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レイスの海底さんぽ
無敵のカメラVS虚無の海
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魔界経済新聞社――。
“魔王だろうがガチで糾弾する”と噂される、魔界唯一の真っ当な(?)報道機関。
だがそのリスクは高く、ヤバい時はビルごと空を飛んで別の場所に移動するという。
都市伝説まがいの生存本能を持っていた。
通りを歩いていたレイスは、頭上でゴゴゴ……という不穏な音に気づき、ふと見上げる。
いつの間にか、さっきまでなかったはずの“魔界経済新聞社”のビルが。
しれっと新しい区画の上空に鎮座している。
「あの社長、まぁた本社移動させたんだ……」
レイスは呆れ半分、でもどこか納得した表情で口元を緩めた。
「ま、おかげで行きやすくて助かる」
そんなことをぼやきながら、彼はビルの自動ドアをくぐり抜ける。
頭上には“LAZY TIMES”のネオン。
ビルの屋上では“移動用ブースター”がまだ微かに赤く熱を持っていた。
受付に立ったレイスは、くしゃくしゃの前髪をかきあげながら、不機嫌そうに言った。
「ねぇ、社長に会わせてよ。カメラ貸してほしいんだ」
受付嬢は、にっこりと微笑みながらも眉をピクリと動かす。
「えぇー!?ダメです!いけません!まず“用件”をきちんと言って下さい!」
「無慟海を撮りてぇの」
沈黙。
受付嬢の笑顔が硬直した。口を開けかけたまま動かない。
“無慟海”――魔界でも屈指の“魔力ゼロ地帯”、誰もが名を聞くだけで黙りこむ死の海。
「無慟海って……あの……無慟海、ですか?」
確認にもならない確認を呟いたあと、受付はバッと席を立って内線へ駆け込む。
数階上、編集長室。
書類と新聞と、コーヒーカップと謎の煎餅の山に囲まれた机にて。
グラシャラボラス社長がふんぞり返っていた。
「なにィ!?来て早々、俺のカメラを貸せつってきた!?」
紫の髪が跳ねる。
その口元に浮かんだのは、どこか挑発を楽しむ悪童の笑み。
「面白ェ!!通せ!!」
即決だった。
誰も止められない。
止める前に、この社長は、もうレイスに会う気満々だった。
こうして、魔界一狂った報道機関の扉は、静かに、だが劇的に開かれた。
次なる見出しは、たった一枚の“虚無の写真”になるかもしれない。
応接室の扉が開いた。
レイスは少し警戒した足取りで中に入り――そして、目の前の人物を見て素直に口を開いた。
「……え、てっきり厳ついオッサン想像してたのに」
椅子にふんぞり返るのは、赤いスリーピーススーツに身を包んだ、背の低い少年のような人物だった。
紫の髪に、油断のない眼差しと満面の笑み。
そのギラついた目が、書類の山越しにレイスを見上げていた。
「よく言われる」
グラシャラボラス。
魔界経済新聞社の現社長にして、“空飛ぶ報道機関”の顔。
彼はコーヒーを片手に足を机に乗せたまま、にやりと笑う。
「これでも大人だぜ。……ま、座れや」
レイスは無言で椅子を引いた。
その間にも、社長は口元だけで話を続ける。
「無慟海─撮りてぇんだってな?」
レイスは、静かに一度だけうなずいた。
「ん」
机の上でゆらゆらと湯気を立てるコーヒーの匂いと。
どこか“戦場の前線”みたいな空気が交差していた。
バリッ。
せんべいを噛む乾いた音が、応接室の静けさを切った。
「……で?」と、グラシャラボラスが頬張りながら言う。
「無慟海を撮ろうとしたが、無理だったって?」
レイスは肩をすくめるだけだった。
