実体験したオカルト話する

鳳月 眠人

文字の大きさ
3 / 7

左腕に霊かもしれないものがくっついた話

しおりを挟む
 私の母は、いわゆる【霊感のある人】である。
 母子そろって、不思議ちゃんなのである。


 母の実家の家は、母曰く「めちゃくちゃ出る」らしい。

「高校生ぐらいの時やったかなぁ、寝てたらな、足をさわさわってナニカが触ってくるのよ。金縛りなんか怖くてか、固まっちゃってさぁ。でも、どんどん触ってくる手は上がってくる。やっとの思いで『もう!! やめてよ!!』って怒鳴ったらスッと消えたわ」

 とか、

「アンタの里帰り出産した時な、お祖母ちゃんち、1階の和室あるやろ。あそこはなー、おんねん。ずっと気持ち悪いねん。だから嫌やってんけどあの部屋で、アンタにお乳飲ませてたらいきなりさ、タヌキさんの置物あるやろ、あれの笠がゴロン!! って落ちてん。ずっと誰も触ってないのによ?」

 とか、不思議体験をよく聞かされていた。

 確かに、母方の祖父母宅の和室は、立派な日本人形が何体か居て、少し──怖い。

 小さい頃、訪問時にお昼寝をさせてもらった時、目を瞑っていたら、なんとなく──周りを取り囲まれて、覗き見られているような気がした。

 怖くはない気配だったが、気持ち悪かったのを覚えている。

 けれどそんなものは、所詮思い込みや気のせいだと、思ってきた。





 【霊感らしきもの】が芽生える前。今から5年ぐらい前だろうか。

 私の家の近くには大きな病院がある。救急センターもある、大きな病院だ。よく救急車が患者を運んでくる。


 その日、私はその救急センターの前を、自転車で通りすぎた。いつもはブラインドカーテンの下りて閉じられている、大きな窓。
 けれどその日のブラインドカーテンは、下りているけど開けられていた。センターの中が、見える状態だ。


 珍しい。そう思いながら、私はなんとなしに──その隙間を見た。


 普通の廊下が見えた。

 誰もいなかった。

 けれど、何かと目があったような、気がした。


 次の瞬間、左腕だけに、鳥肌が立った。

 その日は真夏。別段ゾッともしていないし、寒くはないのに。逆に暑いくらいなのに。
 視線を前に戻した瞬間から、左腕の、肘より上あたりにだけ、鳥肌。


「なんぞこれ……左腕だけ? 寒くもないのに鳥肌って立つんだぁ……なんかアレ的なものがくっついたのか……?」


 そんなことを考えつつ、ごく普通に帰宅する。
 左腕の鳥肌は、未だおさまらない。もう5分以上たつ。


「えええこんな長時間、特定の場所だけの鳥肌が消えへんとかある……?」


 これは、全然分からんし見えたりしないけど、霊的なアレかもしれない。
 私はキッチンへ行き、流しのところで、鳥肌部分に食塩をふってみた。


「お、……おお!?」


 鳥肌の部分が移動した。肘より、下へ。


「すげぇ、塩すげえ」


 もう一度塩をふってみる。鳥肌の部分が少し小さくなる。


「やば。霊はナメクジだった……!?」


 よしよし、だいぶ鳥肌部分小さくなったし、塩も勿体ないし、もういいか、そのうち消えるだろ。

 楽観的にそう考えて、塩をふるのを止めた。だが、その数分後、また左腕の鳥肌は徐々に上に戻ってきた。


「しつこいなぁ、気持ッち悪い……このナメクジが!」


 塩をバッサバッサと左腕にふる。再び徐々に、肘の下へ鳥肌はずり下がる。もっともっとかける。どんどん下がる。手首の付近まできた。


 ばっさばっさと塩をふり続けるも、結局それ以上は下に落ちない。しぶとい、しがみついてやがる。
 目視でも確認できる、鳥肌直径10センチ。

 あーもういいや、めんどくさい……鳥肌立ってるだけで実害ないし。


 取り敢えずそこまでで放置を決め込み、夕食を食べる。食べ終わっても、鳥肌はおさまらなかった。風呂を洗って沸かす。

 浴槽に、日本酒をどばどばといれる。塩を、振り入れる。


「お? 今日お風呂沸かしたん?」

 旦那が私に尋ねる。ウチは基本、シャワーだけの家だ。夏は特に。

「んー、なんかねぇ、今日帰りに救急センターの中を覗いちゃったんね。そしたらその後から、左腕にだけ鳥肌出てさぁ。塩をふったら鳥肌がずり落ちていくから、日本酒&塩風呂する」

「え、ええー……なにそれやばいやん……幽霊はナメクジだった……?」

 同じこと考えるやん。

 かくして、日本酒&塩の入った浄化風呂は、私の血行を促進させ、上がる頃にはかなーり小さくなっていた。手首周辺に必死でしがみついている風。

 風呂上がりの水分補給時に、もう一度塩をふりかけて水で流すと、鳥肌はすう、と消えていった。


 そんなこともまぁ、自分の思い込みかなにかだろう。
 そう、思っていた──
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

父の周りの人々が怪異に遭い過ぎてる件

帆足 じれ
ホラー
私に霊感はない。父にもない(と言いつつ、不思議な体験がないわけではない)。 だが、父の周りには怪異に遭遇した人々がそこそこいる。 父や当人、関係者達から聞いた、怪談・奇談を集めてみた。 父本人や作者の体験談もあり! ※思い出した順にゆっくり書いていきます。 ※場所や個人が特定されないよう、名前はすべてアルファベット表記にし、事実から逸脱しない程度に登場人物の言動を一部再構成しております。 ※小説家になろう様、Nolaノベル様にも同じものを投稿しています。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

怪談実話 その2

紫苑
ホラー
本当にあった怖い話です…

百物語 厄災

嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。 小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

静かに壊れていく日常

井浦
ホラー
──違和感から始まる十二の恐怖── いつも通りの朝。 いつも通りの夜。 けれど、ほんの少しだけ、何かがおかしい。 鳴るはずのないインターホン。 いつもと違う帰り道。 知らない誰かの声。 そんな「違和感」に気づいたとき、もう“元の日常”には戻れない。 現実と幻想の境界が曖昧になる、全十二話の短編集。 一話完結で読める、静かな恐怖をあなたへ。 ※表紙は生成AIで作成しております。

少し怖いホラー短編集(文字数500以下)

仙 岳美
ホラー
文字数500以下のショート集です、難しく無いので気楽にどうぞ。

(ほぼ)1分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話! 【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】 1分で読めないのもあるけどね 主人公はそれぞれ別という設定です フィクションの話やノンフィクションの話も…。 サクサク読めて楽しい!(矛盾してる) ⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません ⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください

処理中です...