「おめでとう」

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番外編 ②

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〈本編その後のお話〉

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 公園を横切ったときに、何処からか飛んできたシャボン玉が目の前を通り過ぎては弾けて消えた。

 彼とシャボン玉で遊んだことはないのに、何故か彼の顔が頭を浮かんだ。彼とこの光景を見たいのか、それともシャボン玉を一緒にしたいのか自分でもよく分からない。

 何故、彼の笑顔と明るくこちらに話しかけてくる声が聞こえてくるのだろう。

 ここにはもう、彼はいないのに。

 気軽に会える距離には彼はいなくなった。

 彼が彼女と同棲すると聞いてからもう3ヶ月が経った。その間に彼は遠くに引っ越してしまった。

 SNSで連絡がきているのに、未だに返信が出来ないなんて本当に友達がいのない酷いやつだと自分でも思っている。

 新生活はどうなのか、新しい環境で体調を崩していないのか、困ってることはないのか、本当は本当は、聞かなければならないことが沢山ある。

 友人ならば当たり前のそれらの言葉を、未だに紡げずにいる自分に酷く落胆していた。

 口に出して言葉にするよりもハードルが低いはずなのにどうしてかSNSをまともに開くことさえままならない。

 最近はスマホを見るだけで少し憂鬱な気分になってしまう。そんな、諦めの悪い自分に気づいていてまた憂鬱さが増す負の連鎖を続けている。

 当たって砕けていい、その許しが欲しかったのかもしれない。

 振られたとしても、周囲が笑ってくれる、そんな恋だったらこんなに捻くれて捻れて、沈殿した泥の塊のような感情を抱き続けなくてよかった。

 だれが、許してくれるのだろう。

 だれが、赦してくれるのだろう。

 周囲から"自分達とは違うなにか"として一生見られるかもしれない、そんな恐怖に打ち勝てばよかったのか。

 彼に、そんな風に自分を見ていたのかと軽蔑され絶好されていたらよかったのか。

 当たって砕けても周囲が笑ってくれる恋が、どうしようもなく欲しかった時期があった。

 自分の中に確かな恋があるのに。自分でさえ目を当てられない、歪で汚くて見窄らしくて、

 それなのに、どうしようもなく恋しくて堪らない、自分のことが嫌いで気持ち悪くて悲しくて怒りを抱いて嘆いて、

 それでも、手放せなくて捨てても捨てられなかった恋。

 彼を思い出すと、偶に喉の奥がジワッと痛むような感覚がする。

 いつも、好きだと、どうしようもなく好きだと会うたびに想って、家に帰ってから1人の時でさえ飲み込んでいたときの癖。

 その時に声にならなかった、声にしなかった声を発しようとして無理矢理飲み込んで痛む喉。

 忘れられたと思った時期があった。もう乗り越えたと思った時期があった。

 でも、会えばどうしようもなく特別で、本当に気持ち悪いぐらい、彼が好きなんだと再認識させられてーーーー彼の目に、俺は気持ち悪くなかっただろうか。

 ....SNSで彼に連絡がとれるようになるのはまだ時間がかかりそうだった。




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こんなにも沢山の方に読んで頂けて感無量です。

皆様、本当にありがとうございます。

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