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63.従姉妹たちと一緒に勘違いしていたようです
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「あなたはこの子たちから聞かされていたのよね?」
「それは……」
元気よく返事がしにくい事態です。
従姉妹たちはいつも「他の人には内緒よ」と言っていたものですから。
「すでに知っているから隠さずともよろしい」
「あ、はい」
お母さまに隠し事は無理でしたね。
「すべては伯が要らぬ箝口令を敷いたせいですからね。あなたたちが勘違いをしたことは責めませんわ」
お母さまの持つ閉じた扇の先は、従姉妹たちへと向かいました。
「勘違いですって?」
レーネは震え俯いておりますのに、ミーネはむっとした顔で言い返したのです。
ミーネ、やはり強いわ。
「では、あなたたちはミシェルの生まれについてどのように聞いていまして?」
「それは……こんなところで言っていいわけ?」
どうやらミーネは苛立っているようです。
その口調は刺々しく、可愛らしい容姿からは、毛を逆立てた子猫のようだと私は感じました。
ただ気になることには、先ほどすでに私の生まれについてミーネが叫んでおりましたよね?
ですから今さら気にすることではないと思うのですが……。
「事実ではありませんし、構いませんことよ」
ほら、お母さまも。
今さら気にするな、早く話せと言っているではありませんか。
「事実ではないですって?」
「いいから早く言いなさい」
「ひっ……分かったわよ!ミシェルお姉さまは、おじさまが不貞をされて出来た子なのでしょう?」
怯えたのは一瞬、ミーネはすぐさま私の出自を皆様の前で改めて発表しておりました。
なんだか恥ずかしくて俯いてしまったのですが、ジンが抱き締めてくれていましたので、心までは折れずに済みました。
いえ、待ってください。
父のこの長い手紙によると、私の父という人の話が出て来ていたような……。
「そうではありません。ミシェルは妹の子です」
「だからっ!あん……おばさまの妹の子なのでしょう?おじさまがおばさまの妹と不貞をしていて、ミシェルお姉さまはその子どもだって聞いたわ」
今何かとても良くない言葉で母を呼ぼうとしていたような……。
ミーネ、それはいけません。それはやめて正解です。それだけはやめておくことです。
かつて「ばばぁ」と言った人間がその後どうなったか、あなたは知らないのですね?
え?そこまで悪く言うつもりは元々ない?そうでしたか。
「それを誰から聞いたのです?」
「それは……色々な人たちよ!みんな言っていたわ!」
お母さまは手に持つ扇を閉じたまま、パンと手のひらを叩きました。
「わたくしの妹だとはっきり聞いたことがありまして?」
「みんなそう言って……お母さまはそう……言っていたわよね、お姉さま?」
少しずつ言葉に力がなくなったミーネは、隣のレーネに尋ねます。
レーネは何もかも悟った顔をして首を振りました。
「ミシェルお姉さまは本当は妹の子なのだと言っていたのを聞いただけでしたわ」
レーネの真っ白い顔からは、諦念のようなものを受け取りました。
見ているだけで胸が痛むのですが、励まし方も分かりません。
「言っておきますが、わたくしに妹はおりません」
「なんですって?それなら……ミシェルお姉さまは誰の子なのよ」
ミーネの声から完全に張りが失われておりました。
今度は戦意を喪失して怯える猫のようです。
お母さまがすっと私に向き直ります。
けれども扇の先がこちらを向くことはありませんでした。
「ミシェル。わたくしたちはあなたを実の子だと思って育ててきました。それは今も変わりません。けれどもあなたはわたくしが産んだ子ではございません」
「はい」
「あなたの母は伯の妹です」
「はくのいもうと……」
「しっかりなさい。お父さまの妹、つまりアルからすれば叔母にあたる方。それがミシェル、あなたの産みの母です」
お父さまの妹の子?本当に?
どうしましょう、信じられないわ。
何せ私も私はお母さまの妹の子だと信じ切っていたからです。
お父さまがお母さまの妹にまで手を出した、そのうえ先に懐妊させた、これは我が家の醜聞となることだから、お母さまの妹については存在を無かったことにされている。
従姉妹たちがそのように解説してくれていたのですが……全部勘違いだったということなのですね?
あら?でもおかしいわ。
それならあのお部屋はどうして──?
「部屋の並びをよく思い出すことよ」
お母さまは凛と通る声で、私の考えを改めるのでした。
私は故郷の懐かしい屋敷の様子を思い出すことにします。
「それは……」
元気よく返事がしにくい事態です。
従姉妹たちはいつも「他の人には内緒よ」と言っていたものですから。
「すでに知っているから隠さずともよろしい」
「あ、はい」
お母さまに隠し事は無理でしたね。
「すべては伯が要らぬ箝口令を敷いたせいですからね。あなたたちが勘違いをしたことは責めませんわ」
お母さまの持つ閉じた扇の先は、従姉妹たちへと向かいました。
「勘違いですって?」
レーネは震え俯いておりますのに、ミーネはむっとした顔で言い返したのです。
ミーネ、やはり強いわ。
「では、あなたたちはミシェルの生まれについてどのように聞いていまして?」
「それは……こんなところで言っていいわけ?」
どうやらミーネは苛立っているようです。
その口調は刺々しく、可愛らしい容姿からは、毛を逆立てた子猫のようだと私は感じました。
ただ気になることには、先ほどすでに私の生まれについてミーネが叫んでおりましたよね?
ですから今さら気にすることではないと思うのですが……。
「事実ではありませんし、構いませんことよ」
ほら、お母さまも。
今さら気にするな、早く話せと言っているではありませんか。
「事実ではないですって?」
「いいから早く言いなさい」
「ひっ……分かったわよ!ミシェルお姉さまは、おじさまが不貞をされて出来た子なのでしょう?」
怯えたのは一瞬、ミーネはすぐさま私の出自を皆様の前で改めて発表しておりました。
なんだか恥ずかしくて俯いてしまったのですが、ジンが抱き締めてくれていましたので、心までは折れずに済みました。
いえ、待ってください。
父のこの長い手紙によると、私の父という人の話が出て来ていたような……。
「そうではありません。ミシェルは妹の子です」
「だからっ!あん……おばさまの妹の子なのでしょう?おじさまがおばさまの妹と不貞をしていて、ミシェルお姉さまはその子どもだって聞いたわ」
今何かとても良くない言葉で母を呼ぼうとしていたような……。
ミーネ、それはいけません。それはやめて正解です。それだけはやめておくことです。
かつて「ばばぁ」と言った人間がその後どうなったか、あなたは知らないのですね?
え?そこまで悪く言うつもりは元々ない?そうでしたか。
「それを誰から聞いたのです?」
「それは……色々な人たちよ!みんな言っていたわ!」
お母さまは手に持つ扇を閉じたまま、パンと手のひらを叩きました。
「わたくしの妹だとはっきり聞いたことがありまして?」
「みんなそう言って……お母さまはそう……言っていたわよね、お姉さま?」
少しずつ言葉に力がなくなったミーネは、隣のレーネに尋ねます。
レーネは何もかも悟った顔をして首を振りました。
「ミシェルお姉さまは本当は妹の子なのだと言っていたのを聞いただけでしたわ」
レーネの真っ白い顔からは、諦念のようなものを受け取りました。
見ているだけで胸が痛むのですが、励まし方も分かりません。
「言っておきますが、わたくしに妹はおりません」
「なんですって?それなら……ミシェルお姉さまは誰の子なのよ」
ミーネの声から完全に張りが失われておりました。
今度は戦意を喪失して怯える猫のようです。
お母さまがすっと私に向き直ります。
けれども扇の先がこちらを向くことはありませんでした。
「ミシェル。わたくしたちはあなたを実の子だと思って育ててきました。それは今も変わりません。けれどもあなたはわたくしが産んだ子ではございません」
「はい」
「あなたの母は伯の妹です」
「はくのいもうと……」
「しっかりなさい。お父さまの妹、つまりアルからすれば叔母にあたる方。それがミシェル、あなたの産みの母です」
お父さまの妹の子?本当に?
どうしましょう、信じられないわ。
何せ私も私はお母さまの妹の子だと信じ切っていたからです。
お父さまがお母さまの妹にまで手を出した、そのうえ先に懐妊させた、これは我が家の醜聞となることだから、お母さまの妹については存在を無かったことにされている。
従姉妹たちがそのように解説してくれていたのですが……全部勘違いだったということなのですね?
あら?でもおかしいわ。
それならあのお部屋はどうして──?
「部屋の並びをよく思い出すことよ」
お母さまは凛と通る声で、私の考えを改めるのでした。
私は故郷の懐かしい屋敷の様子を思い出すことにします。
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