愛せなくても、

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 私の赤ちゃんは学校に通う年齢となった。
 家庭教師からも優秀であると言われ続けていたが、学校でもトップの成績をとり続けていた。

 私の赤ちゃんの評判を聞いて、社交界では手のひらを返したような態度をとる人まで現れるようになったのが不思議であった。

 私の名誉を地の底までに至らせたのが結婚相手ならば、私の名誉を回復させたのは赤ちゃんであった。

 私自身じゃないところで上がり下がりする私の名誉がなんだか可笑しかった。

 縁談話まで持ち上がるようになってきたので、婚約相手が勝手に決める前に離婚を盾に阻止し赤ちゃんに手紙を送ったら休みの日に態々、家まで帰ってきた。

「母上、この前送ってくださったお手紙の内容ですが」

「手紙に書いたように縁談は気にしなくていいわ。あなたが結婚したい相手と結婚するのよ」

「ですが、いいのでしょうか」

「いいの」

「...家に、利がない相手でも?」

「いいの」

 どうやら赤ちゃんには想いを寄せる相手が既にいたらしい。何度も私に繰り返し確認しながら自信がついてきたのか、「父上に了承をとってきます!」と声を上擦らせながら結婚相手の執務室に向かった。

 結婚相手は本当に私と離婚がしたくないようで、その場で了承が得られたらしく、赤ちゃんは返事をもらってすぐに私の元まで走ってやってきた。

 感極まったのか来てすぐは「っ母上!母上!」と赤ちゃんは私の名前を呼び続けた。

「母上、ありがとうございます...」

 そう言いながら泣く赤ちゃんを見て、初めて母親らしいことができたと実感した。

 愛せなくても私は目の前にいる赤ちゃんの母親であると、私は私をそう評することが初めて出来た日であった。

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