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最終章 とある女神サマ、帰郷
女神サマとのお別れ
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『グズ……ズビ……なんだろ……今、聞き逃しちゃいけない言葉を聞き逃した気がする……』
おっと、つい口に出してしまったようだ。
俺は何も言ってませんよ。
むしろ、聞かれてしまった方が恥ずかしいし。
それよりもだ。
「……」
「……」
この沈黙がやばい。
何も言葉が出てこないんですけど……告白して、成功した後ってどうすればいいんだ?
今まで体験したことが無いから全くわからん。
……そうだ、こんな時こそメイティーに助言を求めよう。
聖書という名の漫画にこういったシーンも多いからな。
メイティーに目線を送ってっと……。
『ん? ……ああっ』
メイティーが片手をグーにして、もう片方の手のひらにポンと叩いた。
どうやら、通じたみたいだな。
『失敬失敬、ちゃんと空気を読まないと駄目よね。さぁブチューとやんなさい』
そう言って、メイティーは後ろを向いた。
いやいや、全然通じてねぇし! つか、今はキスの流れでもないし!
仮にそうだとしても、空気を読むならこの場からいなくなる事だろう!
どんだけズレているんだよ、こいつは。
「……」
「……」
これは非常にまずい、沈黙が長すぎる。
えーと……話題を……何か話題を……。
「……クスッ、何だか最初の頃のハルくんを見ているみたい」
オロオロしている俺を見て、神野さんが小さく笑った。
最初の頃の俺? んー意味が分からない。
「それはどういう事?」
「ハルくんって、私の顔を見ながら話をしてくれなかったじゃない」
「はうっ!」
最初の頃って、そういう事か!
確かに今の俺は神野さんを直視できてはいない。
言う通り、最初の頃もこんな感じだったな……非常に情けない。
「でも、最近は私の事を見ながら話してくれるようになったよね……ハルくんが心を開いてくれたのか~なってすごく嬉しかった」
それについては、メイティーのおかげかも。
神野さんと性格は全然全くこれっぽっちも違うが、外見は瓜二つのおかげで神野さんを前にしても変に緊張しなくなったからな…………ん? 瓜二つ?
そうだよ、よくよく考えたらここまでそっくりなのもおかしな話だ。
もしかして、魔法を使って自分の姿を神野さんの姿に変えて俺の前に出て来たのか?
そうやって俺を慣らしていく作戦だとすれば……なんってこった、いつもおかしな考えばかりをしていると思ったら初めからすごい大仕掛けをしているじゃないか。
「……あれ? 誰かこっちに走って来たよ」
神野さんの目線の先を見ると、両手でデカイ段ボールを持った人がこっちに向かって走ってきた。
上半身は段ボールで見えないが、下半身にスカートが見えるから女子生徒っぽいな。
「はぁ~はぁ~……良かった! やっぱり命だったわ」
段ボールの影から香夏子の顔が出て来た。
焦っている感じだが、どうしたんだろう。
「香夏子ちゃんだったんだ」
「ごめん! 今、人手が足りなくて手伝ってほしいの! よいっしょっと……これに着替えたいんだけど」
香夏子が段ボールを下ろして、中からヘンテコなキャラの着ぐるみを取り出した。
牛か? いや、豚か? 猫にも見えるが……わからん、これは一体何のキャラなんだろう。
「え? あ~……えと……」
神野さんが俺の方をチラッと見た。
行くべきか、残るべきかって感じか。
「俺は気にせずに行ってあげて」
「うん、わかった。香夏子ちゃん、いいよ」
「わ~助かる~! じゃあ、私について来て!」
神野さんが香夏子の後について行った。
あっ神野さんが小さく手を振ってくれている。
俺も小さく手を振って返そう……うん、なんかこのやり取りって恋人らしいな。
『な~んだ、ブチューが見られると思ったんだけどな~』
やっぱり見る気満々だったのか。
まぁいいや、それよりも神野さんに変身していた事に関して、今のうちに礼を言っておこう。
「その、なんだ……神野さんに対して緊張を持たない様に、お前が神野さんの姿に変身していたんだろ? おかげですごく助かったよ」
そうなるとメイティーの本当の姿が気になるところだ。
見せてほしいって言ったら見せてくれるかな。
『え? 変身?』
「……え?」
俺の言葉に、メイティーがキョトンとした顔をした。
『…………あ、あ~なるほど、そう解釈したのか……なら……んんっ! そうよ! まさにその通り! 全ては作戦だったわけよ! アッハハハハ!!』
明らかにメイティーの態度がおかしい。
これって、俺の考えが外れたのか?
だったら……。
「じゃあ、元の姿を見せてくれよ」
これでわかるはずだ。
さて、どう返してくるかな。
『ふえっ!? 本当の姿!?』
メイティーの目が泳ぎまくっている。
これを見ただけで答えがわかるな。
『……え~と……そ、それは無理! 人の子に本当の姿を見せるなと言われているのよ! アハ、アハハハ!』
確定した。
こいつは神野さんの姿に変身していない!
只々メイティーと神野さんは似ているだけなんだ。
ある意味、それはそれですごいんだが……なんか腑に落ちないな。
『いや~アタシの姿を見れるのは最後って言うのに、残念だな~』
「へっ、最後?」
『そうよ、アタシの役目もこれでおしまいだからね。だから、天界に帰らないと』
そうか。
俺と神野さんをくっ付けるために人間界に来たんだものな。
なら帰ってしまうのも納得なんだが。
「今から帰るのか? 流石に急だと思うんだが……」
居たら居たでうるさかったが、居なくなると思うと流石に寂しい思いが出て来た。
『うん、やる事があるからね。それに、このままいたら帰るタイミングを失っちゃいそうだし……』
「そっか、わかった」
引き止めるのは野暮だな、ここはメイティーの想いを尊重しよう。
最後くらいは笑顔で送ってやるか。
「じゃあな、女神サマ。一緒にいて楽しかったよ」
『アタシもよ、数ヶ月だったけど貴方と一緒にいて楽しかったわ。すぅ~……種島 春彦と神野 命の2人に祝福が在らん事を!! じゃあね!』
メイティーが光に包まれて消えた。
辺りを見わたしても、メイティーの姿はない。
本当に帰ってしまったんだな。
「……ありがとう」
※
メイティーが天界に帰ってから1週間。
俺の生活は大きく変わった。
「ハルくん、おはよ~」
「おはよう、命ちゃん」
命ちゃんと待ち合わせをして、一緒に登校するようになった事。
命ちゃんと頻繁にメッセージや電話をするようになった事。
命ちゃんと一緒に下校をするようになった事。
1年前の俺では、到底考えられない事がいっぱいだ。
「――でね、その番組に出て来た猫が超~かわいいの!」
「へ、へぇ~……」
命ちゃんの笑顔が、メイティーと被ってしまう。
彼女が居るのに、そんな考えを持つのはいけないとは思うが……同じ顔だとどうしても思ってしまう。
あいつは元気にしているのだろうか。
――カッ!
「……?」
なんだ今の、一瞬辺りが光に包まれたぞ。
雷かな? でも、こんなに晴れているのに……。
「あれ?」
命ちゃんが固まっている。
「――っ!」
命ちゃんだけじゃない。
老若男女問わず、他の人も固まっているじゃないか。
これは間違いない、時間停止の魔法だ。
なのに俺が動けるっていう事は、どうやら俺につけていた加護を外すのを忘れていたらしい。
最後まで爪の甘い奴だ。
「ちょっ!? 命!? あんた、何しているのよ!」
今のは香夏子の声だ!
『違うわよ! アタシは神野 命じゃないわ!』
そして、この聞き覚える声!
どこだ? どこから聞こえた?
はっきり声が聞こえたから、2人は近くに居るはずだ。
「こっちか! ……っ!」
命ちゃんとぶつかりそうになった思い出の角を曲がると、見覚えのある光景が目に入った。
腰を抜かしたのか、座り込んでいる香夏子。
そして、空中には虹色に輝くドレスを纏ったピンク髪の女の子が浮いている。
その女の子は、命ちゃんと同じ顔をした俺がよく知るポンコツの――。
『アタシの名はメイティー! 人の子の恋愛を司る全知全能の女神メイティーよ! アタシの恋愛術で、必ず貴女に幸せを掴ませてあげるからね!』
とあるポンコツ女神サマの恋愛術! ――終――
おっと、つい口に出してしまったようだ。
俺は何も言ってませんよ。
むしろ、聞かれてしまった方が恥ずかしいし。
それよりもだ。
「……」
「……」
この沈黙がやばい。
何も言葉が出てこないんですけど……告白して、成功した後ってどうすればいいんだ?
