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68.王都の邸にも恋は溢れていたようです
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ミーネはすぐにお母さまに反論しました。
「お父さまはずっと王都で頑張っていらしたわ!」
「王都にいても邸に戻らず遊び回り、他家とのトラブルを抱えるばかり。利を得るどころか伯からの手当と称した仕送りは散財し、賭博に嵌って借金も増やしていたそうね」
「そ、それは……」
「そのうえ此度の逮捕です。彼はもう我が家の瑕疵でしかありません。それから夫人も同じく」
「お母さまが何だって言うのよ!」
「遊ぶことしかしていなかったそうね?それもわざわざ夫とは別に楽しんでいたそうではないの。家と家の繋がりを重視するでもなく、ただ気持ち良く持ち上げてくださる皆様と茶会だパーティーだと遊び呆けて、ドレスも宝石も毎月相当な数を買い揃えていたそうね」
「分かっていないわね!王都では必要なことなのよ!ドレスが古いと恥を掻くのは、当主であるおじさまなのよ?最先端のドレスも買い与えられない家なのかって笑われるんだから!」
「そのような口さがない者と我が家は付き合う必要がございません。言わせておけばよろしい」
「そんなわけにはいかないじゃない!王都では評判が命なんだから!」
お母さまの目は冷ややかに蔑みを露わにしました。
「その王都で、邸に若い男性が幾人も出入りしていると囁かれているのはどういうことかしら?」
「そ、そんな話は知らないわよ」
ミーネの視線が明らかに彷徨っておりました。
王都では恋が溢れていると聞いておりましたが。
まさか家にも恋が溢れていたなんて。
お母さまはもう叔父さま夫妻の話はしたくないと示す如く、バシンと扇で手を強く打ち付けました。
私はどうしても背筋が伸びてしまうのです。もうずっと伸びっぱなしですのに。
「此度の件、わたくしたちにも責はございます。特に伯にはそれ相応の責任を取らせる所存。報告はいくらも上がってきておりましたのに、ここまで義弟を甘やかした伯の責任は重いものです。本当にあの方は身内に甘く……」
「そうよ!あんたじゃなくておじさまならわたくしを助けてくれるわ!」
希望が見えたとミーネは笑顔になりましたが、どこかその笑顔が歪んでいるように感じたのです。
今までの可愛らしいミーネの顔とは違って見えていました。
「そうですね。伯と話し合いましたが、親の問題を子に引き継がせるものではなく、あなたたち二人に関しては同情の余地ありとの結論は出ています」
にんまりと微笑んだミーネは、本当に誰か分からない笑い方をしておりました。
目や鼻などの造形は変わらないのに、人は表情の作り方でこれほどまでに印象を変えるものなのですね。
お母さまは変わらず冷え冷えとした瞳で、ソファーに座るミーネを見下ろしておりました。
この目で見詰められて、震えずにいられるミーネの強さには驚愕です。
実はミーネが最強なのでは……?
「だからと言って、無条件で酌量するようなことは致しませんよ。あなたたちがこれまでに行ったことは消えませんし、あなたたちはもう分別のない幼子ではありませんから、自分の行いの責任を取らなければなりません」
「意味が分からないわ!何でもいいから、わたくしを助けなさい!」
領地の皆様がここにいたら、私と同じように驚いていたことでしょう。
母に命令出来る人は、領地にはおりませんでしたから。
けれどもお母さまは、淡々と話を続けておりました。
「まずはあなたたちが己の罪を認め、責任を取りながら、しっかりと反省すること。それがないことには、わたくしたちは何の手助けも致しませんよ」
「それなら問題ないわ!裁判のことだったら、お姉さまが責任を取るもの。わたくしは反省するわね。それでいいのでしょう?」
ミーネの言葉に反応を示さなかったお母さまは、今度は扇の先をレーネへと向けました。
心配になるほどにその顔色は悪いままですが、レーネは顔を上げてしっかりと母を見据えておりました。
その瞳から、戦う騎士に通じる強い覚悟を見て取れたのです。
レーネもまた、幼い頃からよく知った従姉妹ではなく、知らないご令嬢のようでした。
「申し訳ありません」
