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その2

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 おっぱいお姉さんに連れられて冒険者ギルドに入る。やはりイチリルの町のと比べると若干小さい。

「では、失礼ですが、冒険者カードをお願いします」

 キザ男と一緒に冒険者カードを見せる。

「お二人ともDランクベテランですね。エルヴァンさんはボス討伐もありますね。素晴らしいです。では、クライフさん、エルヴァンさん申し訳ありませんが一度アイテムボックスのテストをさせてください。よろしいでしょうか」

 そうだな。俺もテストしてもらったほうがありがたい。行ってみて駄目でした、じゃ意味がない。

「もちろんです、マドモアゼル」

「はい。問題ありません」

「ありがとうございます」

 おっぱいおねえさん(ケーニャさん)がジャムの入った瓶を出し、中身をスプーンですくって全部皿の上に乗せた。

「ではまず、クライフさん。このジャムを収納して、こちらの瓶に入れてください」

 なるほど。これが出来れば実際に回収できるかわかるな。

「かしこまりました。マドモアゼル。ただ、素手でジャムに触るとジャムが汚れてしまうのではありませんか?」

 そうだな。そのとおりだ。

 俺も直接手で触れないと収納できない。

「あっ、そうですね。では、こちらの手袋をお使いください」

 おっぱいさん(ケーニャさん)が透明のビニールのようなもので作られた手袋を持ってきた。

「これなら大丈夫でしょう。ではまいります」

 クライフが手をジャムに当てるとジャムが消えた。皿は綺麗だ。

 
 ほう、他の人のを見るのは新鮮だな。


「はい。ではこちらの瓶に戻していただけますか」

 おっぱいさん(ケーニャさん)が瓶を置く。クライフが瓶の口の上に手を置き、ぱっとジャムを出した。


 なるほど、こうなるのか。


「ありがとうございます。確かにアイテムボックス持ちですね。本当に助かります。ただ失礼ですが緊急事態なので、言いにくいでしょうが容量を教えていただいてもよろしいでしょうか」

 おっぱいさん(ケーニャさん)が丁寧に聞く。

 
 まぁそれもしょうがないな。


「私が今持っているものを全部出せば、60Kg位は持てますね。大きさは1m3までいけますよ」

 クライフはちょっと自慢気味だ。

 あれっそんなもんなのか、と俺はおもったが、おっぱいさん(ケーニャさん)は喜んだ。


「60kgですか、すごいです。助かります。クライフさん是非お願いします」

「わかりました、マドモアゼル。このクライフ・ターンが、あなたの力になりましょう」


 なんかボール蹴るのが上手そうな名前だな。

 でも60Kgで1m3がすごいのか。

 ふふふ。

 じゃあ、俺も見せてやるか。

 俺も問題なくジャムを持てた。

 液体そのままでも持てるんだ。

 そうなるとシチューも鍋ごとじゃなくていいのか、でもやっぱり出すとき困るかな。いっぺんに出ちゃうから鍋はいるな。いや、はじめから小分けして収納すればいけるか。

 ・・・・・・いや、今はどうでもいいな。

「俺は全部持ち物を出せば、300Kg、大きさは5m3くらいは持てますね」

 本当はもう少し持てるのだが、少し少なめに言ってみた。

「嘘だ!! きっ聞いたことないぞ、そんなに持てる訳がない。君、見栄を張るのはやめたまえ」

 容量を聞いたクライフがうろたえる。

 なるほど、そうなるのか。

 確かに俺も最初は俺も50Kg位だったしな。


「本当ですか、エルヴァンさん! すごいですよ!本当にそんなに持てるなら助かります! ……なにか実際に見せてもらってもよろしいでしょうか」
 
 おっぱいさん(ケーニャさん)も驚いたような反応だ。


 なんか気持ちいいな。


「わかりました。ではここに小屋をだしますね」

 ジャンっと音がしてテント小屋が現れた。

「おおおーー!!」

「まっまさか……こんな、すごい……」

 周りもザワザワしている。

 いきなりテント小屋が現れたら驚くわな。

 ふふふ。気持ちいいな。

「すごいです。ありがとうございます。ではさっそく工房へお願いします」

 皆でおっぱいさんと一緒にジャム工房へ行った。


 かなり大きな建物があり、多くの人が働いている。騒々しく皆騒いでいる。ジャムをどうするかで話し合いをしているようだ。

 案内されて工房に入った。


 うわっひどいな。


 床一面に真っ赤なイチゴジャムが広がっている。ものすごいイチゴの香りがする。いい匂いだがさすがにきつい。

 倒れたタンクは戻されたようで、立っているがものすごくでかい。3m位の高さがある大型タンクだ。足場がありはしごで上まで登れるようになっている。

 ……これは大変だぞ。

 簡単な説明を聞いて作業開始だ。

 クライフとお互いに顔を見合わせるが、来るんじゃなかったな。という顔をしている。


 うん、そうだね。おっぱいにつられた君のせいだね。


「ではお願いします」

 おっぱいさんが期待して俺達を見た。

 しょうがない、ではやるか。

 工房の外のスペースに移動し荷物を全部取り出した。皆余りの荷物に従業員も驚愕だ。アルフィーもシルフィーも驚いた。山盛りに収納していたのだ。


 スッキリしたところで仕事を開始する。

 手袋をつけた右手を床に当てイチゴジャムを目一杯回収する。

 おおっ!! 頭の中がイチゴジャムで一杯だ。

「うおおおおおお!!!」

「すっすごいぞ!! こりゃ」

 周りの作業員が一斉に騒ぎだす、床一面の真っ赤なイチゴジャムが一瞬にして5分の1位綺麗になったのだ。

「これはすごいな。私も自分の仕事はさせてもらいますよ」

 クライフも手を当て回収する。

「では、あのタンクにお願いします」

 クライフは足場に行き、はしごを上る。タンクの上の開口部に手を広げてイチゴジャムを取り出した。

 手から直接しか出せないようだ。

「おお、いける。これならいけるぞ」

「よかった、よかった。助かったなぁ」

 作業員や、工房長など皆が抱き合って喜んでいる。

 どうやら上手くいきそうだ。

 アイテムボックスはイチゴジャムだけを回収できるので、汚れも取れる、というか汚れが回収できないため、中身は綺麗なんだそうだ。

 なるほど。そうかも知れないな。

「そのまま直接出しますね」

 クライフが足場から離れるのを確認してから、俺はタンクの横から手をあげた。

 ジャンっと音がして空中にイチゴジャムが現れる。そのまま、どばどばっとタンクに入った。

「うおおおおおおお!!!!」

「なんじゃこりゃーーーー!!」

「すげーーー!!」

 びっくりして周りが騒ぐ。

 うわーっ気持ちーーっ! 物凄い優越感だ。


 さあさあ。もっと褒めていいのよ。


 おっぱいさんも飛び跳ねて喜んだ。

 もうゆれにゆれてぷるんぷるんだ。

「すごい! すごいです! 離れて出せるなんて、すごすぎです!!!」

「そうなのよ、すごいのよ。うちのご主人様は、ねーアルフィーさん」

「そうなんです。自慢の旦那様です」

 なぜかシルフィーも自慢げだ。


 こうして工房の床に広がったイチゴジャムを回収し、ヤレヤレと思ったところで、工房が5つあると言われクライフとともに絶句した。
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