56 / 75
第七章 とある天使の昔話
2 『では、今から私がお前のマスターだ』
しおりを挟む
「お~い、エリン~シルバ~どこだ~? 何か見つかったか~?」
この声はジェイか、この魔剣の事を話せばベデワルの奴に報告されて回収されてしまうだけだな……どうするか。
せっかくこんな面白い物を手に入れたんだ、もっとこれを調べたいし……よし――。
「――お、エリン、こんな所にいたのか。どうだ~? 何があったか? 俺の方は何もなくてハズレだったぜ」
「……私の方も特に何もなかったよ。ここは武器庫みたいだが、見ての通り……まったく手入れがされてなくてなまくらな物ばかりだったよ」
「うわっなんだこれ!? 手入れどころか悪魔達は整理整頓って言葉を知らんのか? ぐっちゃぐちゃじゃないか」
まぁこれは魔剣を隠すために私が散らかしたんだがな。
「――本当にね……シルバの方は何か見つけたかもしれないし、探しましょうか」
とりあえずジェイに魔剣の魔力を感じられない様にここから離れさせないと。
「おう、そうだな」
後であの魔剣を回収する為に天界から抜け出す方法を考えないといけないな……。
※
「お~い、シルバ~何処だ~?」
シルバは一体どこに行ったのだろうか、どこかで寝ているんじゃないでしょうね……あの娘ならありえそう……。
「2人とも~ここですよ~」
「お、あそこで手を振っているぞ」
いたいた、どうやら起きていた様だ。
「って、何だこの部屋は!?」
「これは――」
ここは小奇麗で装飾された家具が置いてある……明らかに他の部屋と違う、もしかしてジュラージが使っていたんじゃ……だとするとまずい、あの魔剣に関する資料がある可能性も。
「で、どうだったんだ? この部屋から何か見つかったか?」
「いいえ~それが何も~……どうやら2人のその顔を見ると~収穫なしみたいだね~」
良かった、どうやらあの魔剣といった資料類はなかったようだな。
「なんだよ、他と違う部屋だから特別な物があると思ったのによ」
「私もそう思ったんだけどね~ただ豪華な家具が置いてあるだけだったよ~その中には何一つ物が入ってなかったわ~」
何も入っていなかった? それはそれで不自然だな、もしかしてここを捨てていたって事なのか? だとすれば何故あの魔剣が置きっぱなしに? う~ん……駄目だ悪魔の考える事はわからん。
まぁいい、他に何もないのならばここからさっさと出るだけだ。
「2人とも何も見つからなかったけど、この場所は制圧したしベデワル隊長と合流しましょうか」
「そうだな、何か面白いもんあると思ったんだけどな。あ~あ、時間の無駄だったな」
「そうですね~」
※
「そうか、隠れ家には下級悪魔がいただけで他には何もなかったか」
「はい、ベデワル隊長」
本当はあったけどな。
「この周辺も何もなかったし……よし、帰還するぞ」
《はっ!》
さてさて、天界に帰った後に外に出る言い訳を考えなければいかんな。
※
「門番任務、お疲れ様です」
「ん? エリンじゃないか、どうしたこんな夜更けに?」
「ええ、ジュラージについて極秘に調べないといけなくなりました。申し訳ないのですが他の者には内緒で通してもらえますか?」
やはりベタだが外に出るにはこれしかないよな。
「ベデワル隊長の命令か? 相変わらず人使い荒いな~。――分かった、気を付けてな」
ありがたいとはいえこうも簡単に門を開くとは、それでいいのか門番……。
っと、こんな所で時間をかけている場合じゃない誰かに見つかる前に早く行かねば。
※
しかし、魔剣を調べるだけでまたこの場所に来る羽目になるとは。
だが今までに見た事がない魔剣、それに今は一人、物によっては回収すればいいしこのくらい安いものか。
「――また会いましたね、えーと……アブソーヘイズ、だったか?」
『はい、私に何か御用でございますか?』
それ以外何があるというんだ。
「そうでなければこんな所に来ない、お前の事で色々聞きたい」
『そうですか、私で答えられる範囲であれば何でもどうぞ』
ふむ、どうやら自分の事についてジュラージに口止めをされているというわけでもないみたいだな。
「では、お前の性能について答えろ」
『私の能力は他人の魔力を吸収し、その魔力をマスターに送る事が出来ます』
「魔力吸収と供給……か」
なるほど。性能的にはかなり物だ、その能力なら私の固有魔法と非常に愛称がいい。
「では何故あんな所に?」
意思を持ち魔力を吸収し供給する、そんな物がこんな所にあるのがおかしい。
きっと何か理由があるに違いない。
『それはですね、ジュラージ様は私を失敗作と判断し破棄しました』
なるほ……ん? 待て、今おかしな事を言わなかったか?
「……何だって?」
『ですから、ジュラージ様は私を失敗作と判断し破棄しました』
お前って失敗作だったのかよ!? 通りで資料も何もかもないはずだ!!
『頭を抱えていますがどうかしましたか? 頭痛ですか?』
頭痛もするわ! 置きっぱなしなっていた理由がそんな事だったんだからな!
「……ちなみにその失敗の部分は何なんだ?」
『それが私にも分かりません……試験中は常に身に付けておられたのですが……』
常に身に付けるほどの物だったのに捨てた? ますます悪魔って考えている事がわからん。
とは言ってもこの魔剣の能力はおしいよな。
「ちなみにそのマスター権限はどうなっているんだ?」
『現在は居りません』
「……では、その権限を私にする事は?」
『可能でございます』
「そうか……では、今から私がお前のマスターだ」
どうせこいつは失敗作なんだ、色々と試してからこいつの処分を考えるとしよう。
『了解です、マイマスター』
ふむ、握った感じは……特に普通の剣と変わらんな。どうにか試し斬りを――。
「――――」
ん? 外から話し声が聞こえるな。
※
「中ハドウダッタ?」
「ドウヤラ天使共ニ襲撃サレタトイウノハ本当ダッタヨウダ、全員ヤラレテイタ」
「ソウカ」
なんというグッドタイミング、下級悪魔2匹が様子を見にここに来るなんて。
「アブソーヘイズ、準備は良いか?」
『何時でもいけます』
さぁ、お前の力見せてもらうぞ!
※
『お見事な剣さばきですね』
「それはどうも……それよりも魔力吸収の方は?」
『出来ております、今マスターに魔力を送ります』
おお……これが魔力供給!! 素晴らしい、魔力が私の体の中にどんどん流れて――。
「お、いたいた。まさかこんな所にいるとは思いもしなかったぞ」
――くるっ!?
え……? この声は――。
「……ジェ、イ? ……何故、ここに?」
この声はジェイか、この魔剣の事を話せばベデワルの奴に報告されて回収されてしまうだけだな……どうするか。
せっかくこんな面白い物を手に入れたんだ、もっとこれを調べたいし……よし――。
「――お、エリン、こんな所にいたのか。どうだ~? 何があったか? 俺の方は何もなくてハズレだったぜ」
「……私の方も特に何もなかったよ。ここは武器庫みたいだが、見ての通り……まったく手入れがされてなくてなまくらな物ばかりだったよ」
「うわっなんだこれ!? 手入れどころか悪魔達は整理整頓って言葉を知らんのか? ぐっちゃぐちゃじゃないか」
まぁこれは魔剣を隠すために私が散らかしたんだがな。
「――本当にね……シルバの方は何か見つけたかもしれないし、探しましょうか」
とりあえずジェイに魔剣の魔力を感じられない様にここから離れさせないと。
「おう、そうだな」
後であの魔剣を回収する為に天界から抜け出す方法を考えないといけないな……。
※
「お~い、シルバ~何処だ~?」
シルバは一体どこに行ったのだろうか、どこかで寝ているんじゃないでしょうね……あの娘ならありえそう……。
「2人とも~ここですよ~」
「お、あそこで手を振っているぞ」
いたいた、どうやら起きていた様だ。
「って、何だこの部屋は!?」
「これは――」
ここは小奇麗で装飾された家具が置いてある……明らかに他の部屋と違う、もしかしてジュラージが使っていたんじゃ……だとするとまずい、あの魔剣に関する資料がある可能性も。
「で、どうだったんだ? この部屋から何か見つかったか?」
「いいえ~それが何も~……どうやら2人のその顔を見ると~収穫なしみたいだね~」
良かった、どうやらあの魔剣といった資料類はなかったようだな。
「なんだよ、他と違う部屋だから特別な物があると思ったのによ」
「私もそう思ったんだけどね~ただ豪華な家具が置いてあるだけだったよ~その中には何一つ物が入ってなかったわ~」
何も入っていなかった? それはそれで不自然だな、もしかしてここを捨てていたって事なのか? だとすれば何故あの魔剣が置きっぱなしに? う~ん……駄目だ悪魔の考える事はわからん。
まぁいい、他に何もないのならばここからさっさと出るだけだ。
「2人とも何も見つからなかったけど、この場所は制圧したしベデワル隊長と合流しましょうか」
