灰いかぶり令嬢の物語

朋 美緒(とも みお)

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14;森の天使「ヘンゼルとグレーテル」

前編 : ドアを開けると、背中に小さい女子を背負った6歳か7歳くらいの男の子が居た

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廃村の山村から港町までの出来事も話した

「町や村が近くになくて野営が必要なんだ、不便かけるけどごめんね」
フェルディナンドがそう言ってきた

「簡易ハウスがあるので大丈夫ですよ」
「?簡易ハウス?」
私は馬車から降りると、野営の準備をしている護衛達をさけて野営地の端に向かって行った
兵士や侍女達が何事か、という顔をしている

「この辺でいいかな・・えいっ」
アイテムボックスから、簡易ハウスを出した

「「「なっ・・・家?」」」
フェルディナンドや周りの人間たちが驚きの声を出した

「町や村に寄ると見つかると思って、簡易ハウスで寝泊りをしてました」
「小さい家、だがこれを入れることの出来るアイテムボックスって・・・すごい」
「あーでも、せいぜい4人ほどしか寝れません、ツインの部屋が二部屋とバスルームとリビングダイニングキッチンがあるだけなので」

山村から降りてのプレハブ生活、徐々に改装も重ねて箱型ワンルームだったのが、今では瓦屋根の2dkのこじんまりした家になっている、ソファも手作り、ウォークキングの革を使った革張りのソファだ、皮をなめすの大変だったなぁ、矢を跳ね返す頑丈な皮膚、柔らかく滑らかにするの大変だった

「普通の庶民の家にしか見えないが」
「どうぞ、中へ」
そう言ってフェルディナンドと護衛2人と侍女2人を案内した

「すみません、此処で靴を脱いでください」
「靴を脱ぐ?」
「大丈夫ですよ、この家の周りには結界が張ってありますので、魔物や盗賊は入れませんのでくつろげますから」
私はさっと靴をぬぐと靴箱に入れてスリッパをはいた

「そこのいすに座って脱いでくださいな」
軍用靴はさっと脱ぐことはできないので、そう言って護衛の人にいすを勧めた
侍女達も編み上げブーツをはいていたので、椅子に座って脱いでもらった

玄関から入って直ぐに広めのダイニングと右にキッチン
左にバスルームとトイレで、奥に扉が二つで寝室になっている

靴を脱いでスリッパをはいた護衛たちが入ってきた

「どうぞお座りくださいな」
ソファとダイニングテーブルに座ってもらい、お茶を入れようとキッチンに向かった

「愛し子様、私が」
そう侍女の一人が言ったが

「使い勝手が違うから、大丈夫よ私が入れるわ、あなたも座って」
「いえ・・・私は」
「座って」
「びくっ」
ちょっと威圧をこめてしまった

ソファの方から
「座りなさい」
とフェルディナンドが言うと侍女2人はダイニングに座った、とても居心地が悪そうだった

私はカップに紅茶を注ぐ
ソファの長いすに脚を組んで座るフェルディナンドと、その前に座る護衛二人の前には3個おそろいのティカップを置いた、侍女達にはばらばらの入れ物に入れた紅茶を運んだ

「ごめんなさい、そろっているティカップが3こしか無くて」
中にはとっての無い、湯飲みタイプもあるので申し訳ないなと思いながら出した

「ダイニングの椅子も3脚・・・だれかこの家に入れたんですか」
「えぇ・・・まぁ」
皿にアイテムボックスからクッキーを出しててダイニングとソファのテーブルにだした
ダイニングに座ろうとしたら、フェルディナンドがぽんぽんと長いすを叩くので、自分の紅茶を持って、フェルディナンドの横に座った

「あの子達は森に置き去りにされていたの・・・・」






「ヘンゼルとグレーテル」
あるところに、ヘンゼルとグレーテルという兄妹がいました。家は貧しく、木こりをしている父と継母と暮らしています。継母が口減らしのために2人を森に捨てることを提案します。父親はためらいますが、継母に押し切られる形で了承してしまいました。

その会話を聞いていたヘンゼルはある作戦を思いつき、石を集めに出かけます。

次の日、両親に森の奥へ連れて行かれる道すがら、ヘンゼルは集めた石を落としながら進みました。そのまま置き去りにされてしまいますが、彼が落としたのは夜になると光る石。その明かりを頼りに、家に帰ることができました。