今まで体験したことが無いから全くわからん。
……そうだ、こんな時こそメイティーに助言を求めよう。
聖書という名の漫画にこういったシーンも多いからな。
メイティーに目線を送ってっと……。
『ん? ……ああっ』
メイティーが片手をグーにして、もう片方の手のひらにポンと叩いた。
どうやら、通じたみたいだな。
『失敬失敬、ちゃんと空気を読まないと駄目よね。さぁブチューとやんなさい』
そう言って、メイティーは後ろを向いた。
いやいや、全然通じてねぇし! つか、今はキスの流れでもないし!
仮にそうだとしても、空気を読むならこの場からいなくなる事だろう!
どんだけズレているんだよ、こいつは。
「……」
「……」
これは非常にまずい、沈黙が長すぎる。
えーと……話題を……何か話題を……。
「……クスッ、何だか最初の頃のハルくんを見ているみたい」
オロオロしている俺を見て、神野さんが小さく笑った。
最初の頃の俺? んー意味が分からない。
「それはどういう事?」
「ハルくんって、私の顔を見ながら話をしてくれなかったじゃない」
「はうっ!」
最初の頃って、そういう事か!
確かに今の俺は神野さんを直視できてはいない。
言う通り、最初の頃もこんな感じだったな……非常に情けない。
「でも、最近は私の事を見ながら話してくれるようになったよね……ハルくんが心を開いてくれたのか~なってすごく嬉しかった」
それについては、メイティーのおかげかも。
神野さんと性格は全然全くこれっぽっちも違うが、外見は瓜二つのおかげで神野さんを前にしても変に緊張しなくなったからな…………ん? 瓜二つ?
そうだよ、よくよく考えたらここまでそっくりなのもおかしな話だ。
もしかして、魔法を使って自分の姿を神野さんの姿に変えて俺の前に出て来たのか?
そうやって俺を慣らしていく作戦だとすれば……なんってこった、いつもおかしな考えばかりをしていると思ったら初めからすごい大仕掛けをしているじゃないか。
「……あれ? 誰かこっちに走って来たよ」
神野さんの目線の先を見ると、両手でデカイ段ボールを持った人がこっちに向かって走ってきた。
上半身は段ボールで見えないが、下半身にスカートが見えるから女子生徒っぽいな。
「はぁ~はぁ~……良かった! やっぱり命だったわ」
段ボールの影から香夏子の顔が出て来た。
焦っている感じだが、どうしたんだろう。
「香夏子ちゃんだったんだ」
「ごめん! 今、人手が足りなくて手伝ってほしいの! よいっしょっと……これに着替えたいんだけど」
香夏子が段ボールを下ろして、中からヘンテコなキャラの着ぐるみを取り出した。
牛か? いや、豚か? 猫にも見えるが……わからん、これは一体何のキャラなんだろう。
「え? あ~……えと……」
神野さんが俺の方をチラッと見た。
行くべきか、残るべきかって感じか。
「俺は気にせずに行ってあげて」
「うん、わかった。香夏子ちゃん、いいよ」
「わ~助かる~! じゃあ、私について来て!」
神野さんが香夏子の後について行った。
あっ神野さんが小さく手を振ってくれている。
俺も小さく手を振って返そう……うん、なんかこのやり取りって恋人らしいな。
『な~んだ、ブチューが見られると思ったんだけどな~』
やっぱり見る気満々だったのか。
まぁいいや、それよりも神野さんに変身していた事に関して、今のうちに礼を言っておこう。
「その、なんだ……神野さんに対して緊張を持たない様に、お前が神野さんの姿に変身していたんだろ? おかげですごく助かったよ」
そうなるとメイティーの本当の姿が気になるところだ。
見せてほしいって言ったら見せてくれるかな。
『え? 変身?』
「……え?」
俺の言葉に、メイティーがキョトンとした顔をした。
『…………あ、あ~なるほど、そう解釈したのか……なら……んんっ! そうよ! まさにその通り! 全ては作戦だったわけよ! アッハハハハ!!』
明らかにメイティーの態度がおかしい。
これって、俺の考えが外れたのか?