「そうだな、何か面白いもんあると思ったんだけどな。あ~あ、時間の無駄だったな」
「そうですね~」
※
「そうか、隠れ家には下級悪魔がいただけで他には何もなかったか」
「はい、ベデワル隊長」
本当はあったけどな。
「この周辺も何もなかったし……よし、帰還するぞ」
《はっ!》
さてさて、天界に帰った後に外に出る言い訳を考えなければいかんな。
※
「門番任務、お疲れ様です」
「ん? エリンじゃないか、どうしたこんな夜更けに?」
「ええ、ジュラージについて極秘に調べないといけなくなりました。申し訳ないのですが他の者には内緒で通してもらえますか?」
やはりベタだが外に出るにはこれしかないよな。
「ベデワル隊長の命令か? 相変わらず人使い荒いな~。――分かった、気を付けてな」
ありがたいとはいえこうも簡単に門を開くとは、それでいいのか門番……。
っと、こんな所で時間をかけている場合じゃない誰かに見つかる前に早く行かねば。
※
しかし、魔剣を調べるだけでまたこの場所に来る羽目になるとは。
だが今までに見た事がない魔剣、それに今は一人、物によっては回収すればいいしこのくらい安いものか。
「――また会いましたね、えーと……アブソーヘイズ、だったか?」
『はい、私に何か御用でございますか?』
それ以外何があるというんだ。
「そうでなければこんな所に来ない、お前の事で色々聞きたい」
『そうですか、私で答えられる範囲であれば何でもどうぞ』
ふむ、どうやら自分の事についてジュラージに口止めをされているというわけでもないみたいだな。
「では、お前の性能について答えろ」
『私の能力は他人の魔力を吸収し、その魔力をマスターに送る事が出来ます』
「魔力吸収と供給……か」
なるほど。性能的にはかなり物だ、その能力なら私の固有魔法と非常に愛称がいい。
「では何故あんな所に?」
意思を持ち魔力を吸収し供給する、そんな物がこんな所にあるのがおかしい。
きっと何か理由があるに違いない。
『それはですね、ジュラージ様は私を失敗作と判断し破棄しました』
なるほ……ん? 待て、今おかしな事を言わなかったか?
「……何だって?」
『ですから、ジュラージ様は私を失敗作と判断し破棄しました』
お前って失敗作だったのかよ!? 通りで資料も何もかもないはずだ!!
『頭を抱えていますがどうかしましたか? 頭痛ですか?』
頭痛もするわ! 置きっぱなしなっていた理由がそんな事だったんだからな!
「……ちなみにその失敗の部分は何なんだ?」
『それが私にも分かりません……試験中は常に身に付けておられたのですが……』
常に身に付けるほどの物だったのに捨てた? ますます悪魔って考えている事がわからん。
とは言ってもこの魔剣の能力はおしいよな。
「ちなみにそのマスター権限はどうなっているんだ?」
『現在は居りません』
「……では、その権限を私にする事は?」
『可能でございます』
「そうか……では、今から私がお前のマスターだ」
どうせこいつは失敗作なんだ、色々と試してからこいつの処分を考えるとしよう。
『了解です、マイマスター』
ふむ、握った感じは……特に普通の剣と変わらんな。どうにか試し斬りを――。
「――――」
ん? 外から話し声が聞こえるな。
※
「中ハドウダッタ?」
「ドウヤラ天使共ニ襲撃サレタトイウノハ本当ダッタヨウダ、全員ヤラレテイタ」
「ソウカ」
なんというグッドタイミング、下級悪魔2匹が様子を見にここに来るなんて。
「アブソーヘイズ、準備は良いか?」
『何時でもいけます』
さぁ、お前の力見せてもらうぞ!
※
『お見事な剣さばきですね』
「それはどうも……それよりも魔力吸収の方は?」
『出来ております、今マスターに魔力を送ります』
おお……これが魔力供給!! 素晴らしい、魔力が私の体の中にどんどん流れて――。
「お、いたいた。まさかこんな所にいるとは思いもしなかったぞ」
――くるっ!?
え……? この声は――。
「……ジェ、イ? ……何故、ここに?」
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる