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水の中のグラジオラス 三の章
策束静巡 参 その2
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これは、驚くべきことだ。
見間違い?
そんな訳はないのだが、、、解ってても、もう一度見たいと言う心理が働いた。
確認したい。
それがさっきの聖のセリフ、『今のん、もっかい出来る?』だった。
確認したいこと。
鈴木が構築された聖の術式を、物を退かす手の動作で払ったこと。
鈴木が伸ばした右手への違和感。
――これは、祓った、、、や
聖は直感で感じたモノと、鈴木のやった事が合ってるのかをもう一度この眼で観て確認したい。
どうしても、したい。
感じた直感が当っているとすれば、、、。
対照的に、鈴木はキョトン顔。
鈴木にとって、コレは特別でも何でもない。
術を習った時から、勝手に出来ていた。
本人はそんな感じだったので、絶対に大した事の無いモノだと思い込んでいたし、仲間内からは、『水属性っぽくない』と、よく笑われていた。
その所為もあって、あまり人前では使わない。
それがやりとりの中で、思わず使ってしまった、って感じで聖が展開した術式を横へ退けた。
鈴木、無理解。
これは何気ないが、何気なく出来るのがヤバい。
“童子級の構築術”を、簡単に片手で祓ったのだ。
使い手ならば、確認すべき事柄。
なのに鈴木、自分の事に無頓着。
、、、で、聖が水珠を出したところ。
「いくで」
と、鈴木が無意味に腕捲りをした時、聖がストップを掛けた。
「あ、待って、ゆっくり錚槍出すから、それ出てからやって」
「えぇ?!」
ビビる鈴木。
「何やのん?」
「錚槍って、、、刺さるやん!」
“錚槍”とは、各属性の攻撃呪詛の基本のひとつ。
ちなみに、、、
四属性共通の基本術式がある。
それが、“兼完鋤々”と呼ばれるモノ。
自分に有利になるように、場に自分の属性領域を展開した状態の事。
水属性ならば、裴裴濃霧。
火属性ならば、陽炎豸讎。
風属性ならば、髦士無為。
土属性ならば、蟲不蠱。
術師はそれぞれ自分の領域を展開した後に、属性攻撃の基本、鳴り珠を創れと初めに教えられる。
守りを整えてから、攻撃をする。
戦闘の基本。
なのだが実際は、メンドクサイ属性の領域展開をする術師は少ない。
イキナリ鳴り珠で攻撃を仕掛けることに、メリットを感じている術師が圧倒的に多いからだ。
で、その次に湧く疑問、基本の“鳴り珠”ってなんだ? って事になる。
鳴り珠とは、属性エネルギーを自分の意思に添うように具現化したモノ。
パワー。
大きさ。
密度は人それぞれ。
レベルの低い術師だと出した鳴り珠をそのままぶつけて、属性効果のみで攻撃する。
もう少しレベルが上がると、鳴り珠に武装させて攻撃する事が出来る。
武装の種類は四つあって、聖が観せたのは槍状(または刃等)に造形する一番簡単な術式。
これを、“錚槍”と言う。
見間違い?
そんな訳はないのだが、、、解ってても、もう一度見たいと言う心理が働いた。
確認したい。
それがさっきの聖のセリフ、『今のん、もっかい出来る?』だった。
確認したいこと。
鈴木が構築された聖の術式を、物を退かす手の動作で払ったこと。
鈴木が伸ばした右手への違和感。
――これは、祓った、、、や
聖は直感で感じたモノと、鈴木のやった事が合ってるのかをもう一度この眼で観て確認したい。
どうしても、したい。
感じた直感が当っているとすれば、、、。
対照的に、鈴木はキョトン顔。
鈴木にとって、コレは特別でも何でもない。
術を習った時から、勝手に出来ていた。
本人はそんな感じだったので、絶対に大した事の無いモノだと思い込んでいたし、仲間内からは、『水属性っぽくない』と、よく笑われていた。
その所為もあって、あまり人前では使わない。
それがやりとりの中で、思わず使ってしまった、って感じで聖が展開した術式を横へ退けた。
鈴木、無理解。
これは何気ないが、何気なく出来るのがヤバい。
“童子級の構築術”を、簡単に片手で祓ったのだ。
使い手ならば、確認すべき事柄。
なのに鈴木、自分の事に無頓着。
、、、で、聖が水珠を出したところ。
「いくで」
と、鈴木が無意味に腕捲りをした時、聖がストップを掛けた。
「あ、待って、ゆっくり錚槍出すから、それ出てからやって」
「えぇ?!」
ビビる鈴木。
「何やのん?」
「錚槍って、、、刺さるやん!」
“錚槍”とは、各属性の攻撃呪詛の基本のひとつ。
ちなみに、、、
四属性共通の基本術式がある。
それが、“兼完鋤々”と呼ばれるモノ。
自分に有利になるように、場に自分の属性領域を展開した状態の事。
水属性ならば、裴裴濃霧。
火属性ならば、陽炎豸讎。
風属性ならば、髦士無為。
土属性ならば、蟲不蠱。
術師はそれぞれ自分の領域を展開した後に、属性攻撃の基本、鳴り珠を創れと初めに教えられる。
守りを整えてから、攻撃をする。
戦闘の基本。
なのだが実際は、メンドクサイ属性の領域展開をする術師は少ない。
イキナリ鳴り珠で攻撃を仕掛けることに、メリットを感じている術師が圧倒的に多いからだ。
で、その次に湧く疑問、基本の“鳴り珠”ってなんだ? って事になる。
鳴り珠とは、属性エネルギーを自分の意思に添うように具現化したモノ。
パワー。
大きさ。
密度は人それぞれ。
レベルの低い術師だと出した鳴り珠をそのままぶつけて、属性効果のみで攻撃する。
もう少しレベルが上がると、鳴り珠に武装させて攻撃する事が出来る。
武装の種類は四つあって、聖が観せたのは槍状(または刃等)に造形する一番簡単な術式。
これを、“錚槍”と言う。
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