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その4 レクサーニア公爵とシュウマンの旅
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レクサーニア公爵は早速シュウマンと二人で、放浪の旅に出るようだ。
道具はマジックバッグに入れているのだろう。二頭の馬にそれぞれが乗り、身軽な装備をしているだけだ。知らなければ誰が見ても公爵とは思わないだろう。
俺と同じだな。
目立たずに自然な旅がしたいのだろう。
「天使様、エアシル卿、本当に感謝しております。私はこれからシュウマンと二人で世界を旅をして来るつもりです。まずは我がレクサル王国を回り、船に乗ってネイマール王国に行くつもりです。エアシル卿の町にも行ってみたい。いつになるかは決めてませんが必ず行きたいと思います」
公爵はやはり40歳くらいだそうだ。だが目は希望に輝き、期待と興奮で瞬間少年のように見える。
シュウマンも同じような年齢だ。
「中年の二人旅ですが、私もワクワクしております。私もほぼこの町しか知りません。遅ればせながら殿下と二人で嫁を探しに行くつもりです」
豪快に笑いあう二人。本当の親友なのだろう。
「ええ、是非遊びに来てください」
エアシルの町の紙を渡す。
「おお、これは、素晴らしい町ですね。また楽しみが増えました」
公爵が感心した。
「では、私達も飛行船で帰りますね。そうだ、飛ぶ所をお見せしましょう」
「なんと、飛行船ですか!? それは是非拝見したい!」
「本当ですな」
ジャンと飛行船を出す。
「おおおおお!!」
「こんな大きな物が、アイテムボックスですか!?」
大げさに驚く二人。
ふふふ、これしか見せ場が無いからな。
「はい。ではまたお会いしましょう」
扉を開けて飛行船に乗り込もうとした。すると公爵に止められる。
「エアシル卿! 申し訳ない、少しだけでも乗せてもらえませんか」
公爵が真剣な顔をしてお願いしてきた。
「おおっ私も是非!」
いかつい顔のシュウマンも必死に迫る。
「そうですね。せっかくだから、お祝いに少し空を飛んでみましょうか」
「おおおお!! あり難い。いや、素晴らしいな」
「そうですな、殿下。奇跡は何回でも起きるものですな」
「まったくだ」
大喜びする二人のおっさん。
扉を開けて中に入ってもらう。
操縦席に俺とアルフィーが乗り、真ん中にレクサーニア公爵とシュウマンが乗る。
後ろにシルフィーとオルフィーが乗る。何とか入ったが飛行船の中はパンパンだ。
「本来は三人乗りなのです。多分大丈夫だとは思いますが、落ちたらすぐアルがヒールします」
皆が笑った。
「はい。では落ちないようにゆっくり行きますね」
アルフィーが慎重に操作する。
「こんなにワクワクするなんてな」
「そうですね。殿下」
おっさんが二人で目を見合わせて大興奮だ。まるで子供の様にはしゃいでいる。
かわいいな。
慎重にボリュームを上げると飛行船がふわっと浮かびあがる。
「おおおお!」
「浮きましたな!」
さらにぐわーんと上昇する。やっぱり浮力は六人乗っても問題ないな。
「おおおおお! こんなに高いぞ!」
「おおおおお! これは素晴らしい!」
二人が窓に張り付いている。
窓は開くので開けて顔を出して貰った。
少しは狭さから開放されたようだ。
「では当エアシル号はレクサル王国の王都アイランデルク一周の旅に皆様を誘います」
ガイド風に話すと拍手が巻起こった。
楽しく話をしながらゆっくりとアイランデルクを一周した。重量が増えた分だけスピードが出なかった。やはり上下には強いが前後の力が弱いようだ。
もちろんそれでも十分なのだが、贅沢を言えばそんな感じだ。
オフ氏ならすぐに改良してくれるだろう。
最後に低空飛行で城の周りを一周回った。大声を上げながら窓から手を出して振る二人。
それを見た城の人々や貴族達がビックリして手を振った。
すると、わらわらと人が集まり王や女王達も出て来て手を振りだした。
大騒動になり、城から庭に皆がゾロゾロ出て来て集まった。
皆が見上げる中で、目の前にゆっくり飛行船が着地した。
「兄上! 何ですかこれは!」
レクサル王が窓に、にじり寄る。
皆も飛行船に群がるように集まって注目している。
「はっはっは! これは神の乗り物だ」
「そうですな、殿下。これは神の乗り物でございますな」
得意げに言う二人。
「私も是非乗せていただきたい」
「私もでございます」
「私もー」
王と王妃、王子や王女が乗りたがる。
いかん、これは収集がつかんぞ。
そう思ったところで。
「陛下、わがままを言ってはいけません。神を困らせてはいけませんぞ!」
ピシャリと言うレクサーニア公爵。
うんうん、と大げさにうなずくシュウマン。
皆が一斉にシュンとする。
お前らはどうなんだ。
と言いたい所だが、あり難い。
大満足の二人が飛行船から降りると、速やかに扉を閉めて再び上昇した。
最高の笑顔で手を振るレクサーニア公爵とシュウマン。
心残りの顔をした王達を置いて、アイランデルクを後にした。
「レクサーニア公爵も本当に元気になりましたね。あんなにはしゃいで、まるで子供のようでしたね」
アルフィーが思い出したようにクスクスと笑う。
「ああ、すべてが楽しいんだろうな。やりたいことが出来るんだ。飛行船にだって遠慮無く必死に乗せてくれと言ってきた。その一言で、実際に飛行船に乗る事が出来たんだ。この差は大きいぞ。人間、本気で望めば願いは叶うんだよ。きっとうちに来る頃には嫁さんも一緒だと思うぞ」
40歳まで我慢して来たんだ。もう我慢せずにやりたい事をやるのだろう。きっと素晴らしい人生になるに違いない。
「そうですね、あの二人。楽しそうですもんね」
「そうね、嫁も一人じゃないかもね」
「そうですの! オルも我慢しませんの、主様ー」
オルフィーがいきなり服を脱いだ。たゆんたゆんの素晴らしい国宝がゆれる。
さっと中の席に来て前に居る俺を引っ張った。
「主様! オルを愛して欲しいんですの」
「お前は少し我慢をしろ」
「あーずるい、オルフィーさん」
「何やってるんですか!」
それから数日かけてエアシルの町に戻った。
道具はマジックバッグに入れているのだろう。二頭の馬にそれぞれが乗り、身軽な装備をしているだけだ。知らなければ誰が見ても公爵とは思わないだろう。
俺と同じだな。
目立たずに自然な旅がしたいのだろう。
「天使様、エアシル卿、本当に感謝しております。私はこれからシュウマンと二人で世界を旅をして来るつもりです。まずは我がレクサル王国を回り、船に乗ってネイマール王国に行くつもりです。エアシル卿の町にも行ってみたい。いつになるかは決めてませんが必ず行きたいと思います」
公爵はやはり40歳くらいだそうだ。だが目は希望に輝き、期待と興奮で瞬間少年のように見える。
シュウマンも同じような年齢だ。
「中年の二人旅ですが、私もワクワクしております。私もほぼこの町しか知りません。遅ればせながら殿下と二人で嫁を探しに行くつもりです」
豪快に笑いあう二人。本当の親友なのだろう。
「ええ、是非遊びに来てください」
エアシルの町の紙を渡す。
「おお、これは、素晴らしい町ですね。また楽しみが増えました」
公爵が感心した。
「では、私達も飛行船で帰りますね。そうだ、飛ぶ所をお見せしましょう」
「なんと、飛行船ですか!? それは是非拝見したい!」
「本当ですな」
ジャンと飛行船を出す。
「おおおおお!!」
「こんな大きな物が、アイテムボックスですか!?」
大げさに驚く二人。
ふふふ、これしか見せ場が無いからな。
「はい。ではまたお会いしましょう」
扉を開けて飛行船に乗り込もうとした。すると公爵に止められる。
「エアシル卿! 申し訳ない、少しだけでも乗せてもらえませんか」
公爵が真剣な顔をしてお願いしてきた。
「おおっ私も是非!」
いかつい顔のシュウマンも必死に迫る。
