【完結】とあるポンコツ女神サマの恋愛術!

コル

文字の大きさ
12 / 41
3章 とある女神サマ、再降臨

緊張の接近(2)

しおりを挟む
 とにかく廊下に避難したが、これは大丈夫なのだろうか。
 さっきよりも理科準備室から黒い煙がモクモクと出て来ているけど。

「あわわわわわ」
「やべぇよ……やべぇよ……」
「……ううう」

 三瓶、馬場、鹿野の三馬鹿も流石に青ざめている。
 まぁ3人に限らずクラス全員が青ざめてはいけども……。

「どうしたんだ!?」
「おい、何だこれ!」
「みんな、こっち側に来なさい!」

 先生達も集まって来たな。
 これまた、大事になってきたぞ。

『なになに? なんの騒ぎなの?』

 ついでに、元から騒がしい奴も飛んで来た。

『おおっ! なんかすごい煙が出ているわね! あ~すご~い』

 完全に野次馬になっているじゃないか。
 あっそうだ、メイティーならこの状況をどうにかしてくれるかもしれん。
 この騒ぎの中だし、小声でしゃべれば大丈夫だろう。

「なぁあれを何とかできないか?」

『ん? あれって……煙の事?』

 俺の言葉に首をかしげている。
 いやいや、それ以外に何があるっていうんだ。

「そうだよ。このままだと色んな問題が起きて学校がめちゃくちゃになる可能性があるだろ? だから、どうにか納められないか」

『ん~確かにそうね……それで今後の完璧な計画が崩れるのも嫌だし……わかったわ、ちょっと待ってなさい』

 メイティーが理科準備室の中に入って行った。
 あのいかにも体に悪そうな黒い煙を吸って大丈夫なのだろうか。
 まぁ女神だから大丈夫かな? 何となくだけど。

「おっ」

 黒い煙が引いて来た。
 中は見えないけど、メイティーがなんとかしたっぽいな。

『よしよし、これでもう大丈夫よ』

 メイティーが理科準備室から出て来た。

「本当に大丈夫なのか?」

『このアタシが処理したのよ。安心しなさい』

 その一言で不安になるのは何故だろう。

「煙が収まってきましたね」

「そうですが、まだ安心はできませんね。消防が来るまで離れて見張りましょう」

「生徒は教室に戻りなさい。指示があるがあるまで教室から出ない事、いい? わかった?」

 中を覗きに行ってはみたいけど……先生に言われたからにはどうしようもないか。
 素直に教室に戻るとしよう。



 ――キーンコーンカーンコーン

 もう昼休みか……バタバタして時間が過ぎるのが早く感じるな。
 あれから消防が来て現場を確認。
 割れた薬品のビンが何本かあったものの、中身が全て無くなっていて有毒ガスも発生していないから、危険はないとの事。
 それを聞いて、メイティーってなんだかんだで女神だなーと感心してしまった。

 ちなみにやらかしてしまった三瓶、馬場、鹿野の三馬鹿は職員室に連れて行かれ、いまだに教室に戻って来ていない。
 多分まだ叱られているのだろうが、今回は流石にやばかったからな。
 これは仕方ない事だと思う。

「春彦、昼飯食おうぜー」

 義秋が昼飯の誘いに教室へ来た。

「おう、ちょっと待っててくれ」

 弁当、弁当っと……。

「聞いたぜ、お前らのクラス大変だったらしいじゃないか」

「そうなのよ~流石に冷や汗をかいたわ」

 本当にな。
 メイティーが居なければどうなって……。

「……あれ?」

 手に持った弁当が異様に軽い。
 まるで中身が無いような……まさか!?

