乙女ゲームの世界に転生!?婚約者に溺愛されても恋愛経験ゼロのヒロインなので身が持ちませんっ!!

ずっとガラケーでいい

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「え〜PN(ペンネーム)数年ぶりに会った婚約者に逃げられました。なにか、してしまったのでしょうか。さんからお便りいただきました」

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「え~PN(ペンネーム)数年ぶりに会った婚約者に逃げられました。なにか、してしまったのでしょうか。さんからお便りいただきました」






「やらかしてしまったかもしれない」

遡ること数時間前。
僕は、学園の中庭で、婚約者と数年ぶりの再会を果たした。 

とは言っても、この数年間会ったことがないから、初めは全く分からなかったんだけど。


~数時間前~

『白馬…様…………』

『あの、貴女は…?』

驚いたように僕を見つめる瞳から、どこか目が離せなくて。

ふいに名前を尋ねただけなのに。

『あっ、あのっっ!!し、失礼いたひゃましたっっっ!!!!』

全力で逃げられた。

『………僕、何かしたかな?』

『…ぷっふふっ…』

馬の後にひょこっと出てきた従者の奏に何故か笑われた。

『この馬にびっくりしたのかなあ』

何故僕が白馬に乗っていたのかって、別にこれは僕の趣味なんかではなく、まして好きで乗っているわけでもない。

入学式が終わってすぐ、帰り道を塞ぐかのように、部活動による新入生歓迎イベントが至るところで行われていて。

何故か分からないけど、『そこの君!なんかすっごく白馬が似合いそうな顔してる!!エッッ白馬王子って名前なの!!??すごいじゃん!!!』などとまくしたてられ、理由も分からず白馬に乗せられた、というわけだ。

自分でも意味不明すぎる……。
 
周りにいた女学生達の黄色い悲鳴にも疲れ、もうほんと疲れていたら、何故か馬がこの中庭まで歩いていた。

そこで、ある女の子に出会ったわけなんだけど……。

『……可愛かったな。凛として。一目惚れってこういうことを言うのかな……。
名前はなんて言うんだろう。好きな食べ物は?デートに誘うのは流石に不自然かな』

『………え?』

『あっ、でもでも!僕には婚約者がいたんだっけ!まずはそう、婚約破棄の手順を踏んで…いやいや先方に手紙を書くのが先か!
…うう…随分と前に婚約してたんだっけ…一目惚れといえど、一時の感情に流されて婚約破棄なんて……でも善は急げって言うし……』

『……王子ほんとに気付いてねーの?』

『何が?』

『さっき会った子、王子の婚約者だよ』

えっ。

『ええええええええ!!!!!!!!』


~回想終わり~

で、今に戻る。

「なんっっで気づかなかったんだろ……」

「まあ馬乗ってて分かんなかったんだろ。
俺だって、ちらっと家紋見えただけだし」  

でも奏の言った通り、あの子は僕の婚約者で間違いない。

家に帰るなり古いアルバムを掘り出して、数年前見合いの時に撮った写真を見てみると、その面影があった。

母に尋ねると、婚約者である七瀬家の娘は今日から高校一年生で私立名門苫小前学園に入学するはずだ、と言われ、想像は確信に変わった。

聞いてない………!!!

一目惚れした少女が、数年前結婚を誓った婚約者なんて……聞いてない!!!

でもこれは……どうするべきなんだろう。

僕は彼女を好いていて、恋愛感情を持っていても、相手もそうとは限らない。

もしかしたら好きな相手…ボーイフレンドがいる…なんて可能性も………。

いやいや、婚約者のいる身で流石にそんなことは………ないと信じたいけれど。

ならここは、普通の恋愛と同じく、婚姻関係などなしにして、あくまで普通に、彼女と恋愛すればいいんじゃないかな?

会話から始まり、関係を深め、まずは友人から始めるというのはどうだろう。

そして互いに相手を理解し合ってからの告白!!!!

…………って、もう婚姻関係……なわけで……。
 
………………???

「どうしたらいいんだろう?」

「どうって……俺に聞くのかよ………。
まあ普通に……久しぶりに会ったわけだしお茶でもどう?とか誘えばいいんじゃないか?」

目から鱗だった。

別に恋愛関係なしに、婚約者って立場だから誘っても…おかしくないのか。確かに。

でも。だったらなおさら。

「やらかしてしまったかもしれない」  

仮に婚約者だったとして、というかその事実は今更変わりようのないことだけど、今日のこの失態。

僕は今、彼女のなかで不審者扱いされてるってことも……。

「ないとは言い切れないよな」

…うっ……。

事実、馬に乗った僕をみて逃げられたわけだし……。

「不審者じゃなく、ちゃんとした婚約者だってことをアピールする方法……」
 
まず婚約者に不審者と思われること自体、Yah◯◯知恵袋にすらのってないと思う。

「あっ」

「どうした?」

「あれ、いいんじゃないか?
バラを99本贈る婚約前の儀式」

婚約前の儀。
婚姻関係を結んだ男女が、結婚はまだしていないけれど、あなたを愛する気持ちは変わってませんよ、と花を贈り合う儀式だ。

詳しくは知らないけど、あまりに音沙汰がないものだから、私以外に相手がいるんじゃないでしょうね!と怒り出す女性が多いことや、それにこぎつけ、花屋が商法的に催したイベントが紆余曲折あって、このように落ち着いた、というわけらしい。

俗に言う、バレンタインデーみたいなもの、といえば分かりやすいかな。

バラ99本とは、花言葉とその本数の意味をかけたもので。
バラの花言葉は「愛」、それを99本贈るとーー。

「"永遠の愛"」

「…初対面にしては少し重くないかな?」

「完全初対面ってわけじゃないだろ?
婚姻関係を結ぶ前は顔合わせをすること。
お前だってそうだったろ」

「だって幼少期の記憶なんて、あってないようなものだろ…?
ほぼ初対面じゃん!!」

「なんでもいいけどさ。
バラ99本もらったら、向こうだって会う気になってくれるんじゃないか?」




かくして。
バラ99本渡して初デートに誘おうぜ作戦は翌日、実行されることとなった。




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