6 / 24
2024
私のことが好きすぎる人間について
しおりを挟む
ミレーナ、と呼ばれている。茶色の髪と黒の目をもった、ミナという人間が自分の名前からそう付けた。
太陽の光に反射すると煌めく金色の鱗、尖った黒い爪、海を映し込んだような瞳、広げると雄大な翼。
ミナは毎日、「あ~~~美し、綺麗、最高、もはや芸術」と言いながら、私の鱗を磨いた。
人間からすると、私はドラゴンという種らしい。
ミナという人間は私の世話をするのが好きらしく、それはもう卵の時から甲斐甲斐しかった。
ミナは卵が少し冷えただけで、「やばい!私のドラゴンちゃん!!」と叫びながら抱え込んだり、「なんて素晴らしいフォルム。金色に輝く美しさ。もはや完璧では??」と言いながら卵を撫でたり、「ドラゴンちゃん~ドラゴンちゃん~元気いっぱい育つんだぁ~♪」と下手くそな歌擬きを卵の周りで良く口ずさんでた。
卵から孵化したとき、「ぎゅわ(ミナ)」と挨拶したら、滂沱の涙を流しながら「尊い...」と拝まれた。卵の殻は栄養になるので、本来なら全て食べるが、ミナはよく世話をやいてくれていたので、卵の殻の欠片を渡すと失神した。
あまりの嬉しさと幸福感に耐えきれなかった、と後から言われた。
渡した卵の殻は加工され、ミナの耳を彩る金色のピアスとなった。「これを付けてるだけで自己肯定感は爆上がり。幸福感が毎分毎秒更新される」とよく分からないことを言っていた。
赤ん坊の頃、ミナは私が何をしていても可愛いらしく、「あ~~かわいい~~」が口癖だった。
四つ足で歩いても転んでも寝転んでいても、ミナに噛みついてもよじ登っても、何をしても幸せそうだった。
いつものようにミナに噛みついて、初めて少し血が出たときはびっくりして泣いた。
他の人間が急いでやって来て、ミナに対して「ミレーナにダメなことはダメって言わなきゃ!ミレーナめっちゃ泣いてるじゃん!!」と怒っていた。
それから噛みつこうとすると「ダメだよ...」と泣きながら言われるので、噛もうとするのは止めた。ミナはいつも、幸せっていう顔でデレデレしてるので、泣かれるとびっくりするからだ。
ミレーナ、といつも優しい響きで呼ばれてる。
今は大きくなって、ミレーナの一軒家と殆ど同じ大きさになり、翼も立派になって何処にでもいけるが、やっぱりミナの元へ帰ってくる。
ミレーナと呼ばれ、世話をされるのが悪くないからかもしれない。
太陽の光に反射すると煌めく金色の鱗、尖った黒い爪、海を映し込んだような瞳、広げると雄大な翼。
ミナは毎日、「あ~~~美し、綺麗、最高、もはや芸術」と言いながら、私の鱗を磨いた。
人間からすると、私はドラゴンという種らしい。
ミナという人間は私の世話をするのが好きらしく、それはもう卵の時から甲斐甲斐しかった。
ミナは卵が少し冷えただけで、「やばい!私のドラゴンちゃん!!」と叫びながら抱え込んだり、「なんて素晴らしいフォルム。金色に輝く美しさ。もはや完璧では??」と言いながら卵を撫でたり、「ドラゴンちゃん~ドラゴンちゃん~元気いっぱい育つんだぁ~♪」と下手くそな歌擬きを卵の周りで良く口ずさんでた。
卵から孵化したとき、「ぎゅわ(ミナ)」と挨拶したら、滂沱の涙を流しながら「尊い...」と拝まれた。卵の殻は栄養になるので、本来なら全て食べるが、ミナはよく世話をやいてくれていたので、卵の殻の欠片を渡すと失神した。
あまりの嬉しさと幸福感に耐えきれなかった、と後から言われた。
渡した卵の殻は加工され、ミナの耳を彩る金色のピアスとなった。「これを付けてるだけで自己肯定感は爆上がり。幸福感が毎分毎秒更新される」とよく分からないことを言っていた。
赤ん坊の頃、ミナは私が何をしていても可愛いらしく、「あ~~かわいい~~」が口癖だった。
四つ足で歩いても転んでも寝転んでいても、ミナに噛みついてもよじ登っても、何をしても幸せそうだった。
いつものようにミナに噛みついて、初めて少し血が出たときはびっくりして泣いた。
他の人間が急いでやって来て、ミナに対して「ミレーナにダメなことはダメって言わなきゃ!ミレーナめっちゃ泣いてるじゃん!!」と怒っていた。
それから噛みつこうとすると「ダメだよ...」と泣きながら言われるので、噛もうとするのは止めた。ミナはいつも、幸せっていう顔でデレデレしてるので、泣かれるとびっくりするからだ。
ミレーナ、といつも優しい響きで呼ばれてる。
今は大きくなって、ミレーナの一軒家と殆ど同じ大きさになり、翼も立派になって何処にでもいけるが、やっぱりミナの元へ帰ってくる。
ミレーナと呼ばれ、世話をされるのが悪くないからかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる