12 / 12
2軒目 ハイテクハウスの罠!
7.ハイテクハウスの罠
しおりを挟む
◆ ◆ ◆
駆けつけた不動さんが、非常用の緊急解除キーで玄関を開け、外から光が差し込んできた時、俺は涙目になっていた。
「真っ暗だし、デバイスさんは答えてくれないし……水は止まらないし、みんな壊れちゃったみたいです……」
「そんな簡単に壊れる設計ではないはずですが……開発者に確認します」
不動さんがスマホでどこかに連絡している。
冷静になった俺が、スマホの照明でシャワー室の方を見ると、まだ水音はするが、床まで漏れていなかった。
「私だけど……この状況で……うん……そうなの……はっ? なに? そんな機能……確かに、冗談で言ったけど……」
親しい友人と話しているかのような、フランクな口調の不動さん。
さっき、開発者に確認すると言っていたが、電話の相手は大学時代の友人・常呂川美月なのかもしれない。
「わかった……やってみる」
電話を切った不動さんは、「解除コード、エー・シックス・ゼロ・ファイブ・ワン。オールリセット」と呟いた。
突然、部屋の照明が戻り、明るさが戻る。
「うわっ、ついた! よかった、故障したかと思って焦った! 今の電話の相手、開発者って言ってましたけど」
「ええ、開発者が私の元カノ……あ! いえ! もと……か……もとかわさん!」
不動さん、急に顔を真っ赤にしたと思ったら、わたわたと慌てて、何か思い出したかのように「モトカワさん!」と大きな声を出したので、びっくりしてしまった。
「モトカワさんって言うんですか? これを作ったのが?」
「そうなんですよ!」
「さっき調べたら、モトカワさんじゃなくて、常呂川美月って人でしたけど」
「知ってたんですか、美月のこと」
「デバイスさんと話しているうちに、たまたま。で、モトカワさんって?」
「モトカワさんの話は置いておくとして!」
自分で言い出したくせに。
「木芽さん……とんでもないことをやってくれましたね。メイドのココロさん、起動したんでしょう!? 見たんですね、アレを!」
ちょ、ちょっと不動さん、お怒りモードだよ!
「その、まあ……はい」
「完全に騙されたんですよ……。CGのキャラデザを考えているから、イメージを決めるために、このメイド服着てくれない?とか言われて。バイト代も出すからって。写真をパシャパシャ撮るからモデル気分で調子に乗っていたら! いつの間にか立体スキャンカメラで全身の三次元データを取られて! あれはセクハラ! あーもう!」
なんだか今日の不動さんは情緒不安定だな。
「でね、私、言ったんですよ。もしもこのメイドさんのCGに対して、いやらしいことをする人がいたら、天罰を与えてくれ、って」
「て、天罰?」
「例えば……真っ暗闇の中、シャワー室が開かないけど、シャワーは流れ続けて、足下まで水が漏れてくる。そんな怖さを、立体音響でリアルに再現して、驚かせるドッキリを仕掛けるとか、ねぇ……」
「り、立体音響……ニセモノの水音……」
俺の額に、冷や汗が伝う。
この時の不動さん、笑顔ではあるが、必死に感情を押し殺しているような「圧」が逆に怖い。すっごく怖い。
怒り爆発、一歩手前、みたいな。
「木芽さぁーん。確認ですけどぉ……メイドのココロさんに、何か、しましたかぁ!?」
「あ、その、えっと……」
この空気は、ゼッタイに「スカートの中を覗こうとしました」とは言えない空気だ。
◆ ◆ ◆
怒っている不動さんの空気に耐えられなくなった俺は、タダのハイテクハウス宿泊から逃げ出し、その日はネットカフェのナイトパックを利用した。
<2軒目・完>
駆けつけた不動さんが、非常用の緊急解除キーで玄関を開け、外から光が差し込んできた時、俺は涙目になっていた。
「真っ暗だし、デバイスさんは答えてくれないし……水は止まらないし、みんな壊れちゃったみたいです……」
「そんな簡単に壊れる設計ではないはずですが……開発者に確認します」
不動さんがスマホでどこかに連絡している。
冷静になった俺が、スマホの照明でシャワー室の方を見ると、まだ水音はするが、床まで漏れていなかった。
「私だけど……この状況で……うん……そうなの……はっ? なに? そんな機能……確かに、冗談で言ったけど……」
親しい友人と話しているかのような、フランクな口調の不動さん。
さっき、開発者に確認すると言っていたが、電話の相手は大学時代の友人・常呂川美月なのかもしれない。
「わかった……やってみる」
電話を切った不動さんは、「解除コード、エー・シックス・ゼロ・ファイブ・ワン。オールリセット」と呟いた。
突然、部屋の照明が戻り、明るさが戻る。
「うわっ、ついた! よかった、故障したかと思って焦った! 今の電話の相手、開発者って言ってましたけど」
「ええ、開発者が私の元カノ……あ! いえ! もと……か……もとかわさん!」
不動さん、急に顔を真っ赤にしたと思ったら、わたわたと慌てて、何か思い出したかのように「モトカワさん!」と大きな声を出したので、びっくりしてしまった。
「モトカワさんって言うんですか? これを作ったのが?」
「そうなんですよ!」
「さっき調べたら、モトカワさんじゃなくて、常呂川美月って人でしたけど」
「知ってたんですか、美月のこと」
「デバイスさんと話しているうちに、たまたま。で、モトカワさんって?」
「モトカワさんの話は置いておくとして!」
自分で言い出したくせに。
「木芽さん……とんでもないことをやってくれましたね。メイドのココロさん、起動したんでしょう!? 見たんですね、アレを!」
ちょ、ちょっと不動さん、お怒りモードだよ!
「その、まあ……はい」
「完全に騙されたんですよ……。CGのキャラデザを考えているから、イメージを決めるために、このメイド服着てくれない?とか言われて。バイト代も出すからって。写真をパシャパシャ撮るからモデル気分で調子に乗っていたら! いつの間にか立体スキャンカメラで全身の三次元データを取られて! あれはセクハラ! あーもう!」
なんだか今日の不動さんは情緒不安定だな。
「でね、私、言ったんですよ。もしもこのメイドさんのCGに対して、いやらしいことをする人がいたら、天罰を与えてくれ、って」
「て、天罰?」
「例えば……真っ暗闇の中、シャワー室が開かないけど、シャワーは流れ続けて、足下まで水が漏れてくる。そんな怖さを、立体音響でリアルに再現して、驚かせるドッキリを仕掛けるとか、ねぇ……」
「り、立体音響……ニセモノの水音……」
俺の額に、冷や汗が伝う。
この時の不動さん、笑顔ではあるが、必死に感情を押し殺しているような「圧」が逆に怖い。すっごく怖い。
怒り爆発、一歩手前、みたいな。
「木芽さぁーん。確認ですけどぉ……メイドのココロさんに、何か、しましたかぁ!?」
「あ、その、えっと……」
この空気は、ゼッタイに「スカートの中を覗こうとしました」とは言えない空気だ。
◆ ◆ ◆
怒っている不動さんの空気に耐えられなくなった俺は、タダのハイテクハウス宿泊から逃げ出し、その日はネットカフェのナイトパックを利用した。
<2軒目・完>
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる