【完結】新しい我輩、はじめます。

コル

文字の大きさ
30 / 75
第四章 悪魔四天王「斬風のバルフライ」VS豪拳

1 『わ~あたり真っ白だね~』

しおりを挟む
「こ、これは」

 目の前にはベルトラ飯ではなくれっきとした夕飯がずらりと!

「……デール」

「……なんだ」

「ほっぺたを思いっきり引っ張ってみっいふぁいいふぁい!!」

 この痛がりようは夢でも幻でもないという事だな。

「ちょっとデール! 何でアタシのほっぺたを引っ張るのさ!?」

 何言っとるんだこいつ?

「今お前が引っ張れと言っただろう」

「ちっがうよ! デールのほっぺたを引っ張ってもいいって言うつもりだったんっいふぁいいふぁい! ひゃめへぇ!」

 こいつはあああああああ!!

「何故お前に引っ張られないといけないのだ!?」

「だって~自分のだと痛いじゃん……もう痛いけど……」

 まったくそれだと我輩が痛い目にあうだけではないか。
 しかしいい匂いだ~食欲がそそられるな。

「えと……これからは皆様のお食事は私が精一杯、作らさせていただきますです」

 ふおおおおおお!! それは素晴らしい! これでベルトラ飯から開放される!!

「ひゃっほおおおおおおおい!!」

 エリン、うれしい気持ちはわかるが我輩の頭の上で飛び回るなよ。相変わらずうっとうしい。

「そんな、フェリシアさんに全てを任せるのも申し訳ないので私も――」

 は!? ベルトラの奴、何を言い出すのだ!?

「それは却下!!」
「それは反対!!」

 こんな素晴らしい事を潰されてたまるか!!

「2人とも何を言うんですか!?」

 言うに決まっておるわ!

「料理に関したら手馴れているフェリシアが適任だと思うぞ!」

「そうだそうだ!」

「でもそれでは――」

 しつこいな……自分が楽になるというのに。そもそも何故こんなに料理を作りたがるのだ。
 もしかして、料理を作るのが好きなのか? だとしたら何故あそこまでひどいものしか出来ないのか謎だ。

「あの……ベルトラ様、実はこれ普通のお食事じゃないんです」

 え? 違うの?

「え? 違うの? ――モグモグ……ん~別におかしなとこはないよ?」

 このエリンの躊躇のなさは本当にすごいな。

「これは疲労回復や安眠作用といった様々な薬草を使った薬膳料理なんです。私は戦闘で皆様のお役に立つのは難しいです、なのでこういった形でサポートさせてほしいんです」

 なるほど、フェリシアも出来る限りの事がしたいのだな。

「ベルトラ、フェリシアがせっかく我輩たちのためにしてくれるのだ。それでよいではないか」

 さてどうだ、ここは折れてくれ。

「……わかりました、そこまでおっしゃるのであればお願いします」

 良かった、納得してくれたようだ。
 よし! これからは野宿の飯の心配はなくなったぞ! ――うむ、うまい!

「デール様、デール様」

「ん? どうした。エリンが言うとおり味に問題はないぞ?」

「あ、ありがとうございます。えと……お耳をよろしいですか?」

 なんだ大きな声で言えない事なのか?

「あの……ベルトラ様の料理って……そんなにひどいんです?」

 ああ、そうか……フェリシアは知らないものな、アレを。

「あ~ひどいも何も……あれを料理と呼んでいいものすら……」

 思い出しただけでも吐き気が。

「そんなにですか。う~ん、それはそれで気になるです」

 頭の花が激しく動いておるな~これは釘を刺したほうがよさそうだ。

「アレは興味本位で手を出すべき物ではない、ぜっっったい!! にやめておけよ」

 触る祟りになんとやらというしな。

「……デール様がそこまでおっしゃるのなら……」

 あ、花が枯れた……すごく残念そうだ。



「さて、食事も済みましたし皆さんお話いいですか? 次の目的地である北の国カルリックの事ですが」

 次で3国目か、短いようで長いようでもう半分も来たのか。

「このまま道沿いに進んであの山を越えればカルリックの領域になります」

 あの山と言われても真っ暗で何もわからん、まぁ明日になれば嫌でも見るはめになるか。

「それでですね山を越える為に……ってエリン!?」

「ク~カ~」

 エリンの奴、食べるだけ食べて寝てしまったか。

「エリン! 起きて下さい、大事な話なんですよ!」

「放っておけ、こうなっては起きんと思うぞ」

 久々にうまい飯が食べられて満足したんだな、気持ちはわからんでもないが……我輩も今夜は幸せに眠れそうだ。

「ですが……」

「話ならこいつ抜きでもいいだろ、どうせ起きていても話を聞いているか怪しいぞ」

「……それもそうですね、では話の続きを――」

 普通に納得しちゃったよ。



『わ~あたり真っ白だね~』

「……」

『あ、あれはなんだろ?』

「……」

『ねぇ~デールってば~聞いてる~?』

「……………………おい、エリン」

『ん? な~に~?』

「剣の外に出ろ……」

『やだ! 外寒いもん!!』

「もん!! じゃない!! 自分だけ寒さを防ぎおって! 何で剣の中だと寒さを感じないんだ!?」

『そんなのわかんないよ、たぶん別空間だからじゃないかな?』

 本人も知らないとか! くそおおおお!! 我輩もその別空間の中に入りたいぞ!!
 まさかここまで雪に覆われた地域だったとは!! 寒すぎる!!

『ハッしまった! マレリスの時も中に入っとけば暑さ防げたんじゃ!? もっと早く気が付けばあああああ!!』

 マレリスの時は戦闘以外の外にいたからな、今回は偶然入って気が付いたみたいだが……ん? ちょっと待ておかしい事があるぞ?

「エリン」

『絶対出ないからね!』

「その話はもういい、一つ気になったのだが……何故お前は外に出たり入ったりをするのだ? ずっと中にいればいいではないか。言いたくないがその方が何かと楽じゃないのか」

『チッチッチ~デールはわかってないな~今は出たくないだけで我慢しているけど、中は身動きが出来なくてさ。アタシは外で自由に体が動かせるが好きなの! だから外に出るの! おわかり?』

 中がどうなっているかわからんかったがそうなっていたのか、で普段から落ち着きがない理由もよくわかったわ。

「だったら今すぐ出ろ」

『やだ』

 ……引っ張り出してぇ!!

「なんじゃいなんじゃい、このくらいの寒さくらいでやかましい」

 このくらいだと!? 防寒着を着ていても凍死してしまいそうなくらい寒いわ! いやそれよりも――。

「やかましいついでに言ってやる! 爺さんの格好のせいで見ているこっちが余計寒く思うんだよ!!」

「あん? わしのどこがおかしい」

 自覚がないのか、このジジィは!?

「おかしいもおかしいわ!! こんなクソ寒い所で【その】防寒着一枚だけで何故平気なのだ!?」

 パッツンパッツンで今にも張り裂けそうな体にあっていない防寒着だぞ!?

「そればっかりは決まった事だからな、なんともいえんわい」

 甘かった、まさかこんなに寒いとは。
 あの時の判断は完全に間違っておった!!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

処理中です...