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ヴェロニカの物語 薄っぺら
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バーテンダーとは、酒の番人。
喧嘩が強くないとできない仕事。
ジェイデンももちろん、酔っぱらいの喧嘩に割って入っておさめるくらい強かった。
両親を早くに亡くして、弟と二人暮らし。
「弟は俺より身体が大きいけど、優しいから喧嘩はできないんだ。」
と言ってたけど、ジェイデンもとても優しいと思う。
毎週末のデート。酒場は忙しいんじゃないの?と聞くと、みんなダンスにいったり、ショーを観にいってしまうし、酒も屋台で出すから来なくていいと店主に言われているって。
彼は音楽が好きだから、必ず会場に聴きにいく。そして時々、酒場のピアノを借りて練習をする。
「空いてる時間にピアノが弾けるから、酒場で働くことにしたんだ。まだまだヘタクソだけど。」
恥ずかしそうに笑う彼。
いつか音楽家になるのが彼の夢。
「叶うといいわね。」
興味はないけど、お手本のようなセリフは言える。
「ロニー、かわいいね。」
あるとき、彼が言った。やってる最中だった。たぶんリップサービスだろう。でも驚いた。『かわいい』なんて言われたことがないし。
ケバい赤毛、キツイ目元、ぼってりとした唇、大きなおっぱいとお尻。よく売春婦と間違われるアタシ。
『なんであんな女と?』って二人で歩いているときに、誰かが話しているのを聞いたこともある。
手をつないで歩いて、美味しいもの食べて、セックスする。たまに彼の話を聞いて、ピアノを聴いて。
アタシにとっては、ただの暇つぶしのようなもの。
最初はそこそこ楽しいでしょ。
でも、すぐ飽きてくる。
一緒にいても、だんだん会話が無くなっていく。
そろそろかもしれない。
「ジェイデン、あなたはまともだわ。」
「なに?何の話?」
彼は笑った。
「もっと、だらしないと思ってたの。アタシと同類かと。」
「ロニーはだらしなくないよ。ちょっと時間にはルーズだけど。」
「そうじゃなくて・・・」
「顔が良いバーテンダーは遊び人?」
「・・・」
「よく言われるんだ。」
彼が不機嫌になる。
「遊んでるの?ほかに男ができた?いないよね。俺、わかるよ。」
「・・・アタシといても、つまらないでしょ?」
「ロニー」
「薄っぺらだし。」
「そういう、割と自分に自信の無いところも、かわいいと思ってるよ。」
彼は真面目な顔をしてそう言った。
喧嘩が強くないとできない仕事。
ジェイデンももちろん、酔っぱらいの喧嘩に割って入っておさめるくらい強かった。
両親を早くに亡くして、弟と二人暮らし。
「弟は俺より身体が大きいけど、優しいから喧嘩はできないんだ。」
と言ってたけど、ジェイデンもとても優しいと思う。
毎週末のデート。酒場は忙しいんじゃないの?と聞くと、みんなダンスにいったり、ショーを観にいってしまうし、酒も屋台で出すから来なくていいと店主に言われているって。
彼は音楽が好きだから、必ず会場に聴きにいく。そして時々、酒場のピアノを借りて練習をする。
「空いてる時間にピアノが弾けるから、酒場で働くことにしたんだ。まだまだヘタクソだけど。」
恥ずかしそうに笑う彼。
いつか音楽家になるのが彼の夢。
「叶うといいわね。」
興味はないけど、お手本のようなセリフは言える。
「ロニー、かわいいね。」
あるとき、彼が言った。やってる最中だった。たぶんリップサービスだろう。でも驚いた。『かわいい』なんて言われたことがないし。
ケバい赤毛、キツイ目元、ぼってりとした唇、大きなおっぱいとお尻。よく売春婦と間違われるアタシ。
『なんであんな女と?』って二人で歩いているときに、誰かが話しているのを聞いたこともある。
手をつないで歩いて、美味しいもの食べて、セックスする。たまに彼の話を聞いて、ピアノを聴いて。
アタシにとっては、ただの暇つぶしのようなもの。
最初はそこそこ楽しいでしょ。
でも、すぐ飽きてくる。
一緒にいても、だんだん会話が無くなっていく。
そろそろかもしれない。
「ジェイデン、あなたはまともだわ。」
「なに?何の話?」
彼は笑った。
「もっと、だらしないと思ってたの。アタシと同類かと。」
「ロニーはだらしなくないよ。ちょっと時間にはルーズだけど。」
「そうじゃなくて・・・」
「顔が良いバーテンダーは遊び人?」
「・・・」
「よく言われるんだ。」
彼が不機嫌になる。
「遊んでるの?ほかに男ができた?いないよね。俺、わかるよ。」
「・・・アタシといても、つまらないでしょ?」
「ロニー」
「薄っぺらだし。」
「そういう、割と自分に自信の無いところも、かわいいと思ってるよ。」
彼は真面目な顔をしてそう言った。
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