「――っ!」

 やっぱり無い! 弁当の中が空っぽになっている!!
 どうしてだ? 確かに今日の朝に入れたのに。

『あ~お弁当ならアタシが食べたわよ。朝ご飯食べてなかったからお腹が空いちゃって』

 なぬ! お前が食べちゃったの!?
 いつ食べたんだよ、食う時なんてなかっ……そうか、理科室にいる時だ。
 なんて卑しい奴、さっき感心したのは無し。やっぱりこいつはろくでもない奴だ。
 そんな事より、どうしよう……俺の昼飯……。

「ん? どうしたんだよ、春彦。さっさと飯を……」

「……」

「……お前、まさか弁当箱があるのに、中身を入れるのを忘れたのか?」

 忘れていない、忘れていないんだ。
 教室移動前まではあったんだよ。
 けど、そこのポンコツ女神が食べたとも言っても信じてもらえるはずもない。
 ここは素直に首を縦に振るしかない。

「おい、マジかよ! 購買に行っても前と同じだろうし……今日はコンビニ弁当だから、多くは分けられないぞ」

 これは、昼飯抜きかな。
 午後の授業を果たして乗り越えられるだろうか。

「へっ? 春彦、お弁当忘れたの?」

「理科の時といいぃ、ハルルンったら忘れん坊だねぇ」

「……種島くん。……よし……えと、私のおかずで良かったら分けようか?」

「へっ?」

 マジですか!
 神野さんが、そんな事を言ってくれるなんて思いもしなかった。

「……しょうがないわね~私のも分けてあげるわよ」

「じゃあわたしもぉ」

 3人が空の弁当箱におかずを入れてくれている。
 女神はここにいた! 3人の女神サマが!

『……こっこうなる事を見越してアタシが中身を食べたのよ、作戦成功ね! さぁこれを切っ掛けにドンドン会話をしていきなさい!』

 計算通りと言い張っているメイティー。
 偶然だ……絶対に偶然に違いない、この女神にこの未来が見えているわけがないもの。

「この玉子焼きは私が作ったんだ……口に合えば良いけど……」

「え? あ、そっそうなんだ」

 うおおおおおおおお! 神野さんの手作り!
 俺は楽しみを最後まで取って置くタイプだから、この卵焼きは最後に食べよう。

「皆ありがとう! いただきます! はむっ」

 おいしい、自分で入れたものよりおいしく感じる。
 これがやさしさの味か……。

「うまい! うまい! うまい!」

「大げさな奴だなー俺のはコンビニ弁当だぞ」

「わたしのあげたおかず、おいしいでしょぉ」

「何がおいしいでしょぉ、よ。美冬の嫌いなニンジンをあげてたくせに」

「わたしは嫌いだけどぉ、おいしいってみんな言うからいいじゃないぃ」

「ふふっ」

 義秋と二人で食べるのが嫌という訳じゃないが、こうしてみんなと会話しながらもいいよな。
 さあ、いよいよ最後の卵焼きを食べる時だ。
 噛みしめて味わって、味の感想を神野さんに話す。
 そして、メイティーの言う通り話の切っ掛けを……。

『なに、貴方卵焼き嫌いなの? じゃあアタシが食べてあげるわ』

「……え? あっ!」

 一瞬でメイティーに卵焼きを盗られてしまった!

『あ~……んっ! おいひ~』

 あああああ!
 俺の卵焼きが食われたあああああああああああ!!

「あっ種島くん食べ終わったんだ……あの、卵焼きどうだったかな?」

 どうだったかなって言われても、一口も食べてないからまったくわからない。
 かと言って、何も言わないのも失礼すぎるし。

「おっおいしかったよ! すごくおいしかった!」

 嘘を言ってごめん、神野さん。

「そっか~良かった~」

 神野さんが笑顔で俺を見ている。
 その後ろで全く同じ笑顔をした奴が、やったねって感じで親指を立てている。
 確かに神野さんの笑顔を見れたのは嬉しい、嬉しいけどあまりにも心苦しすぎるんだよ!
 なんだよ、この複雑な気持ちは!!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない

朝陽七彩
恋愛
十五年ぶりに君に再開して。 止まっていた時が。 再び、動き出す―――。 *◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦* 衣川遥稀(いがわ はるき) 好きな人に素直になることができない 松尾聖志(まつお さとし) イケメンで人気者 *◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』

鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。 だからこそ転生後に誓った―― 「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。 気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。 「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」 ――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。 なぜか気づけば、 ・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変 ・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功 ・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす ・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末 「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」 自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、 “やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。 一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、 実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。 「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」 働かないつもりだった貴族夫人が、 自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。 これは、 何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...