レーネは静かにそう言ったのち、座ったままでしたけれど頭を下げたのです。
それは心から反省している人の行いに見えました。
「お父さまはずっと王都で頑張っていらしたわ!」
「王都にいても邸に戻らず遊び回り、他家とのトラブルを抱えるばかり。利を得るどころか伯からの手当と称した仕送りは散財し、賭博に嵌って借金も増やしていたそうね」
「そ、それは……」
「そのうえ此度の逮捕です。彼はもう我が家の瑕疵でしかありません。それから夫人も同じく」
「お母さまが何だって言うのよ!」
「遊ぶことしかしていなかったそうね?それもわざわざ夫とは別に楽しんでいたそうではないの。家と家の繋がりを重視するでもなく、ただ気持ち良く持ち上げてくださる皆様と茶会だパーティーだと遊び呆けて、ドレスも宝石も毎月相当な数を買い揃えていたそうね」
「分かっていないわね!王都では必要なことなのよ!ドレスが古いと恥を掻くのは、当主であるおじさまなのよ?最先端のドレスも買い与えられない家なのかって笑われるんだから!」
「そのような口さがない者と我が家は付き合う必要がございません。言わせておけばよろしい」
「そんなわけにはいかないじゃない!王都では評判が命なんだから!」
お母さまの目は冷ややかに蔑みを露わにしました。
「その王都で、邸に若い男性が幾人も出入りしていると囁かれているのはどういうことかしら?」
「そ、そんな話は知らないわよ」
ミーネの視線が明らかに彷徨っておりました。
王都では恋が溢れていると聞いておりましたが。
まさか家にも恋が溢れていたなんて。
お母さまはもう叔父さま夫妻の話はしたくないと示す如く、バシンと扇で手を強く打ち付けました。
私はどうしても背筋が伸びてしまうのです。もうずっと伸びっぱなしですのに。
「此度の件、わたくしたちにも責はございます。特に伯にはそれ相応の責任を取らせる所存。報告はいくらも上がってきておりましたのに、ここまで義弟を甘やかした伯の責任は重いものです。本当にあの方は身内に甘く……」
「そうよ!あんたじゃなくておじさまならわたくしを助けてくれるわ!」
希望が見えたとミーネは笑顔になりましたが、どこかその笑顔が歪んでいるように感じたのです。
今までの可愛らしいミーネの顔とは違って見えていました。
「そうですね。伯と話し合いましたが、親の問題を子に引き継がせるものではなく、あなたたち二人に関しては同情の余地ありとの結論は出ています」
にんまりと微笑んだミーネは、本当に誰か分からない笑い方をしておりました。
目や鼻などの造形は変わらないのに、人は表情の作り方でこれほどまでに印象を変えるものなのですね。
お母さまは変わらず冷え冷えとした瞳で、ソファーに座るミーネを見下ろしておりました。
この目で見詰められて、震えずにいられるミーネの強さには驚愕です。
実はミーネが最強なのでは……?
「だからと言って、無条件で酌量するようなことは致しませんよ。あなたたちがこれまでに行ったことは消えませんし、あなたたちはもう分別のない幼子ではありませんから、自分の行いの責任を取らなければなりません」
「意味が分からないわ!何でもいいから、わたくしを助けなさい!」
領地の皆様がここにいたら、私と同じように驚いていたことでしょう。
母に命令出来る人は、領地にはおりませんでしたから。
けれどもお母さまは、淡々と話を続けておりました。
「まずはあなたたちが己の罪を認め、責任を取りながら、しっかりと反省すること。それがないことには、わたくしたちは何の手助けも致しませんよ」
「それなら問題ないわ!裁判のことだったら、お姉さまが責任を取るもの。わたくしは反省するわね。それでいいのでしょう?」
ミーネの言葉に反応を示さなかったお母さまは、今度は扇の先をレーネへと向けました。
心配になるほどにその顔色は悪いままですが、レーネは顔を上げてしっかりと母を見据えておりました。
その瞳から、戦う騎士に通じる強い覚悟を見て取れたのです。
レーネもまた、幼い頃からよく知った従姉妹ではなく、知らないご令嬢のようでした。
「申し訳ありません」
レーネは静かにそう言ったのち、座ったままでしたけれど頭を下げたのです。
それは心から反省している人の行いに見えました。
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