29 / 50
ヴェロニカの物語 啓示
しおりを挟む
久しぶりに熱を出した。
パパがお医者様を呼んでくれて「風邪が流行ってる。」と言っていた。
喉が痛くて、身体が熱い・・・
具合が悪くて今日は行けないと、ジェイデンへの伝言を姉に頼んだ。
「えー!恋人?やあだあ、もう!なんで、教えてくれなかったのよ!」
姉は興味津々で、ウキウキしながら出かけていった。
しんどい。
ママが枕元に置いてくれた水を飲む。
うまく寝つけなくて、余計なことを考えてしまう。
ジェイデンは来るかもしれない。
彼はなんでも大事にする。弟も、ピアノも、アタシですらも。
うつらうつらしていると、声が聞こえた。
「ロニー・・・」
目を開けるとジェイデンがいる。やっぱり。
「パパがいるでしょ?どうやって入ったの?」
「窓から・・・」
姉が手引きしたのかしら。
手をのばすと抱きしめてくれた。
「わっ、ほっかほかだ。」
彼が笑う。気づかなかった。笑うと目尻がこんなに下がるのね。
「うつっちゃうよ。」
そう言ってみたものの離れたくない。
「いいよ。」
そう言って彼はキスをくれた。
彼が帰ってしまって、さびしくて涙が出た。
ジェイデンを好きになってしまった。
どうしたらいいの?涙が止まらない。
どうせ、どうせ長く続かないのに・・・。
しばらく泣いて、そして諦めた。捨てられたら、その時にまたいっぱい泣けばいっか。
熱は2日で下がった。まだ少し怠かったけど、パパに休み休みでいいと言われ、雑貨店の手伝いをする。基本パパは仕入れの交渉で、アタシは売り子。
本を眺めている男の子をみつけたわ。車輪の大きな台車に乗っている。歩けないのかしら?
「何か探しもの?」
アタシは声をかけた。
男の子がアタシを見上げる。ああ、この子は斜視なのね。どこを見ているかわからない瞳。でも、すべてを見ているような瞳。
「あなたの物語を。」
男の子は言った。頭に響くような不思議な声。
アタシは震えた。どうして知ってるの?
男の子は、ニコニコしている。
その笑顔を見ていたら、なんだか落ち着いてきた・・・。
「・・・まだ・・・書いていないの。」
心のままに答えた。
パパがお医者様を呼んでくれて「風邪が流行ってる。」と言っていた。
喉が痛くて、身体が熱い・・・
具合が悪くて今日は行けないと、ジェイデンへの伝言を姉に頼んだ。
「えー!恋人?やあだあ、もう!なんで、教えてくれなかったのよ!」
姉は興味津々で、ウキウキしながら出かけていった。
しんどい。
ママが枕元に置いてくれた水を飲む。
うまく寝つけなくて、余計なことを考えてしまう。
ジェイデンは来るかもしれない。
彼はなんでも大事にする。弟も、ピアノも、アタシですらも。
うつらうつらしていると、声が聞こえた。
「ロニー・・・」
目を開けるとジェイデンがいる。やっぱり。
「パパがいるでしょ?どうやって入ったの?」
「窓から・・・」
姉が手引きしたのかしら。
手をのばすと抱きしめてくれた。
「わっ、ほっかほかだ。」
彼が笑う。気づかなかった。笑うと目尻がこんなに下がるのね。
「うつっちゃうよ。」
そう言ってみたものの離れたくない。
「いいよ。」
そう言って彼はキスをくれた。
彼が帰ってしまって、さびしくて涙が出た。
ジェイデンを好きになってしまった。
どうしたらいいの?涙が止まらない。
どうせ、どうせ長く続かないのに・・・。
しばらく泣いて、そして諦めた。捨てられたら、その時にまたいっぱい泣けばいっか。
熱は2日で下がった。まだ少し怠かったけど、パパに休み休みでいいと言われ、雑貨店の手伝いをする。基本パパは仕入れの交渉で、アタシは売り子。
本を眺めている男の子をみつけたわ。車輪の大きな台車に乗っている。歩けないのかしら?
「何か探しもの?」
アタシは声をかけた。
男の子がアタシを見上げる。ああ、この子は斜視なのね。どこを見ているかわからない瞳。でも、すべてを見ているような瞳。
「あなたの物語を。」
男の子は言った。頭に響くような不思議な声。
アタシは震えた。どうして知ってるの?
男の子は、ニコニコしている。
その笑顔を見ていたら、なんだか落ち着いてきた・・・。
「・・・まだ・・・書いていないの。」
心のままに答えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる