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22.公爵令嬢は放出する
あの日以降、同じ令息たちは話し掛けて来なかった。
他のよく知らない令嬢たちからも、声を掛けられなくなっている。
それでも日々私を追う視線は、私の声掛けを待っているのだと訴えてくる。
叔父からの連絡はなく、正しい対処が見えなかった私は、学院では彼らの視線をなるべく受け止めないようにして過ごすようになった。
そして休日──。
王家の印もない飾り気のない馬車に乗り、王子殿下がこの小さな邸にやって来た。
直前まで倒れそうな程に青褪めていたハリマンも、今は私の後ろに控え、家令らしく頭を下げている。
「やぁ。今日は無理を言って悪かったね。これはお詫びではないけれど」
胃が痛いであろうハリマンには悪いけれど、今日の私はとても気が楽だった。
邸に公爵が不在だからだ。所用で今は王城に居る。
それも偶然ではないのだろう。
思わず探るように見つめていたら、目のまえに花束が差し出された。
青空の欠片を集めたような花束だった。
中心となる花は、あの裏庭に数多咲く花の中で一番好きな花だ。
思わず笑みが零れる。
「ありがとうございます。部屋に飾りますね」
「部屋に……うん。君の部屋に飾ってくれたら嬉しい」
今日は天気が良く、庭師たちが整えてくれたこの邸の小さな庭へと王子殿下を案内することが出来た。
ハリマンはこれにも反対していたけれど、今日は私が意思を押し通している。
狭い室内よりも外の方が使用人たちとも距離を取れ、王子殿下も気楽に話せるだろうと思ってのこと。
「いい庭だね。いつまでもここに居たいと思える場所だ」
思った通り、王子殿下は小さな庭に眉を顰めるようなことはなかった。
用意されたテーブル席に私たちが着席すると、待っていた侍女が紅茶を淹れた。
甘く濃い香りが漂う。
花の香る庭園で、花の香りの紅茶では香りが強過ぎただろうか。
憂いつつ、私は王子殿下の反応を待った。
「いい香りだね。この紅茶は初めて飲むと思うな。うん、美味しい」
お口に合わなければ他の紅茶を用意するようにとお願いしていた侍女と視線を交わして、私は微笑み頷いた。
侍女が私たちの席から距離を取る。
王子殿下がカップを置いた。
私は真直ぐに注がれる視線を受け止める。
「君から話してくれるときを待つつもりだった。けれどもう時間がないようでね」
陛下が決められようとしているのか。
公爵がそのように動いたか。
それとも叔父のせいだろうか。
すべてが急ぐ理由かもしれない。
「今日は君の願いを──本音を聞かせて貰えないだろうか」
言ってどうなるだろう?と私が考える必要もないことだった。
「聞くにあたって、私が君の願いをすべて叶えるなどという、無責任なことは言わない。それでも知って──それが成就困難な願いだとしてもだ。より良い結果を得るために、二人で考え行動していけたらと思っている。まったく無責任で情けない聞き方だと思うけれど、君が本当に望んでいることを話してくれる?」
不思議と迷いはなく、頷いてから声を出すまでに、間も空かなかった。
「私の本音はずっと変わりません。私は公爵になりたくないと思っています。そして、貴族をやめたいとも願ってきました」
「そうか」
「はい。ですが、近頃は、それでいいのかという迷いも抱いています。公爵になりたいわけではないのですが」
途中侯爵家で育ったとはいえ、公爵家に生まれ育ち、その利を得ながら、義務を果たさないことは許されるのか。
家門の令嬢を知ったことで、私は迷い始めている。
彼女たちを守れる立場を得なくていいの?心の声が囁くのだ。
そして王子殿下のことも──。
「私との結婚についてはどう?」
「将来は貴族位を捨てるつもりで生きて参りましたので、結婚は生涯しないものと思っておりました。ですので結婚に対する考えもなく、特に思うことはありません」
公爵家の血が流れている私が、貴族位を捨てて市井に出たからといって、おいそれと庶民と結婚し、子をなすことは許されない。
公爵となる義務から逃れようとしていた私も、血を守る義務から逃れようと考えたことはなかった。
生涯独身でいいから、市井で民に紛れ生きられたなら──それが夢物語で終わろうとしていることは、薄々ではなく、もうはっきりと感じ取っている。
だからこれは口にしなくてもいいことだった。
それでも私は、王子殿下に本音を伝えたいと願った。
「とても君らしい正直な意見だね。シェーンクルム公爵とグラスデューラー子爵に願うことは?」
「放っておいて欲しいということでしょうか。もう私のために何もしないでいただきたいです」
王子殿下は神妙な顔で頷いた。
それから話が戻った。
「何故公爵になりたくないのか。貴族をやめたいのか。その理由も聞かせて貰っても?」
どうして理由を聞かれないと思えていたのだろう?
