【完結】新しい我輩、はじめます。

コル

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最終章 魔王の我輩、勇者の我輩

5 『この戦いの決着をつけるぞ! アナネット!!』

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「……なんじゃ……あの姿は……」

「ん? ああ、貴様等のことすっかり忘れていたな、どうだ? この偉大なる天使の姿を見られた感想は」

「……偉大なる……天使です? ……ボロボロの……ローブに……深々と……フードを……被ったまま……そこから覗く……紅い眼……悪魔の……ままじゃ……ないですか……それが……天使です!?」

「……そう……ですね……赤く染まった……天使の輪……それに……赤黒い羽根……そんな……貴様の……どこが……天使ですか!!」

「……ふん! ……貴様は……ただの……悪魔……いや! もっと……穢れた……醜い……化け物じゃ!!」

「なっ!? 私が醜い化け物だと!? この私、が? ……この下等種共が!! フン!」

「……うがっ!」
「……ぐっ!」
「……キャッ!」

「バインドの威力を高めた。クキャキャキャ、貴様等はそうやって地べたに這いずっているのがお似合いだ」

「……デー……ル……様、……エ……リ……ン……様……助けて……です……」

「っ! だから私がエリンだって言っているだろうが!! この下等種がぁ!! フレイムショット!」

「きゃああああああ!!」

「……フェリ……シア! ――がっ! ……おいおい……年寄りの……頭を……踏みつける……もんじゃ……ないぞ?」

「……今の私は天使ではない、か。ああ、確かにそうだな、そこは認めよう……なぜなら天使をも凌駕する力がありさらに上の存在なのだからな! そう――私は神だ! 断じて醜い化け物ではない!」

「……自覚……なし……とはな。この化け物め……」

「……まだ言うか、このくたばり損ないのジジィが!! フレイムショット!」

「ぐはっ!」

「……ダリル……様!」

「そこの猫娘もだ! フレイムショット!」

「ぐっ!」

「……少しでも魔力の糧にしようと貴様等を生かしておいたが……もうこんなにも魔力があるんだ、もはや塵程度の魔力なんぞ吸収したところで意味も無い、それに貴様等の存在自体が不愉快だ、だから――」

「「「「今ここで消してやる」」」」

「……あやつが……増えた……だと……話して……おった……固有魔法……か……」

「クス、光栄に思え……私自身が貴様等を裁いてやるのだからな」

「……光栄……何て……思える……わけない……」

「……私たち……ここ……まで……ですか……」

「「「「これで、終わりだ!」」」」

「貴様がな!!」

「なっファイアボールだと!? くっ!」

「「「ぎゃあああ!」」」

「馬鹿な、私の分身が一撃で消滅しただと……一体――っ!?」

「ちっ本体が残ったか、しぶとい奴め」

「どうして……貴様が……」

「背中ががら空きだぞ、アナネット……いやアナネット達と言うべきか?」

「どうして貴様が生きている!! デイルワッツ!!」

「チョッハハハ!! 我輩は不死身だからな!」

 く~一度この台詞を言ってみたかったんだよな。
 まさかこんなとこで言えるとは思いもしなかったが。

「そんな馬鹿げた事があるか! 仮にあの時生きていたとしても、封印したナイフからは抜けられるはずがない! 何をした!?」

 おうおう、アナネットの奴すごく取り乱しておるな。

「ああ、そうだな……普段の貴様なら気が付いただろうが、今みたいによほど高ぶっていたようだな。貴様と同じ魔力を持つ者がいたという事を見落としていたのだから」

「は? 私と同じ魔力? そんなものいるはず――まさか!?」

 アナネットがアブソーヘイズを見ている、そう正解だ。

「貴様の思っている通りだ、もう一人のお前、つまりエリンだ。あいつは我輩にアブソーヘイズをつき立てた時に悪あがきをしていたんだ、我輩の魔力を吸収ではなく……自分の魔力を供給をしてたのさ」

 突き刺された時はさすがに死を覚悟したけどな。

「なっ……そんな馬鹿な、確かに完全に操りあいつの意識などなかったはず」

「自分も言っていただろうが、エリンの存在が固定されているとな。別人になっているエリンの全てを操れていなかったわけだ。おかげであのナイフは簡単に外れ、魔力も少しだが取り戻せた」

 まったく……あいつの行動には驚かせられてばかりだな……。

「っどいつもこいつも……私をどこまで愚弄するつもりだあああ!!」

 しかし、今のアナネットの姿は前より魔族になっているではないか?

「くそがああああ!! 貴様も地面に這い蹲るがいい! グラビティバインド!」

「ぬぅっ!」

 これは……。

「……こんなものだったのか」

 人間の体だった時は魔力の防壁を張っても力不足で潰されてしまったが、元の体だと余裕で耐えられるな。

「――なっ!? どうして立っていられる!?」
 
 自分で自由自在に魔力を出せるっていうのは素晴らしいな。

「アナネット、グラビティバインドと言うのは……こうやるのだ!!」

「え? ――うがっ! ……な、なん……だと……!?」

 さて、これでしばらくアナネットは動けないはず。
 あとは……。

「……デールど……いや……デイル……ワッツ……」

「……」

「……デール……様……」

 あ~そんな目で見てくるなよ。はぁこのままにしておくものあれだし……束縛を外すか。

「ふん!」

「え? 束縛が外れた……」

「あ、ありがとうございますです……」

「……やれやれ、よっこらしょ。ん~動けるのは素晴らしい事じゃの……さて、今のお主は勇者デール殿か? それとも魔王デイルワッツか?」

 それは難しい質問だな。

「……そうだな、今の姿はデイルワッツではあるが……ただ我輩と戦うのであれば後にしてくれないか? 今は――」

 まさかアナネットの奴、もう動ける様になるとはな。

「っこの、図にのるなぁあああああ!!」

「――あいつとの戦いを優先させてもらうぞ! ファイアボール!!」

「くっ! おのっれ!! ぎゃああああああ!!」

 あ……威力が強すぎて城の外まで吹き飛ばしてしまった。
 どうしよう、また壁に風穴を空けて――。

「デイルワッツウウウウウウウウウウ!!」

 外で叫んでいるって事は生きているか……頑丈な奴め。
 ん? ベルトラが呆然としている、さっきのファイアボールにびっくりしたか?

「チョッハハハハハ! どうだ、ベルトラ。我輩のファイアボールは? 言った通りでかかっただろ?」

 ……ハッ、ついいつもの調子で話しかけてしまったが、呆然としていたのは絶対違うとこだよな! こんな時に何を言って……。

「……そうですね、あの時は申し訳ありませんでした。……『デール殿』」

 え? ベルトラ……。

「聞きたいことが山ほどあるんじゃ、さっさと終わらせるんじゃよ『勇者殿』」

 爺さん……。

「そうです! 『デール様』! 応援していますです!」

 フェリシアまでも……。

「……おう! 行ってくるぞ! フン!」

「「「えっ? 羽が生えた!?」」」

 羽を出すなんて何百年ぶりだろか。

「チョハッ! この戦いの決着をつけるぞ! アナネット!!」
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