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4章 凱旋と旅
24話 激闘!? 重力マスター ヘクト・パスカル
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おおお!
圧力がグンッと強くなった。
が、やはり青龍程ではない、俺は精神を集中して両手をこちらに向けているヘクトめがけて槍を突き出した。
――ズバーン!
「ぬおっ!?」
ヘクトの脇腹をギリギリのところで空を切る!
寸前でさっとかわされてしまった。
驚いた表情で俺を見下ろし、さらに警戒を強めるヘクト。
「やるじゃないか、ケルビン君、いやいや今のはだいぶ危ないところだったよ、僕の【超大重力破】を食らってもまだ余裕があるようだねぇ」
くそっいけると思ったのに、これもかわされたか……と見せかけて攻撃してやろう。
「いやあ、ヘクトの方こそこれを避けるやつは初めてだよ」
――ズバーン!
「おおっと!」
――ズバーン!
「おおうっと! いやぁ、なかなかどうしてたいしたもんだねぇ。油断もスキもありゃしないじゃないか」
何度も槍を出してみるが、見事にかわされてしまっている。重力のせいでスピードが出ないのもあるだろうが、見極められているのか当たる気がしない。
ギリギリでかわしているように見えるのだが、その割にはなぜか嬉しそうな表情なのだ。
「うーん、本当にすごいなヘクト、これはもうお手上げかもしれないな」
「そうかそうか、そろそろわかってくれたかな、では僕の方はさらに必殺技を見せるとしようか」
まだまだヘクトには奥の手があるようだ。それで余裕の表情なのか。
「これは不味いな、ただでさえきついのにまだこの上があるって言うのか」
全然思ってないが、盛り上がるので言ってみた。
「そうなんだよねぇ、これをしのいだ奴は今までにいないんだよねぇ、ではケルビン君、試してみようかねぇ、ではいくよ、うおおお!」
ヘクトがさらに集中力を高めて青い領域を密集させた。
今までより周りが真っ青な色になり領域が圧縮されたように集まってくる。
むむ……これは少しだけヤバイ気もしないでもない。
ヘクトの両腕が振り下ろされた!
【極大重力集中破】!」
――ズガーーーン!
すごい圧力が襲ってきた。
青い領域が俺の領域の上にのしかかり、物凄い圧力で【黒い領域】を圧縮したのだ。
余りの圧力に耐えきれられず、俺の領域がつぶされた。
跡には平らに押しつぶされた地面がそこにあるだけだった。
それを見て確認すると、ヘクトが驚いたのか納得したのかわからない複雑な表情を見せた。
「……ケルビン君、君でもやっぱり駄目だったようだねぇ、まぁ……これはしょうがないねぇ」
真っ青な領域を小さく薄い青色に変え、自分の周りに漂わせると、ヘクトは少しだけ寂しそうにくるりと回って立ち去った。
☆
「えっどうなったんですか!?」
「えっ!?」
「あれっ!?」
周りが急に真っ暗になったので驚いた皆が騒ぎ出す。
「あれっ急に暗くなったわね、どうしたのケルビン」
隣にいるアリエールが俺に聞いてきた。
「皆死んでしまったんだよ……」
寂しそうに俺が答える。
「「えぇー!?」」
セリーとマニエルが大声をあげた。
するとアリエールが笑いだす。
「ふふふ、面白い冗談ね、地下に潜っただけじゃないの」
なんだ、分かってたのかアリエール、もう少しこのネタで引っ張ろうかと思ったのに……。
実はヘクトを倒すのが難しそうなので地下に穴を掘り潜ったのだ。今は地下20メートル程の深さにいる。
もちろん領域の中は明るくしてあるが、領域の外は地中なので真っ暗だ。
ヘクトの重力はかなりの物だったが、俺の領域をつぶせるほどではないだろう。だが俺の攻撃も当てられないのでとりあえず逃げる事にした。
「でも流石はケルビン殿です、あのヘクトと対峙しても余裕がありましたね」
ようやく落ち着いたのかタンドリーが口を開いた。
「まぁな、特にこの小さな領域内では俺の方が強いだろうなぁ。領域を広げていた時の、青龍に食べられた時は死ぬかと思ったけど今回のは正直何とも無かったよ」
「いやあ、やっぱりすごい、おかげでまた助けてもらいました。ケルビン殿、ありがとうございました」
タンドリーが正座をして頭を下げた。それを人は土下座という(恰好だけだ)
セリーや、マニエル、モニカにブルネタリアもキラキラした目で俺を見ている。
激しい戦いが行われたみたいだが、実はそんな感じでない。
【黒い領域】の中にはソファーがあり、皆それに座っているのだ。
怪我をしたタンドリーだけはカーペットの上に座っているが、さながら部屋の中にいるみたいなのだ。
俺もヘクトと言い合っていたが、当然ソファーに座ったままなのだ。
右にはアリエール、左にはブルネット、モニカ、セリー、マニエルが並んでいる。
完全に一家団欒だ。
地中に潜ったので明かりをつけたら余計に夜の部屋みたいな雰囲気になった。
すぐに動くとヘクトに見つかるかもしれないのでソファーをもう一脚とテーブルを出して休憩した。
圧力がグンッと強くなった。
が、やはり青龍程ではない、俺は精神を集中して両手をこちらに向けているヘクトめがけて槍を突き出した。
――ズバーン!
「ぬおっ!?」
ヘクトの脇腹をギリギリのところで空を切る!
寸前でさっとかわされてしまった。
驚いた表情で俺を見下ろし、さらに警戒を強めるヘクト。
「やるじゃないか、ケルビン君、いやいや今のはだいぶ危ないところだったよ、僕の【超大重力破】を食らってもまだ余裕があるようだねぇ」
くそっいけると思ったのに、これもかわされたか……と見せかけて攻撃してやろう。
「いやあ、ヘクトの方こそこれを避けるやつは初めてだよ」
――ズバーン!
「おおっと!」
――ズバーン!
「おおうっと! いやぁ、なかなかどうしてたいしたもんだねぇ。油断もスキもありゃしないじゃないか」
何度も槍を出してみるが、見事にかわされてしまっている。重力のせいでスピードが出ないのもあるだろうが、見極められているのか当たる気がしない。
ギリギリでかわしているように見えるのだが、その割にはなぜか嬉しそうな表情なのだ。
「うーん、本当にすごいなヘクト、これはもうお手上げかもしれないな」
「そうかそうか、そろそろわかってくれたかな、では僕の方はさらに必殺技を見せるとしようか」
まだまだヘクトには奥の手があるようだ。それで余裕の表情なのか。
「これは不味いな、ただでさえきついのにまだこの上があるって言うのか」
全然思ってないが、盛り上がるので言ってみた。
「そうなんだよねぇ、これをしのいだ奴は今までにいないんだよねぇ、ではケルビン君、試してみようかねぇ、ではいくよ、うおおお!」
ヘクトがさらに集中力を高めて青い領域を密集させた。
今までより周りが真っ青な色になり領域が圧縮されたように集まってくる。
むむ……これは少しだけヤバイ気もしないでもない。
ヘクトの両腕が振り下ろされた!
【極大重力集中破】!」
――ズガーーーン!
すごい圧力が襲ってきた。
青い領域が俺の領域の上にのしかかり、物凄い圧力で【黒い領域】を圧縮したのだ。
余りの圧力に耐えきれられず、俺の領域がつぶされた。
跡には平らに押しつぶされた地面がそこにあるだけだった。
それを見て確認すると、ヘクトが驚いたのか納得したのかわからない複雑な表情を見せた。
「……ケルビン君、君でもやっぱり駄目だったようだねぇ、まぁ……これはしょうがないねぇ」
真っ青な領域を小さく薄い青色に変え、自分の周りに漂わせると、ヘクトは少しだけ寂しそうにくるりと回って立ち去った。
☆
「えっどうなったんですか!?」
「えっ!?」
「あれっ!?」
周りが急に真っ暗になったので驚いた皆が騒ぎ出す。
「あれっ急に暗くなったわね、どうしたのケルビン」
隣にいるアリエールが俺に聞いてきた。
「皆死んでしまったんだよ……」
寂しそうに俺が答える。
「「えぇー!?」」
セリーとマニエルが大声をあげた。
するとアリエールが笑いだす。
「ふふふ、面白い冗談ね、地下に潜っただけじゃないの」
なんだ、分かってたのかアリエール、もう少しこのネタで引っ張ろうかと思ったのに……。
実はヘクトを倒すのが難しそうなので地下に穴を掘り潜ったのだ。今は地下20メートル程の深さにいる。
もちろん領域の中は明るくしてあるが、領域の外は地中なので真っ暗だ。
ヘクトの重力はかなりの物だったが、俺の領域をつぶせるほどではないだろう。だが俺の攻撃も当てられないのでとりあえず逃げる事にした。
「でも流石はケルビン殿です、あのヘクトと対峙しても余裕がありましたね」
ようやく落ち着いたのかタンドリーが口を開いた。
「まぁな、特にこの小さな領域内では俺の方が強いだろうなぁ。領域を広げていた時の、青龍に食べられた時は死ぬかと思ったけど今回のは正直何とも無かったよ」
「いやあ、やっぱりすごい、おかげでまた助けてもらいました。ケルビン殿、ありがとうございました」
タンドリーが正座をして頭を下げた。それを人は土下座という(恰好だけだ)
セリーや、マニエル、モニカにブルネタリアもキラキラした目で俺を見ている。
激しい戦いが行われたみたいだが、実はそんな感じでない。
【黒い領域】の中にはソファーがあり、皆それに座っているのだ。
怪我をしたタンドリーだけはカーペットの上に座っているが、さながら部屋の中にいるみたいなのだ。
俺もヘクトと言い合っていたが、当然ソファーに座ったままなのだ。
右にはアリエール、左にはブルネット、モニカ、セリー、マニエルが並んでいる。
完全に一家団欒だ。
地中に潜ったので明かりをつけたら余計に夜の部屋みたいな雰囲気になった。
すぐに動くとヘクトに見つかるかもしれないのでソファーをもう一脚とテーブルを出して休憩した。
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