膝の上に置いたカップから、コーヒーの湯気が立ち昇る。
「なるほどなぁ……やっぱりそうか」
グラシャは指先で、袋からもう一枚せんべいを取り出すと、それを手の甲で軽くパキリと割った。
それが癖なのか、演出なのかはわからない。
けれどそのままの調子で、ぽつりと呟いた。
「無慟海は最高の被写体だ。だが、誰も“底”を見たことがねぇ」
その言葉に、レイスは一瞬だけ目線を上げる。
グラシャはそれに気づきながら、赤いスーツの袖で口元の塩をぬぐった。
「酸素がねぇ。マナもねぇ」
「この2つが揃うと、魔界製のあらゆる道具が“無”に還る」
「記録も、通信も拒絶される。まさに、“死の海”だ」
語る声に抑揚はなかった。
けれど、その瞳だけは、冗談でもなければジャーナリズムでもない。
“何か”を深く見ている色をしていた。
レイスは黙って聞いていた。
膝の上のカップに口をつけることなく、ただ、次の言葉を待っていた。
魔界の深淵と、塩せんべい。
それをつなぐのは、“知ってるやつにしかわからねぇ世界の端っこ”だった。
「この魔界で無慟海に耐えられる奴がいるとするなら」
せんべいを食べ終えたグラシャが、立ち上がりながら言った。
その口元には、いたずらっぽい笑みが残っている。
「俺の“相棒”だけだ」
彼はキャビネットの一番奥、ほこりをかぶった木箱をガサゴソと探りながら。
「ま、こいつと旅に出るのも何年ぶりだろうな」なんて、誰に言うでもなくぼやいた。
出てきたのは、見た目にはまったく何の変哲もない、“普通すぎる”カメラだった。
黒いボディ、レンズも大きすぎず小さすぎず。
魔界にありがちな魔眼模様もなければ、宝石装飾も皆無。
“the カメラ”という表現がこれ以上ないほど似合う道具だった。
レイスは思わず首をかしげた。
「……社長のカメラにしちゃ、普通だな」
グラシャはにやりと笑う。
「ああ、普通だよ。何の魔法強化もされちゃいない。ただ頑丈なだけだ」
「魔力なんざ、最初から一切使わねぇ。フィルム式、手巻き。
シャッター音はうるさいし感光もたまに失敗する」
机の上に置かれた“相棒”は、静かにその存在感を放っていた。
「でもな、こいつだけは“無慟海”でも生き残った」
語り口はいつもの飄々としたものだった。
だが、その言葉の奥に、レイスは妙な重さを感じた。
魔界の魔法をもってしても到達できなかった領域を“ただのカメラ”が捉える。
そこにあるのは、技術でも魔力でもない。もっと“えげつないもの”だ。
レイスは、机の上に置かれた黒いカメラをまじまじと見つめた。
それからぽつりと呟く。
「なぁ、これ……もしかして、トイカメラ?」
グラシャラボラスは、まるで褒め言葉でも聞いたかのように口角を上げた。
「ロモじゃん。……しかも初代LC-A」
「おっ、通だな。俺がいちばん信じてる“相棒”さ」
「露出なんか知ったこっちゃねぇ、でもこいつだけは、嘘つかねぇ」
レイスが眉をひそめながら指でレンズを軽く叩く。
グラシャは肘をつきながら、せんべいの欠片を指で払った。
「どうせ写真なんざ、あとからいくらでも加工できるだろ?」
その言葉に、レイスは一瞬だけ沈黙して─それから、皮肉っぽく笑った。
「そうだな」
彼はゆっくりとカメラを手に取る。
そのボディは、どこまでも“普通”で、重さすら曖昧だった。
だが、どこか懐かしい手触りがした。何かを忘れさせるような、何かを思い出させるような。
グラシャは椅子にもたれかかりながら、ニヤリとした笑みを崩さずにいた。
黒いカメラを手のひらで撫でながら、グラシャが急に声を張った。