だったら……。
「じゃあ、元の姿を見せてくれよ」
これでわかるはずだ。
さて、どう返してくるかな。
『ふえっ!? 本当の姿!?』
メイティーの目が泳ぎまくっている。
これを見ただけで答えがわかるな。
『……え~と……そ、それは無理! 人の子に本当の姿を見せるなと言われているのよ! アハ、アハハハ!』
確定した。
こいつは神野さんの姿に変身していない!
只々メイティーと神野さんは似ているだけなんだ。
ある意味、それはそれですごいんだが……なんか腑に落ちないな。
『いや~アタシの姿を見れるのは最後って言うのに、残念だな~』
「へっ、最後?」
『そうよ、アタシの役目もこれでおしまいだからね。だから、天界に帰らないと』
そうか。
俺と神野さんをくっ付けるために人間界に来たんだものな。
なら帰ってしまうのも納得なんだが。
「今から帰るのか? 流石に急だと思うんだが……」
居たら居たでうるさかったが、居なくなると思うと流石に寂しい思いが出て来た。
『うん、やる事があるからね。それに、このままいたら帰るタイミングを失っちゃいそうだし……』
「そっか、わかった」
引き止めるのは野暮だな、ここはメイティーの想いを尊重しよう。
最後くらいは笑顔で送ってやるか。
「じゃあな、女神サマ。一緒にいて楽しかったよ」
『アタシもよ、数ヶ月だったけど貴方と一緒にいて楽しかったわ。すぅ~……種島 春彦と神野 命の2人に祝福が在らん事を!! じゃあね!』
メイティーが光に包まれて消えた。
辺りを見わたしても、メイティーの姿はない。
本当に帰ってしまったんだな。
「……ありがとう」
※
メイティーが天界に帰ってから1週間。
俺の生活は大きく変わった。
「ハルくん、おはよ~」
「おはよう、命ちゃん」
命ちゃんと待ち合わせをして、一緒に登校するようになった事。
命ちゃんと頻繁にメッセージや電話をするようになった事。
命ちゃんと一緒に下校をするようになった事。
1年前の俺では、到底考えられない事がいっぱいだ。
「――でね、その番組に出て来た猫が超~かわいいの!」
「へ、へぇ~……」
命ちゃんの笑顔が、メイティーと被ってしまう。
彼女が居るのに、そんな考えを持つのはいけないとは思うが……同じ顔だとどうしても思ってしまう。
あいつは元気にしているのだろうか。
――カッ!
「……?」
なんだ今の、一瞬辺りが光に包まれたぞ。
雷かな? でも、こんなに晴れているのに……。
「あれ?」
命ちゃんが固まっている。
「――っ!」
命ちゃんだけじゃない。
老若男女問わず、他の人も固まっているじゃないか。
これは間違いない、時間停止の魔法だ。
なのに俺が動けるっていう事は、どうやら俺につけていた加護を外すのを忘れていたらしい。
最後まで爪の甘い奴だ。
「ちょっ!? 命!? あんた、何しているのよ!」
今のは香夏子の声だ!
『違うわよ! アタシは神野 命じゃないわ!』
そして、この聞き覚える声!
どこだ? どこから聞こえた?
はっきり声が聞こえたから、2人は近くに居るはずだ。
「こっちか! ……っ!」
命ちゃんとぶつかりそうになった思い出の角を曲がると、見覚えのある光景が目に入った。
腰を抜かしたのか、座り込んでいる香夏子。
そして、空中には虹色に輝くドレスを纏ったピンク髪の女の子が浮いている。
その女の子は、命ちゃんと同じ顔をした俺がよく知るポンコツの――。
『アタシの名はメイティー! 人の子の恋愛を司る全知全能の女神メイティーよ! アタシの恋愛術で、必ず貴女に幸せを掴ませてあげるからね!』
とあるポンコツ女神サマの恋愛術! ――終――
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