小話まとめ(日常)

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人それぞれのコンプレックス

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「髪、ゆるふわでかわいいよね」

 学校の廊下でたまたま会った友人が、私の毛先を触りながらそう言った。

 褒められているのに、何だか複雑な気持ちになった。

 私は、この髪質が嫌いなのだ。雨の日は特にそう。纏まらないし、ボワっと広がってしまう。

 私が憧れるのは、ストレートの髪質。
 少女漫画みたいにサラッと髪の毛を纏めて、ポニーテールがしてみたい。

 そう、この目に前にいる友人みたいなストレートな髪質は憧れであった。

「正直、この髪質嫌いなんだよね」

「え?なんで?かわいいのに。私は好きだな」

 友人は本当にそう思ってくれてるみたいで、こう言われるのも2度目だった。

「好きって言われるのも複雑っていうか~」

「ん~そっか~。なら言わないようにする~」

「気使わせてごめん~」

 少し残念そうに、まだ友人は私の髪の毛を触っていた。

 可愛いって言われるのは嬉しいし、好きって言われるのも友人のことが好きだから(もちろん友情として)余計に嬉しいことなのに、自分の髪の毛の話が絡むだけで素直に受け止めれない。

「雨の日とか特に酷くてさ、めっちゃ膨らむの」

 廊下の窓から見える曇り空を睨んだ。雨が降りそうな天気は既に天敵であった。

 髪質なんて気にしたことがなかった幼い頃は、曇り空は暑くなくて好きだったし、雨は傘に当たるとポツポツと音が鳴るのが好きだったのに。

「そっか~ゆるふわの髪質も大変なんだね」

「私の髪の毛はさ、真っ直ぐだけど真っ直ぐ過ぎるのか髪の毛が纏まんなくてさ。カールとかもすぐとれるから余計にいいなと思っちゃってさ」

 友人は今度は自分の髪の毛を触りながら、またちょっぴり残念そうだった。

 それを聞いた私は目から鱗状態だった。ストレートの髪の毛でも悩みがあるんだ。

 考えたこともなかった。私にとっての"可愛い"が、サラ艶ストレートなせいかもしれない。

「ストレートな髪質でも、そういった悩みがあるんだね。考えたこともなかった」

「あるよ~。全然、やりたい髪型にできない」

「うわ、悩みが一緒」

「え~やば」

 笑いながら言う友人を見てると、自分の髪質は相変わらず嫌いだけれど、それはそれで良い気がしてきた。

「私、やっぱりこの髪質嫌いだわ」

「実は私も自分の髪質そんなに好きじゃない」

「はぁ~」とため息を吐きながら、どちらともなく肩を組んで廊下を歩き出した。
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