しばらく息を止めてしまって、王子殿下に大層心配を掛けてしまった。
「無理には言わなくていい。言えないことはあっていいから。君の願いも聞けたし、もうここまでにしようか」
「いいえ。隠したいわけではありません。理由は私の気性が貴族にはとても向いていないからなのです」
湧き出る泉のように、私の口から言葉が溢れる。
その勢いに、驚いている自分がいて、まるで今話している者が別の誰かのようだった。
「公爵になるために学ぶうち、私は多くの疑問を抱くようになりました。すると自然に公爵にはなりたくないと思い始めたのです。それがあの日……あの事故があって、私は心から公爵にはなるものかと思うようになりました」
歴代の公爵がしてきた判断が、私の生まれ持った黙っていられない性分を強く刺激した。
何故?何故?何故?
教師も、公爵も、私の質問に困惑するばかりで、私が望む答えを与えてはくれなかった。
公爵はおかしなことを聞くなと、私を叱るようになっていく。
「私は……出来ません、殿下。たとえ彼に落ち度はあったとして、彼が見落とさなければあの事故はなかったとして……自分も酷い怪我を負いながら、私たちを必死に助けようとしてくれたあの御者を処分など。私には出来ないことです」
目覚めたあとに御者の処遇を聞いて、私はとても立派な公爵にはなれないと悟った。
母が望んだ未来はないことが分かったのだ。
馬車の潰れ方が悪く、母の身体は馬車の壁に挟まれ身動きが取れなくなっていた。
抱えられた私も動けないでいた。
僅かな隙間から傷だらけの身体で馬車を破壊しようと試みる御者の姿を見た。
そんな御者を母も気に留めなかった。
目覚めたときが遅すぎて。早く目覚めたところで何も出来なかったかもしれないけれど。
せめて名誉を回復しようと。
御者が私たちを助けようと尽力してくれた事実を伝えても、それが何だという反応が返って来る。
公爵だけではない。
家令ハリマンも。どの侍女も。祖父母も。伯父夫婦も。そして叔父も──。
誰もが私の言葉を理解出来ないという顔をした。
皆が一様に、私が幼く、事故の後で混乱しているものと理解して、事故の話から私を遠避けるようになった。
あの症状が出て、それは強化されていく。
私から事故の話に触れることも許されなくなった。
私が名誉を回復したい者たちは、御者だけではない。
「騎士もそうです。あの日、家族水入らずで過ごしたいと望んだのは母で、これを認めたのが公爵でした。安全な王都だからと護衛の数を減らし、あげくあの馬車から距離を取らせた。彼らは事故の後、急いで駆け付け、人数が足りないからと本邸に馬を走らせてくれたことを聞いています。彼らがいなければ私はどうなっていたか分からないと言われました。それなのに、どうして処分されるのです?」
邸で待機を命じられていた護衛騎士までが処分されていた。
幼い私によくしてくれていた護衛騎士隊長も責任を取って職務から退いている。
本当に何故?
あの私への失言を責められていた公爵も、彼がした事故後の始末については、誰にも責められることはなかった。
だから殴ったのかもしれない。
私は母ではないことを知らせ、正気に戻すつもりで、手を上げたものだと思っていたけれど。
目覚めた直後の私は、聞く前から悟っていたのではないだろうか。
もう御者にはお礼を伝えられない。
助けてくれた騎士たちにも会えない。
そうして本邸のあの部屋が、それらのどうにもならない感情と折り重なるようにして、私の記憶に刻まれたのだろう。
馬車も、本邸のあの部屋も、私には──。
「彼らに偉そうに言った後で、これでは私も示しがつかないな。許可なく触れてしまったことは、令嬢たちにも秘密にしてくれる?」
私の両手が覆われていた。
そこで私は、身体が震えていたことに気が付けた。
他のよく知らない令嬢たちからも、声を掛けられなくなっている。
それでも日々私を追う視線は、私の声掛けを待っているのだと訴えてくる。
叔父からの連絡はなく、正しい対処が見えなかった私は、学院では彼らの視線をなるべく受け止めないようにして過ごすようになった。
そして休日──。
王家の印もない飾り気のない馬車に乗り、王子殿下がこの小さな邸にやって来た。
直前まで倒れそうな程に青褪めていたハリマンも、今は私の後ろに控え、家令らしく頭を下げている。
「やぁ。今日は無理を言って悪かったね。これはお詫びではないけれど」
胃が痛いであろうハリマンには悪いけれど、今日の私はとても気が楽だった。
邸に公爵が不在だからだ。所用で今は王城に居る。
それも偶然ではないのだろう。
思わず探るように見つめていたら、目のまえに花束が差し出された。
青空の欠片を集めたような花束だった。
中心となる花は、あの裏庭に数多咲く花の中で一番好きな花だ。
思わず笑みが零れる。
「ありがとうございます。部屋に飾りますね」
「部屋に……うん。君の部屋に飾ってくれたら嬉しい」
今日は天気が良く、庭師たちが整えてくれたこの邸の小さな庭へと王子殿下を案内することが出来た。
ハリマンはこれにも反対していたけれど、今日は私が意思を押し通している。
狭い室内よりも外の方が使用人たちとも距離を取れ、王子殿下も気楽に話せるだろうと思ってのこと。
「いい庭だね。いつまでもここに居たいと思える場所だ」
思った通り、王子殿下は小さな庭に眉を顰めるようなことはなかった。
用意されたテーブル席に私たちが着席すると、待っていた侍女が紅茶を淹れた。
甘く濃い香りが漂う。
花の香る庭園で、花の香りの紅茶では香りが強過ぎただろうか。
憂いつつ、私は王子殿下の反応を待った。
「いい香りだね。この紅茶は初めて飲むと思うな。うん、美味しい」
お口に合わなければ他の紅茶を用意するようにとお願いしていた侍女と視線を交わして、私は微笑み頷いた。
侍女が私たちの席から距離を取る。
王子殿下がカップを置いた。
私は真直ぐに注がれる視線を受け止める。
「君から話してくれるときを待つつもりだった。けれどもう時間がないようでね」
陛下が決められようとしているのか。
公爵がそのように動いたか。
それとも叔父のせいだろうか。
すべてが急ぐ理由かもしれない。
「今日は君の願いを──本音を聞かせて貰えないだろうか」
言ってどうなるだろう?と私が考える必要もないことだった。
「聞くにあたって、私が君の願いをすべて叶えるなどという、無責任なことは言わない。それでも知って──それが成就困難な願いだとしてもだ。より良い結果を得るために、二人で考え行動していけたらと思っている。まったく無責任で情けない聞き方だと思うけれど、君が本当に望んでいることを話してくれる?」
不思議と迷いはなく、頷いてから声を出すまでに、間も空かなかった。
「私の本音はずっと変わりません。私は公爵になりたくないと思っています。そして、貴族をやめたいとも願ってきました」
「そうか」
「はい。ですが、近頃は、それでいいのかという迷いも抱いています。公爵になりたいわけではないのですが」
途中侯爵家で育ったとはいえ、公爵家に生まれ育ち、その利を得ながら、義務を果たさないことは許されるのか。
家門の令嬢を知ったことで、私は迷い始めている。
彼女たちを守れる立場を得なくていいの?心の声が囁くのだ。
そして王子殿下のことも──。
「私との結婚についてはどう?」
「将来は貴族位を捨てるつもりで生きて参りましたので、結婚は生涯しないものと思っておりました。ですので結婚に対する考えもなく、特に思うことはありません」
公爵家の血が流れている私が、貴族位を捨てて市井に出たからといって、おいそれと庶民と結婚し、子をなすことは許されない。
公爵となる義務から逃れようとしていた私も、血を守る義務から逃れようと考えたことはなかった。
生涯独身でいいから、市井で民に紛れ生きられたなら──それが夢物語で終わろうとしていることは、薄々ではなく、もうはっきりと感じ取っている。
だからこれは口にしなくてもいいことだった。
それでも私は、王子殿下に本音を伝えたいと願った。
「とても君らしい正直な意見だね。シェーンクルム公爵とグラスデューラー子爵に願うことは?」
「放っておいて欲しいということでしょうか。もう私のために何もしないでいただきたいです」
王子殿下は神妙な顔で頷いた。
それから話が戻った。
「何故公爵になりたくないのか。貴族をやめたいのか。その理由も聞かせて貰っても?」
どうして理由を聞かれないと思えていたのだろう?
