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ケイトについて 4
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「私と付き合ってみない、ってこと。」と、ケイトが言った。
「付き合わない」即答した。
彼女は一瞬だけ怯んだが、詰めよってきた。
「どうしてよ。」
なにから説明したらいいのか、わからない。
「だって、お前は俺のこと好きじゃないだろう」それだけ言った。
「好きだよ。好き。」彼女がムキになって言う。
「そういうとこだよ・・・」
この日本語は彼女に通じなかった。
好きって、もっと繊細なものだろう。あこがれ、怯え、ときめき、思いやり。
思いつきとか、興味とかじゃない。
こんな時に俺は「愛してる」と言われて困っていた譲を思い出し、胸が痛んで言葉につまる。
「一回でいいからチャンスをちょうだい。」彼女が食い下がる。見た目は日本人だが、中身は外国人なんだなと、どうでもいいことが思いうかぶ。
疲れてたし、眠かった。結局、俺は根負けして、次の休みにケイトとデートすることになってしまった。
まり子に「それは、ご愁傷様だねえ・・・私の責任でもあるのか。ごめんね。」と言われた。
「行くの?デート。」
「行くよ」
「それは、やっぱり美人だから?」
「いや、熱意が・・・なんだろ?パワー?怖い物見たさ?」
「デートってハラハラじゃなくて、ウキウキするもんなんじゃないの?」
確かにこれはホラーっぽい。
「まり子こそさ、クリスとどうなったんだよ」
「付き合わないよ~。クリスのイビキうるさいんだもん。」
ちなみにクリスも後日同じことを言っていた。
「まり子?付き合わないよ。イビキうるさいしね!」
デートの当日、ケイトは着飾ってきた。ボディラインを強調した黒いワンピースにゼブラ柄ジャケット。大きなイヤリングにスニーカー。
春の陽射しがまぶしい荒川が、とにかく似合わない。
なんだか、だんだん面白くなってきた。こんな女だったのか。
しかも、なんもない河川敷を20分ぶらぶら散歩しただけで、そのまま彼女が住むアパートに連れていかれた。ダニエルの女版だ。
「いや、俺は帰る」そう言ったが
「ちょっとだけ!お茶だけ!」とわめかれた。そうやって揉めてるうちに、ケイトが涙目になってきた。
彼女と出会ってから、もう何度目かのため息かわからない。なんか、この女にはかなわないような気がしてきた。
俺は、あきらめて部屋に入った。
中は2DKになっていて、誰かもう一人女の子と暮らしているようだった。
「こっち。」とケイトの部屋に案内される。ベッドと折りたたみテーブル、英会話スクールの教材らしきもの、鏡と化粧品、テレビ。趣味をうかがわせるようなものはなかった。
ベッドに座らされ、ケイトがベタベタさわってくる。
「お茶は?」と言ったら、イラッとした顔をされた。
「お前、子供いるんだろ」
そう言うと、ケイトはハッとして俺を見た。
「付き合わない」即答した。
彼女は一瞬だけ怯んだが、詰めよってきた。
「どうしてよ。」
なにから説明したらいいのか、わからない。
「だって、お前は俺のこと好きじゃないだろう」それだけ言った。
「好きだよ。好き。」彼女がムキになって言う。
「そういうとこだよ・・・」
この日本語は彼女に通じなかった。
好きって、もっと繊細なものだろう。あこがれ、怯え、ときめき、思いやり。
思いつきとか、興味とかじゃない。
こんな時に俺は「愛してる」と言われて困っていた譲を思い出し、胸が痛んで言葉につまる。
「一回でいいからチャンスをちょうだい。」彼女が食い下がる。見た目は日本人だが、中身は外国人なんだなと、どうでもいいことが思いうかぶ。
疲れてたし、眠かった。結局、俺は根負けして、次の休みにケイトとデートすることになってしまった。
まり子に「それは、ご愁傷様だねえ・・・私の責任でもあるのか。ごめんね。」と言われた。
「行くの?デート。」
「行くよ」
「それは、やっぱり美人だから?」
「いや、熱意が・・・なんだろ?パワー?怖い物見たさ?」
「デートってハラハラじゃなくて、ウキウキするもんなんじゃないの?」
確かにこれはホラーっぽい。
「まり子こそさ、クリスとどうなったんだよ」
「付き合わないよ~。クリスのイビキうるさいんだもん。」
ちなみにクリスも後日同じことを言っていた。
「まり子?付き合わないよ。イビキうるさいしね!」
デートの当日、ケイトは着飾ってきた。ボディラインを強調した黒いワンピースにゼブラ柄ジャケット。大きなイヤリングにスニーカー。
春の陽射しがまぶしい荒川が、とにかく似合わない。
なんだか、だんだん面白くなってきた。こんな女だったのか。
しかも、なんもない河川敷を20分ぶらぶら散歩しただけで、そのまま彼女が住むアパートに連れていかれた。ダニエルの女版だ。
「いや、俺は帰る」そう言ったが
「ちょっとだけ!お茶だけ!」とわめかれた。そうやって揉めてるうちに、ケイトが涙目になってきた。
彼女と出会ってから、もう何度目かのため息かわからない。なんか、この女にはかなわないような気がしてきた。
俺は、あきらめて部屋に入った。
中は2DKになっていて、誰かもう一人女の子と暮らしているようだった。
「こっち。」とケイトの部屋に案内される。ベッドと折りたたみテーブル、英会話スクールの教材らしきもの、鏡と化粧品、テレビ。趣味をうかがわせるようなものはなかった。
ベッドに座らされ、ケイトがベタベタさわってくる。
「お茶は?」と言ったら、イラッとした顔をされた。
「お前、子供いるんだろ」
そう言うと、ケイトはハッとして俺を見た。
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