「そうですね。せっかくだから、お祝いに少し空を飛んでみましょうか」
「おおおお!! あり難い。いや、素晴らしいな」
「そうですな、殿下。奇跡は何回でも起きるものですな」
「まったくだ」
大喜びする二人のおっさん。
扉を開けて中に入ってもらう。
操縦席に俺とアルフィーが乗り、真ん中にレクサーニア公爵とシュウマンが乗る。
後ろにシルフィーとオルフィーが乗る。何とか入ったが飛行船の中はパンパンだ。
「本来は三人乗りなのです。多分大丈夫だとは思いますが、落ちたらすぐアルがヒールします」
皆が笑った。
「はい。では落ちないようにゆっくり行きますね」
アルフィーが慎重に操作する。
「こんなにワクワクするなんてな」
「そうですね。殿下」
おっさんが二人で目を見合わせて大興奮だ。まるで子供の様にはしゃいでいる。
かわいいな。
慎重にボリュームを上げると飛行船がふわっと浮かびあがる。
「おおおお!」
「浮きましたな!」
さらにぐわーんと上昇する。やっぱり浮力は六人乗っても問題ないな。
「おおおおお! こんなに高いぞ!」
「おおおおお! これは素晴らしい!」
二人が窓に張り付いている。
窓は開くので開けて顔を出して貰った。
少しは狭さから開放されたようだ。
「では当エアシル号はレクサル王国の王都アイランデルク一周の旅に皆様を誘います」
ガイド風に話すと拍手が巻起こった。
楽しく話をしながらゆっくりとアイランデルクを一周した。重量が増えた分だけスピードが出なかった。やはり上下には強いが前後の力が弱いようだ。
もちろんそれでも十分なのだが、贅沢を言えばそんな感じだ。
オフ氏ならすぐに改良してくれるだろう。
最後に低空飛行で城の周りを一周回った。大声を上げながら窓から手を出して振る二人。
それを見た城の人々や貴族達がビックリして手を振った。
すると、わらわらと人が集まり王や女王達も出て来て手を振りだした。
大騒動になり、城から庭に皆がゾロゾロ出て来て集まった。
皆が見上げる中で、目の前にゆっくり飛行船が着地した。
「兄上! 何ですかこれは!」
レクサル王が窓に、にじり寄る。
皆も飛行船に群がるように集まって注目している。
「はっはっは! これは神の乗り物だ」
「そうですな、殿下。これは神の乗り物でございますな」
得意げに言う二人。
「私も是非乗せていただきたい」
「私もでございます」
「私もー」
王と王妃、王子や王女が乗りたがる。
いかん、これは収集がつかんぞ。
そう思ったところで。
「陛下、わがままを言ってはいけません。神を困らせてはいけませんぞ!」
ピシャリと言うレクサーニア公爵。
うんうん、と大げさにうなずくシュウマン。
皆が一斉にシュンとする。
お前らはどうなんだ。
と言いたい所だが、あり難い。
大満足の二人が飛行船から降りると、速やかに扉を閉めて再び上昇した。
最高の笑顔で手を振るレクサーニア公爵とシュウマン。
心残りの顔をした王達を置いて、アイランデルクを後にした。
「レクサーニア公爵も本当に元気になりましたね。あんなにはしゃいで、まるで子供のようでしたね」
アルフィーが思い出したようにクスクスと笑う。
「ああ、すべてが楽しいんだろうな。やりたいことが出来るんだ。飛行船にだって遠慮無く必死に乗せてくれと言ってきた。その一言で、実際に飛行船に乗る事が出来たんだ。この差は大きいぞ。人間、本気で望めば願いは叶うんだよ。きっとうちに来る頃には嫁さんも一緒だと思うぞ」
40歳まで我慢して来たんだ。もう我慢せずにやりたい事をやるのだろう。きっと素晴らしい人生になるに違いない。
「そうですね、あの二人。楽しそうですもんね」
「そうね、嫁も一人じゃないかもね」
「そうですの! オルも我慢しませんの、主様ー」
オルフィーがいきなり服を脱いだ。たゆんたゆんの素晴らしい国宝がゆれる。
さっと中の席に来て前に居る俺を引っ張った。
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