しばらく息を止めてしまって、王子殿下に大層心配を掛けてしまった。
「無理には言わなくていい。言えないことはあっていいから。君の願いも聞けたし、もうここまでにしようか」
「いいえ。隠したいわけではありません。理由は私の気性が貴族にはとても向いていないからなのです」
湧き出る泉のように、私の口から言葉が溢れる。
その勢いに、驚いている自分がいて、まるで今話している者が別の誰かのようだった。
「公爵になるために学ぶうち、私は多くの疑問を抱くようになりました。すると自然に公爵にはなりたくないと思い始めたのです。それがあの日……あの事故があって、私は心から公爵にはなるものかと思うようになりました」
歴代の公爵がしてきた判断が、私の生まれ持った黙っていられない性分を強く刺激した。
何故?何故?何故?
教師も、公爵も、私の質問に困惑するばかりで、私が望む答えを与えてはくれなかった。
公爵はおかしなことを聞くなと、私を叱るようになっていく。
「私は……出来ません、殿下。たとえ彼に落ち度はあったとして、彼が見落とさなければあの事故はなかったとして……自分も酷い怪我を負いながら、私たちを必死に助けようとしてくれたあの御者を処分など。私には出来ないことです」
目覚めたあとに御者の処遇を聞いて、私はとても立派な公爵にはなれないと悟った。
母が望んだ未来はないことが分かったのだ。
馬車の潰れ方が悪く、母の身体は馬車の壁に挟まれ身動きが取れなくなっていた。
抱えられた私も動けないでいた。
僅かな隙間から傷だらけの身体で馬車を破壊しようと試みる御者の姿を見た。
そんな御者を母も気に留めなかった。
目覚めたときが遅すぎて。早く目覚めたところで何も出来なかったかもしれないけれど。
せめて名誉を回復しようと。
御者が私たちを助けようと尽力してくれた事実を伝えても、それが何だという反応が返って来る。
公爵だけではない。
家令ハリマンも。どの侍女も。祖父母も。伯父夫婦も。そして叔父も──。
誰もが私の言葉を理解出来ないという顔をした。
皆が一様に、私が幼く、事故の後で混乱しているものと理解して、事故の話から私を遠避けるようになった。
あの症状が出て、それは強化されていく。
私から事故の話に触れることも許されなくなった。
私が名誉を回復したい者たちは、御者だけではない。
「騎士もそうです。あの日、家族水入らずで過ごしたいと望んだのは母で、これを認めたのが公爵でした。安全な王都だからと護衛の数を減らし、あげくあの馬車から距離を取らせた。彼らは事故の後、急いで駆け付け、人数が足りないからと本邸に馬を走らせてくれたことを聞いています。彼らがいなければ私はどうなっていたか分からないと言われました。それなのに、どうして処分されるのです?」
邸で待機を命じられていた護衛騎士までが処分されていた。
幼い私によくしてくれていた護衛騎士隊長も責任を取って職務から退いている。
本当に何故?
あの私への失言を責められていた公爵も、彼がした事故後の始末については、誰にも責められることはなかった。
だから殴ったのかもしれない。
私は母ではないことを知らせ、正気に戻すつもりで、手を上げたものだと思っていたけれど。
目覚めた直後の私は、聞く前から悟っていたのではないだろうか。
もう御者にはお礼を伝えられない。
助けてくれた騎士たちにも会えない。
そうして本邸のあの部屋が、それらのどうにもならない感情と折り重なるようにして、私の記憶に刻まれたのだろう。
馬車も、本邸のあの部屋も、私には──。
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