2人の姿を見て父親は喜んでくれるものの、再び森に連れて行かれることになります。しかも今度は家の扉に鍵をかけられてしまったので、外に石を集めにいくことができませんでした。

ヘンゼルは食事に出たパンを食べずにとっておき、再び森の奥へと連れて行かれる道中で、細かくちぎって落とします。しかしパンくずは鳥に食べられてしまい、2人は今度こそ家に帰ることができなくなってしまいました。

ヘンゼルとグレーテルが森をさまよっていると、森の中でお菓子でできた家を見つけます。お腹のすいていた2人が夢中でかじりついていると、中から老婆が現れました。2人を家の中に招き入れ、食事や寝床を与えてくれます。

助かったと思ったのも束の間、翌朝になると老婆はヘンゼルを小屋へ閉じ込め、グレーテルに「お前の兄さんを太らせて食べるから、そのための食事を作れ」と命じました。

それから数日が経ち、目の悪い魔女はヘンゼルの指を触って太り具合を確認しますが、いっこうに太る様子がありません。実はヘンゼルは、指の代わりに食事の際に残った骨を差し出していました。不思議に思っていた老婆ですが、ついに痺れを切らし「お前の兄さんを煮るための鍋を用意しろ」とグレーテルに命じます。

かまどの火の温度を見ろと言われたグレーテル。老婆が自分も焼き殺すのではないかと思い、「やり方がわからない」と答えました。老婆が手本を見せるためにかまどに近寄り「こうするんだよ」と頭を突っ込んだその瞬間、グレーテルは力を振り絞り、老婆を熱したかまどの中に突き飛ばして閉じ込めてしまいました。

呪いの声を上げながら焼け死ぬ老婆。グレーテルはその後ヘンゼルを助け出し、老婆の財宝を持って家に帰ります。2人を疎んでいた継母は病気で亡くなっていて、それからは父親と3人で幸せに暮らしました。






あの話って残酷な話しだなぁって思ってたのよね
目の前にその話の名前と同じ兄妹が現れた時は、口をあけたまま固まっちゃったなぁ


こんこん
ドアを叩く音に眠っていた私はすぐ覚醒したが不思議に思った
魔獣も盗賊も結界の中に入れない、悪意の無い者しか入れない、けど此処は人里はなれた森の中だ、レイスなどのアンデット系の魔獣にはたまに悪意の無い、いたずら好きな者もいるので、おそるそそる気配を探ったら、どうも人間の子供のようだった

「どちら様ですか」
「夜分遅くにすみません、道に迷いました、一晩泊めてもらえませんか」
男の子の声がした、邪悪な感じは一切しなかった、むしろ・・・

ドアを開けると、背中に小さい女子を背負った6歳か7歳くらいの男の子が居た
汚れたみすぼらしい服を着ていた、革の靴は擦り切れて指が出ていた

「・・・・とりあえず入りなさい」
「ほっ・・おじゃまします」
そう言って玄関に入ったとたん男の子は意識を失った

魔法で受け止めた私は洗浄と殺菌の魔法を使って二人を綺麗にすると空いている部屋に寝かせた

「出来たばかりの部屋が早速役に立つなんて・・・分けありかな~厄介ごとじゃなければいいけど」
ツインの部屋だが、女の子が男の子の服をつかんでいたので、ひとつのベットに二人寝かせた
玄関に脱がせた靴が見える

「皮の袋に、厚手の皮を靴底として手縫いした靴か・・・町では貧しい子ははだしの子が多かったな」
私は木の素材を出して、ぼろぼろの皮の靴より大きめの靴底を作り、皮を切断して縫いつけていき、二人の新しい革靴を作った

「ちょっと縫い目が不ぞろいだけど、職人じゃないんだからいいよね」
可愛い靴を眺めて自己満足していた

「そうだ、椅子も無いな」
ダイニングチェアは2脚、1脚には手作りの大きめのテディベアが置いてある
寂しいとかじゃないよ、女神様ともお話できるし、常にじゃないけど・・・・殺風景だからさ・・・
2脚と同じ様な椅子をもうひとつ作った

そうして徹夜で作業をした私だった

朝食を用意していると

「うえぇーん、ここ何処~」
女の子の泣き声が聞こえてきた

「お父さん~」
普通そこはお母さんじゃぁないんかい、と思った

「ますます厄介ごとかな?」
ため息を吐きながら、そう推測する私

こんこん
部屋をノックした
「大丈夫だ、お兄ちゃんがついてる」
慰めている声がする

「朝ごはん出来たよ、出てきて食べなさい」
「はっはいっ」
ドアが開いた
男の子は私を見上げてぽーとしていた、女の子は真っ赤な目と鼻をして男の子の後ろに隠れるように立っていた

「天使?キラキラだぁ」
ぼそっと女の子が言った
「ん?何か言った?・・さっ朝ごはん食べよ、そして事情聞かせてくれるかな」
二人をダイニングテーブルに案内した

二人は、ベーコンとスクランブルエッグ、トマトの乗った皿と柔らかそうなパン、そしていい匂いのするスープを見て目を輝かせた

「たっ食べていいの?」
男の子はよだれをたらしながら聞いてきた

「どうぞどうぞ、パンとスープはおかわりあるのでゆっくり食べなさい」
女の子の方は、男の子より多目のよだれで前がびちょびちょになってる
お兄ちゃんの方と料理の皿を何度も見ていた

「食べよう」
そう言うと女子はパンを取ってかじった
二人はうれしそうに、そして男の子は涙を流しながら、うまいうまいと言いながら食べていた

女の子のトマトとベーコンの油で汚れた口を暖かい濡れタオルで拭いて
服は洗浄の魔法でまた洗ってあげた、二人の魔法を使ったときのぽかんとした顔が可愛かった

「すごいすごい、キラキラお姉さん、すごいすごい」
女の子は興奮して、はしゃいでいた

「改めて、泊めて頂き、朝食までいただいてありがとうございます」
そう頭をさげる男の子
女の子は、ソファにあったテディベアを発見して遊びだした

「ここに来た経緯を聞いていいかな?」
「はい、僕はヘンゼルといいます。妹はグレーテル、近くの村の外れに住む木こりの家の子です」
固まった・・・私は固まった・・・まんまじゃん!
そして話も、途中までは物語と一緒だった

1回目に父親に置き去りにされたときは物語のように光る石を落として目印にして帰ったが、2回目の今回は落としていったパンはカビだらけだったので鳥たちも食べないと思ったが、食べられたと悔しがっていた、そして今回はさらに前よりも遠くに置き去りにされたらしい、さ迷ううち変な家を見つけたそうだった、
この家ではない・・・そうお菓子の家・・・
物語と違うのは、彼ら兄弟はその家に近づかなかったことだった

「お腹がかなり空いていたけど、それが幻影だってすぐに分かった、幻影を見せて人を食らう魔獣の話を聞いていたから、この森は強い魔獣は居ないけど、そういう精神に係る魔法を使うのがいるんです」
「キラキラがね、行っちゃだめって言うの」
テディベアと戯れながらグレーテルが言った

「キラキラ?」
「お姉さんの周りに一杯いる奇麗なの」
「えーと」
「精霊です、お姉さんの周り精霊がたくさんいます、天使なら当たり前でしょうが、異常なくらいいます」
私は、きょろきょろするが一向に見えない

「精霊視のスキルが無いと見えません」
「キラキラお姉ちゃんの周りのは人の形してるのもいるね」
「天使様なら当然でしょうが、上位精霊見るの初めてです、すごいです」
「えーと天使様って」
「その美しさと上位精霊に囲まれている、天使様でしょう?」
ヘンゼルは拝むようにキラキラした目で私を見た

「ごめんなさい、一応人間です・・・まぁ、魔力は人並み以上に多いから、寄って来るのならそのせいじゃない?それで、その呼び方変だから、アイラって呼んで」
「あっ、精霊が名前を聞いて喜んでる」

「?喜ぶ?なぜ・・・・・しかし、小さいのにしっかりしてるね」
「・・・・僕こう見えて11歳です」
「えっ・・・ごめんなさい」
「いえ、栄養不足で成長が遅いのは自覚してますから、妹は見た目通り5歳です」
7歳くらいかと思った、さんざん子供に見られて嫌な思いしている私が、それを言うなんて恥ずかしいわ

「精霊たちは家には案内してくれないの?」
「・・・してくれません、むしろ行くなと言います、自力で帰るしかなかったんです」
「キラキラは家に帰ると消えちゃうの」
「消える?なぜ」
「わかりません、家に近づくといなくなってしまうんで、言うこと聞かないので嫌われたかとも思いましたが、家から離れるとまた現れるんです」
「明らかに、家に問題があるじゃない・・・」
「ははが・・・継母が来てからなのは確かです」
二人はしゅんとした
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