「こいつはオモチャじゃねぇんだぞ!」
言いながら、ぐいっとレンズをレイスの顔すれすれに突きつける。
「ベルリンの壁崩壊だって撮ったんだ」
「……ほんとかよ」
レイスはカメラ越しに半眼で睨んだ。
「噂だ」
「噂かよ!!」
椅子の背にもたれながらレイスが突っ込むと。
グラシャはニヤリと笑って指でカメラをくるりと回した。
裏側のプレートには、年代不明のロシア文字がうっすら残っていた。
「ソ連製。しかも魔改造なし。すごいだろ?」
「何が“すごい”かよくわかんねぇけど……やっぱヤベぇなこの社……」
レイスは顔をしかめながら、けれどどこか楽しそうにその“相棒”を受け取った。
魔界を越えて、ソ連にまで繋がってるとかどうとか。
どこまでが真実で、どこからが都市伝説か。
けれど、そこに宿る「魂」だけは、本物だ。
「特別に、無慟海撮影の“間”まで貸してやる」
グラシャラボラスは、椅子の肘掛けに片肘を乗せ、指先でロモのストラップをくるりと回す。
「ただし!」
ピタリとレンズの向きを正面に戻すと、その目がギラリと光った。
「必ず捉えろ。あの“虚無の底”に何があるかをな!」
レイスは黙って頷いた。
椅子を押しのけて立ち上がる。
「……わかったぜ、社長さん」
カメラをポケットに収めながら、口の端だけをわずかに上げる。
「とりあえず、目に入ったもん全部撮るよ」
それだけ言い残して、レイスは背を向け、社長室の扉を開けて出ていった。
ロモのシャッター音が、どこか遠くで聞こえた気がした。
そして、ひとり残されたグラシャラボラスは椅子に体を預け、机に足を乗せる。
コーヒーの湯気が静かに立ち上るなか、彼は不敵に笑った。
「無慟海……」
窓の外、遠く霞む魔界の空を見上げる。
「あそこは、とんでもねぇ物を隠している。魔王のスキャンダルなんかとは──別次元のな」
虚無の底に何があるか。
写真に焼きつけられるその瞬間。
魔界そのものが“本当の姿”を見せるかもしれない。
“魔王だろうがガチで糾弾する”と噂される、魔界唯一の真っ当な(?)報道機関。
だがそのリスクは高く、ヤバい時はビルごと空を飛んで別の場所に移動するという。
都市伝説まがいの生存本能を持っていた。
通りを歩いていたレイスは、頭上でゴゴゴ……という不穏な音に気づき、ふと見上げる。
いつの間にか、さっきまでなかったはずの“魔界経済新聞社”のビルが。
しれっと新しい区画の上空に鎮座している。
「あの社長、まぁた本社移動させたんだ……」
レイスは呆れ半分、でもどこか納得した表情で口元を緩めた。
「ま、おかげで行きやすくて助かる」
そんなことをぼやきながら、彼はビルの自動ドアをくぐり抜ける。
頭上には“LAZY TIMES”のネオン。
ビルの屋上では“移動用ブースター”がまだ微かに赤く熱を持っていた。
受付に立ったレイスは、くしゃくしゃの前髪をかきあげながら、不機嫌そうに言った。
「ねぇ、社長に会わせてよ。カメラ貸してほしいんだ」
受付嬢は、にっこりと微笑みながらも眉をピクリと動かす。
「えぇー!?ダメです!いけません!まず“用件”をきちんと言って下さい!」
「無慟海を撮りてぇの」
沈黙。
受付嬢の笑顔が硬直した。口を開けかけたまま動かない。
“無慟海”――魔界でも屈指の“魔力ゼロ地帯”、誰もが名を聞くだけで黙りこむ死の海。
「無慟海って……あの……無慟海、ですか?」
確認にもならない確認を呟いたあと、受付はバッと席を立って内線へ駆け込む。
数階上、編集長室。
書類と新聞と、コーヒーカップと謎の煎餅の山に囲まれた机にて。
グラシャラボラス社長がふんぞり返っていた。
「なにィ!?来て早々、俺のカメラを貸せつってきた!?」
紫の髪が跳ねる。
その口元に浮かんだのは、どこか挑発を楽しむ悪童の笑み。
「面白ェ!!通せ!!」
即決だった。
誰も止められない。
止める前に、この社長は、もうレイスに会う気満々だった。
こうして、魔界一狂った報道機関の扉は、静かに、だが劇的に開かれた。
次なる見出しは、たった一枚の“虚無の写真”になるかもしれない。
応接室の扉が開いた。
レイスは少し警戒した足取りで中に入り――そして、目の前の人物を見て素直に口を開いた。
「……え、てっきり厳ついオッサン想像してたのに」
椅子にふんぞり返るのは、赤いスリーピーススーツに身を包んだ、背の低い少年のような人物だった。
紫の髪に、油断のない眼差しと満面の笑み。
そのギラついた目が、書類の山越しにレイスを見上げていた。
「よく言われる」
グラシャラボラス。
魔界経済新聞社の現社長にして、“空飛ぶ報道機関”の顔。
彼はコーヒーを片手に足を机に乗せたまま、にやりと笑う。
「これでも大人だぜ。……ま、座れや」
レイスは無言で椅子を引いた。
その間にも、社長は口元だけで話を続ける。
「無慟海─撮りてぇんだってな?」
レイスは、静かに一度だけうなずいた。
「ん」
机の上でゆらゆらと湯気を立てるコーヒーの匂いと。
どこか“戦場の前線”みたいな空気が交差していた。
バリッ。
せんべいを噛む乾いた音が、応接室の静けさを切った。
「……で?」と、グラシャラボラスが頬張りながら言う。
「無慟海を撮ろうとしたが、無理だったって?」
レイスは肩をすくめるだけだった。
膝の上に置いたカップから、コーヒーの湯気が立ち昇る。
「なるほどなぁ……やっぱりそうか」
グラシャは指先で、袋からもう一枚せんべいを取り出すと、それを手の甲で軽くパキリと割った。
それが癖なのか、演出なのかはわからない。
けれどそのままの調子で、ぽつりと呟いた。
「無慟海は最高の被写体だ。だが、誰も“底”を見たことがねぇ」
その言葉に、レイスは一瞬だけ目線を上げる。
グラシャはそれに気づきながら、赤いスーツの袖で口元の塩をぬぐった。
「酸素がねぇ。マナもねぇ」
「この2つが揃うと、魔界製のあらゆる道具が“無”に還る」
「記録も、通信も拒絶される。まさに、“死の海”だ」
語る声に抑揚はなかった。
けれど、その瞳だけは、冗談でもなければジャーナリズムでもない。
“何か”を深く見ている色をしていた。
レイスは黙って聞いていた。
膝の上のカップに口をつけることなく、ただ、次の言葉を待っていた。
魔界の深淵と、塩せんべい。
それをつなぐのは、“知ってるやつにしかわからねぇ世界の端っこ”だった。
「この魔界で無慟海に耐えられる奴がいるとするなら」
せんべいを食べ終えたグラシャが、立ち上がりながら言った。
その口元には、いたずらっぽい笑みが残っている。
「俺の“相棒”だけだ」
彼はキャビネットの一番奥、ほこりをかぶった木箱をガサゴソと探りながら。
「ま、こいつと旅に出るのも何年ぶりだろうな」なんて、誰に言うでもなくぼやいた。
出てきたのは、見た目にはまったく何の変哲もない、“普通すぎる”カメラだった。
黒いボディ、レンズも大きすぎず小さすぎず。
魔界にありがちな魔眼模様もなければ、宝石装飾も皆無。
“the カメラ”という表現がこれ以上ないほど似合う道具だった。
レイスは思わず首をかしげた。
「……社長のカメラにしちゃ、普通だな」
グラシャはにやりと笑う。
「ああ、普通だよ。何の魔法強化もされちゃいない。ただ頑丈なだけだ」
「魔力なんざ、最初から一切使わねぇ。フィルム式、手巻き。
シャッター音はうるさいし感光もたまに失敗する」
机の上に置かれた“相棒”は、静かにその存在感を放っていた。
「でもな、こいつだけは“無慟海”でも生き残った」
語り口はいつもの飄々としたものだった。
だが、その言葉の奥に、レイスは妙な重さを感じた。
魔界の魔法をもってしても到達できなかった領域を“ただのカメラ”が捉える。
そこにあるのは、技術でも魔力でもない。もっと“えげつないもの”だ。
レイスは、机の上に置かれた黒いカメラをまじまじと見つめた。
それからぽつりと呟く。
「なぁ、これ……もしかして、トイカメラ?」
グラシャラボラスは、まるで褒め言葉でも聞いたかのように口角を上げた。
「ロモじゃん。……しかも初代LC-A」
「おっ、通だな。俺がいちばん信じてる“相棒”さ」
「露出なんか知ったこっちゃねぇ、でもこいつだけは、嘘つかねぇ」
レイスが眉をひそめながら指でレンズを軽く叩く。
グラシャは肘をつきながら、せんべいの欠片を指で払った。
「どうせ写真なんざ、あとからいくらでも加工できるだろ?」
その言葉に、レイスは一瞬だけ沈黙して─それから、皮肉っぽく笑った。
「そうだな」
彼はゆっくりとカメラを手に取る。
そのボディは、どこまでも“普通”で、重さすら曖昧だった。
だが、どこか懐かしい手触りがした。何かを忘れさせるような、何かを思い出させるような。
グラシャは椅子にもたれかかりながら、ニヤリとした笑みを崩さずにいた。
黒いカメラを手のひらで撫でながら、グラシャが急に声を張った。
「こいつはオモチャじゃねぇんだぞ!」
言いながら、ぐいっとレンズをレイスの顔すれすれに突きつける。
「ベルリンの壁崩壊だって撮ったんだ」
「……ほんとかよ」
レイスはカメラ越しに半眼で睨んだ。
「噂だ」
「噂かよ!!」
椅子の背にもたれながらレイスが突っ込むと。
グラシャはニヤリと笑って指でカメラをくるりと回した。
裏側のプレートには、年代不明のロシア文字がうっすら残っていた。
「ソ連製。しかも魔改造なし。すごいだろ?」
「何が“すごい”かよくわかんねぇけど……やっぱヤベぇなこの社……」
レイスは顔をしかめながら、けれどどこか楽しそうにその“相棒”を受け取った。
魔界を越えて、ソ連にまで繋がってるとかどうとか。
どこまでが真実で、どこからが都市伝説か。
けれど、そこに宿る「魂」だけは、本物だ。
「特別に、無慟海撮影の“間”まで貸してやる」
グラシャラボラスは、椅子の肘掛けに片肘を乗せ、指先でロモのストラップをくるりと回す。
「ただし!」
ピタリとレンズの向きを正面に戻すと、その目がギラリと光った。
「必ず捉えろ。あの“虚無の底”に何があるかをな!」
レイスは黙って頷いた。
椅子を押しのけて立ち上がる。
「……わかったぜ、社長さん」
カメラをポケットに収めながら、口の端だけをわずかに上げる。
「とりあえず、目に入ったもん全部撮るよ」
それだけ言い残して、レイスは背を向け、社長室の扉を開けて出ていった。
ロモのシャッター音が、どこか遠くで聞こえた気がした。
そして、ひとり残されたグラシャラボラスは椅子に体を預け、机に足を乗せる。
コーヒーの湯気が静かに立ち上るなか、彼は不敵に笑った。
「無慟海……」
窓の外、遠く霞む魔界の空を見上げる。
「あそこは、とんでもねぇ物を隠している。魔王のスキャンダルなんかとは──別次元のな」
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