最後の大きなプレゼント

雲条翔

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最後の大きなプレゼント

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 年老いた男にとって、初孫は何よりの宝物だった。

 孫である少女に、物心がついた時。

「わたしよりもおおきな、くまのぬいぐるみがほしいの」
 というおねだりに、老人は答え、身長よりもやや大きめな、熊のぬいぐるみをプレゼントしてあげた。
 
「いっしょうのたからものにする!」
 少女は、自分の身長よりも大きなぬいぐるみを、ぎゅっと両手で抱きしめ、飛び跳ねて喜んだ。毎晩、ベッドで抱きしめて眠り、何よりも大事にした。
 
 その様子を見た老人も笑顔になり、それからは毎年、少女の誕生日プレゼントに、「身長よりも大きな熊のぬいぐるみ」を贈るのが習慣となった。
 
 少女が小学生のうちは、まだ良かった。
 毎年贈られてくるプレゼントのぬいぐるみも、部屋が広かったので、すべて飾っておくことができたし、楽しむこともできた。

 少女は中学生になり、高校生になり……身長も伸び、ぬいぐるみのサイズも、比例して大きくなっていく。
 老人は相変わらず、毎年誕生日には、少女にぬいぐるみを贈り続けていた。

「おじいちゃん、部屋がいっぱいになっちゃう。ぬいぐるみのプレゼント、もういいから」
「そうかい。じゃあ、次で最後にするよ。とびきり、大きめのにしようかね」
 
 少女は溜息をついたが、その翌年からプレゼントが止まった。
 老人が病気で亡くなったのだ。

 少女が成人し、社会人として働き始めた頃。
 
 ニュースで、建造中だった宇宙ステーションが完成した、と報道していた。
 コメンテーターが、モニターを差しながら説明している。
 
「この宇宙ステーションの形が、ユニークな曲面構造となっていますね。建造に出資されたスポンサーの一存で決定したそうで。スポンサーの社長は鬼籍に入られていますが、この形だけは守ってくれと、絶対の遺言だったそうです」

 テレビには、クマの形をした巨大な宇宙ステーションが浮かんでいる。

 彼女は「ありがとう、おじいちゃん」と微笑んだ。

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