!なんてところになんてものが!?

やりすぎ!と私は慌てた。

「や…ん……」

緩急をつけて指を出し入れされる。

「ひ……」

人にそんなところ触られたことない。

「待って、やだやだ、……ごめんなさい、私覚えてないの」

必死で言うのに、そのまま右足を持ち上げられて彼の肩に乗せられた。

「や、やだやだ…やっ…んっ!」

腰を撫でられてびくりと体が跳ねる。

なんで撫でられたくらいでこんな過剰に体が動くのよ!

恥ずかしくなる。

足の間で少しだけ夜杜さんが微笑んだように見えた。

よ、良かった、お、怒ってない?

初対面の人とはいえ、人を怒らせるのは苦手だし、怖い。全然安心する場面じゃないはずなのについホッとしてしまう。

他人を拒否するなんて経験すら今までしたことがなくて………。

「やっ、やだぁっ……!」

そんなことを考えていたら体の中に入る指を増やされた。

動きも先ほどの出し入れとは違いなにかこちらの反応を引き出そうとするような動きで……。

それと同時に左足も捕まれて内腿に舌を使って吸い付かれる。

熱い舌の感触がリアルだ。吸いつきながらもじっとりと舐められる。

「ひぇっ……!…んゃっ……ぅう……んっ……」

あちこち弄ばれて、つま先がピンと伸びる。腰を撫で上げられて、もう何に反応しているのかもわからない。

暴れてるつもりなのに状況は全然変わらなくて。暴れてるつもりでも暴れられてないのかも。

快楽に負けてる?私?

「お、…お風呂入ってない…っ……」

「気にしない。香りが薄れる。ただ感じていて」

(か、香り…!?)

「ひぁ……っ」

「あ、ん……う、やぁあっ…んううっ…あっ、やだっそれ、やだやだっ」

足のつま先をぎゅっと丸める。

中と外を同時に刺激されて、逃れれたくて足をばたばたと動かそうとするのに夜杜さんの力が強くて抜け出せない。

「ふ、う、……んぅっ……やっ、やん、やっ、やだ、やだやだ…っ!ううっ」

気づいたらしゃくりをあげて泣いていた。

体が変。怖い。

「ふぅ、うっ…うっ……」

顔を手で覆って、中心への刺激に耐える。

なんかあそこじんじんする、痛い。体が変。

子供みたいに泣きじゃくる。

「……お風呂、行こうか?」

「……へ?」

何を言われたかわからなくて、顔から少し手を外して、夜杜さんに視線をやる。

足を肩から下ろして、夜杜さんが顔の方に来た。

「……すんっ…」

泣きながら指の間から彼を眺める。

「……大切にする」

額に優しくキスを落とされる。

「…………」

その仕草も唇の暖かさもとても優しくて。

さっきから、全然優しくなかったよ、と思い出すと言いたくなるようなことまで、愛情だったように感じてしまう。

ぼーっとしてると体を持ち上げられた。



(どこに行くんだろう?大切にしてくれるって言ったからやめてくれるのかな?)

そんなことを思うくらいにはさっきのキスは優しくて、油断してた。

「幽梨、邪魔」

「は?」

開いた扉の先はお風呂だった。

「…え?」

「きゃああっ!?」

お風呂場の床に降ろされる。

嘘みたいに広いお風呂。私のアパートの部屋くらいあるかも。

そこには先ほどの幽梨と呼ばれた男性もいたので私はパニックになる。

彼は全裸だし、私も私で男性にお姫様抱っこでお風呂に連れてこられたところを見られたのも恥ずかしい。パンツだって履いてないし。服は着てるけど乱れてる。

濡れたお風呂の椅子に座らされると、不意に後ろから私をハグしながら、シャワーの温度を確認していた夜杜さんがシャワーをかけてきた。

「ひやっ、えっ待って待って待って」

後ろに逃れようとして夜杜さんの胸板に背中を押しつけることになる。

「大丈夫洗ってあげる」

「違っ馬鹿ぁっ!…う、うぅ…」

スカートに、靴下に、トップスにインナーにブラジャーにどんどんとお湯が吸い込まれて行く。

気持ち悪いし、ありえないし、これじゃ帰れなくなる。

服がどんどん重くなる。

そして急にまた私の大切な場所に、スカートの中に手が差し込まれた。

「やっ……………!」

思わず体が仰け反る。

「やっ…やっ…やっ…」

往復するように何度も前後されて体がビクビクと何度も跳ねてしまう。

時折、強弱や緩急がついたりくるりとそこを洗われる。

洗っているだけだとしてもとてつもなく私にとってはエロい行為で、止まらない体の反応と夜杜さんの手にまた涙が出てくる。

「ふっふっ…ふぅ、あっ…!」

でも後ろからハグされているせいで逃れられない。

ひときわ高い声が出る。私の体どうなってるの?堪えていても、触られるたび意思に反して大きな声が出る。楽器みたいに。

「おい、嫌がってんだろ」

こちらをずっと呆れたように、いや、熱がこもっていたように眺めていた幽梨さんが口を出した。

太い男子の指が、気持ちいいと思ってしまった。

そんなことを思ってしまって恥ずかしいのに、さっきキスを交わした男の子が今一体どんな顔をしているのかと気になってしまって顔を上げてしまう。

「…う、なんなの?煽ってんの?…くそ」

幽梨さんが顔をを歪める。

「いいから、外に出てろ幽梨」

「夜杜、勝手」

無理やり風呂に追いやられたのに今度は風呂から追いやるのか。

「邪魔だ」

「くそ兄貴」

踵を返しかけて首だけ振り向いてこちらを見る。

目が合った。

「んぅ………っ!?……….はっ………む…ぅ………はっ……………はぁ…」

呼吸を吸い尽くすみたいに深く口づけららる。幽梨さんに。

「おい、幽梨、邪魔」

そう言いながらも夜杜さんは私の大切なところを洗う手を止めない。

苛立ったのか触り方が少し強くなる。

「ん、……ふぅ……っ………」

二箇所から、違う2人からの速度の違う接触に頭がおかしくなりそうになる。

時折夜杜さんの太い指の先が私の中心につぷりと入って入り口を戯れに弄る。

後ろから抱きしめていた夜杜さんの腕がクロスするみたいに私の右胸へと伸びた。

初めて触られるそこにびくりと体が弾む。

つい逃れようと腰を動かしてしまい体の中にずぶりと夜杜さんの指が深く入る。

「んぁっ………!」

幽梨さんとのキスの合間、貴重な息を吸い込めるタイミングにその声が漏れてしまう。

驚いたように幽梨さんの動きが一瞬止まる。

指が深く入ったついでとばかりに夜杜さんに親指で花芯を強く押される。

「んぅぅ……っ」

酸欠で、全身に与えられる刺激への反応で、体が空気中に投げ出されたみたいにここにある感じがしなくて頼りない。

もうどこが上で下でどこが横なのかもわからなくなる。

感覚が全て彼らから与えられる刺激にしか応答できなくなったみたい。

たとえ解放されたとしても立てる気がしない。

「はっ………ムカつく、夜杜。………次は俺だからな。邪魔させねぇから」

言い残して幽梨さんが出て行く。

次?次ってなんなの?そんなのあるわけがない。

「はぁ……は……」

唇が解放されて無意識にくたりと体から力が抜ける。

「ん!?」

「むかつくのは俺の方だよ幽梨」

力が抜けた体、胸の先に強い刺激がくら。

姿勢を保てなくて前に体を倒すが、体の前に回された腕が体を倒させない。

体の中に入った指もさらに深く潜り込む。

「やぁ……ぁっ………んっ………んぅうっ………」

右胸を強く包み込むように、リズムを持って揉みしだかれて変になる。

首筋にキスが落ちて肩をすくめる。

時折触れる胸の先と花芯への刺激にも体がいちいち動いてしまう。

「はっ……はっ……はぁっ……ふうっ……んっ」

いつまで続くかもわからない刺激に頭がおかしくなりそあだった。ううん、とっくにおかしくなってる。

怖がりなのに、苛立ちをぶつけるみたいなお風呂の扉へのドンッという物音に対するよりも、夜杜さんの指の与える刺激の方に強く意識を持っていかれている。

「羨ましくて仕方がないみたい。幽梨。…当然だよね。こんな全身から良い香りを発してるんだもん香織ちゃん」

胸を揉みしだいていた左手が、トップスの首のところから出てきて私の口へと伸びてきた。

太い親指で、弄ぶみたいに私の舌を撫でらように強く押される。

口の端から唾液がもれたけど、止めることができない。

そうしてるうちに、右耳が夜杜さんの口に入った。

「んぅっ……!?」

急に温かくなった耳が、その口の中でうっすらと舌でなぞられる。

「ふぅぅ……」

ささいだけど強烈な刺激に、私はパニックを起こす。

私の体ってどこ触られても何されても反応するの?

動きを止めていた右手が急に花芯を撫でた。

「んっ……!」

またびくりと反応して背中を夜杜さんに押し付けてしまう。

「溢れてきた…」

「…?」

しばらくして何のことかわかって羞恥心で涙が滲む。

「ううう………」

急に指が二本に増える。

「ん…!?」

二本の指がバラバラの動きをして時折シャワーの音に紛れて、粘着質な音が耳に届く。

入り口を、広げるみたいにされて、またひときわ大きく音が響く。

夜杜さんにも聞こえると思うと羞恥心で死にそうだった。

でも指が動くたび体がビクビクと反応してしまう。

全て今更なのかと知れないけど。開き直れなくて、ずっとその羞恥心と戦いながら涙を流しながら、与えられる刺激に敏感に反応する。

いつの間にか増えたいた指にも快楽を感じてしまう。

「はぁ……はっ………」

「もう、いいかなぁ?俺…限界…ちょっと早いかもだけど…まだ続きすればいいし」

「……………?」

「いれるよ」

「…へ?」

一瞬言葉が理解できなかったから普通に流してしまった。

「え?あ、待っ…!」

「無理」

急に現実に引き戻されたような気持ちで振り返ろうとしたら腰を掴まれて反射で仰け反ってしまう。

ーそして、

「ううぅっ …!や…あっ…!!」

ずぶり、それが体に入り込んだ。

驚いたからか体の反応か呼吸が浅くなって心臓がばくばくいっている。

「もっと…入りたい…いいよね?」

「やっ…だめっ!」

叫んではみるもののやめ気配がない。

それが伝わってきてパニックを起こしたみたいに目から涙が頬に伝っていった。

「ごめん」

そう言うのと同時にずんっ!と勢いよくお腹の中心に向けて大きな衝撃が襲った。

ーそして、

「ひっ…!」

首にじくじくとした痛みが起こった。

「やっ…何!?やだ!やだやだ!」

足を動かすが中に彼のものがはいってるせいで彼の足に自分の足を甘えて擦り付けているみたいになる。

「ふ…う…」

そうしている内に頭がぼうっとしてくるのを感じた。

体から力が抜けていく。

「え…?」

ぺろりと首筋を舐められる。

与えられた快感にもほんの少し身じろぎするだけだ。

「…動かすよ」

「う…ん…」

そう答えて

「あっ…あっ…ん」

おかしいと気づいた。

「…もっと早くこうしてあげた方が良かったのかな。でも…」

パンっと一際大きく打ち付けられて天井を仰ぐ。

「そのままの君を抱きたかった」

はぁ、はぁと荒い呼吸が聞こえる。

熱い胸板に背中を預ける。

「んん……」

痛いはずなのに気持ちがいい。

感じたことのない異物感に快楽を刺激される。

振り向かされて、乱れた息を食べるみたいにキスをされる。

拒否する気持ちも逃げる気持ちも全然なくなってしまった。

頭、おかしくなってる。

「でも、君が言ったんだよ、血をくれる代わりに僕に体をくれるって。だから、…ごめんね」

え、何それ?と思ったものの、一旦いれたものを勢いよく抜かれて、振り向かされてまた勢いよく入れられたところで何も考えられなくなった。

先ほどよりも激しく打ち付けられる。

押すと音がなるおもちゃみたいに、打たれるたびに先ほどから弛みっぱなしの身体は声を響かせる。

お風呂場に私の声と水の音が響き渡る。

中が蠢く。

「んっ」

「あ、もうだめ、あっ」

世界が白く染まる。

先ほどの硬さをなくしたそれがずるりと私から抜けて体がぶるりと揺れる。

「ずっとずっと抱いてあげる。これから、ずーっと。大切にするよ。ありがとう僕達を助けてくれて」

「……?」

完全に力の抜けてしまった体を抱きしめられてキスされる。

そしてまた激しくキスをされる。

頭がぼーっとしているのにさらに酸欠にさせられる。

もう…無理…。

私は意識を手放した。




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