【完結】僕は今、異世界の無人島で生活しています。

コル

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7章 様々な使い道

4、努力の結果

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 卵芋を食べた後、拠点の見張りをアリサにまかせて僕は粘樹のある場所へと来た。
 ここに来た目的は一つ、粘樹集めと新しい土器作りを作る為だ。
 土器の完成には時間が掛かる、そうなると必要な物をどんどん作って乾燥させていかないといけないからな。

「さて、作業を始めるかな」

 僕はいつもの道具、鱗を取り出した。
 今までは樹皮に傷をつけて、その傷から流れ出た樹液を使っていた。
 この場で土器を作るのならそれでも良かったけど、今は器があるからそれに集めたい。
 そうしておけば、これからは拠点で土器を作れるようになるから非常に楽だからな。
 けど、普通に傷を付けての採取は効率よく集める事はできない。
 そこで使うのはこのバムムの若木だ。

「本当、使い道が色々あって助かる植物だな。今後もお世話になりそうだ」

 さて、まずはバムムの若木を粘樹に押し当てて、その周りを鱗で印をつける。
 そして印の内側を掘って穴を空けていく。
 理想はドリルで穴を空ける事なんだけど……無論そんな物はこの無人島に無いから、この鱗で頑張るしかない。
 うまくできればいいけどな……。



「…………」

 目の前に円とは程遠いめちゃくちゃな形になった穴が1個。
 自然を大切にしている人に見られたら怒られそうだ。
 鱗じゃやっぱり無理があったか……とはいえ仕方ない事だし、ここには僕しかいないからこれでいいとしよう。
 で、空けた穴の中にバムムの若木を突き刺して、その先に器を置く。
 これでバムムの中を樹液が流れて器の中に入るという訳だ。
 そういえば、どこかで木の根元に水道の蛇口を付けている画像を見た事があるけど、これと同じ仕組みなのかな? それともネタなのかな? どっちなんだろう。

「……まぁそんな事はどうでもいいか。次だ、次」

 器に樹液を集めている間に、穴を空けている時に出た樹液で土器作りだ。
 作るのは大小の器、卵芋で気付いたお玉、後は何が欲しいかな……まぁ樹液を持ち帰れるようになったし、必要になったら作ればいいか。

 まず、作るのは簡単なお玉だ。
 土器で作ると重みがあるから軽い木で作る方が良いんだろうけど、木を削ったり加工するのはもっと大変だから土器で作る。
 半円をの器を作って、器の端に棒状の持ち手を1本付ける……以上、完成。
 これはひび割れすると役に立たなくなってしまうから、4個ほど作っておくか。

 器に関したら前と同じ様に作るだけ。
 比率Bと比率Cの間の比率で作った粘土に、強度をあげる為繊維状の葉を砕いて混ぜる。
 そして、皿を作ってからひも状にした粘土をその周り乗せていって側面を作っていくっと。
 前と違うところは、縁の一部を尖らせて水を出しやすくしたのともう独自性を出さない所くらい。
 あんなに笑われるのはもう嫌だからな……普通の見た目が1番だ。

 お玉と器を作り終えた頃には樹液も器いっぱいに溜ったので、ここでの作業は終了。
 バムムの若木の穴に先端を尖らせた枝をはめ込んで栓にする。
 これで樹液が垂れる事も無いし、次来た時にこの栓を外せば樹液が出て来るはずだ……固まらなければの話だけど。
 まぁ固まってしまったらしまったで、またその時考えよう。

 僕は作った土器と樹液の入った器を手にして拠点へと戻った。



 拠点に戻った後少し休憩してから、僕達は無人島の南側にある磯へと向かった。
 漂流物があるかどうか、罠に獲物が入っているかどうか、そして今日一番の目的と言ってもいい塩作りの為だ。

「罠、どうなってるかな? 獲れてる、かな?」

「と、獲れてるといいね」

 先頭を歩いているアリサは、さっきからこの言葉ばかりだ。
 期待と不安が混じっている感じだな。
 自分が作った物だから、そうなるのもわかるけどね。

「ついた~!」

 南側にある磯に到着。
 んー……辺りを見わたしても目新しい漂流物は無いか。
 まぁ当然と言えば当然だよな、昨日の今日だし。

「ほら! 早く罠、見に行こうよ!」

「ちょっ!」

 アリサが僕の服を引っ張って海へと連れて行こうとした。
 居ても立っても居られない感じだけど、火おこしが先だっての。

「ちょ、ちょっと待って! その前に火を起こさないと!」

「あっそうだった、そうだった。ごめん、ごめん」

 やれやれ。
 えーと、昨日使ったかまどに火を入れればいいか。
 鉄板代わりにした平たい石をどけてっと……。

「た、試しにこれを使って火を起こしてみようか」

 僕は昨日乾燥させておいた、火おこし用に加工したバムムを籠から取り出した。

「あ、バムムね」

「う、うん。準備として、この加工したバムムの穴の下に燃えやすい枯れ葉と木の削りカスを馴染ませたのを置く……そして、穴をあけていない方のバムムの端を掘った溝に押し当てて……」

「左右に、強く動かしてこすり合わせる……だよね? ねぇねぇ。それ、うちがやってもいい?」

「え?」

「うち1人でも、火おこし出来る様、なっておきたいからさ」

「あー……」

 どうしようかな。
 それも重要ではあるんだけど、火が起きるかどうかわからないのにアリサにやらせてもいい物か。

「こ、これで火が起こせるかわからないよ?」

「それでも、やってみたいの! お願い!」

 本人がやりたいと言ってるし、任せてみるか。

「じゃ、じゃあ、はいこれ」

 僕は立ち上がり、場所を譲った。

「ありがとう! 頑張るね!」

 アリサは火おこしのセッティングした場所に座り、バムムを握りしめ左右に動かし始めた。
 シャカシャカとリズムよくこすり合わせる音が聞こえてきたから、とりあえずは大丈夫そうかな。
 問題があれば、声を掛けて来るだろう。
 となれば、アリサが頑張っている間に僕は拠点と同じ土器を乗せられるかまどを作るとしよう。
 塩作りには絶対に必要な物だからな。



「よいしょっと……ふぅー、こんなものかな」

 こっちは石を拾いやすい分、拠点より良い形のかまどが出来たな。
 さて、アリサの方はどうなったかな?

「…………」

 無言のまま、必死にバムムをこすっている。
 彫った溝は……3つ目に入っている状態か。
 1つ目の溝も2つ目の溝も黒くはなっているから、摩擦は起きているみたいだけど……。
 これ以上時間もかけるも、アリサの体力を消耗させるのも良くないな。
 バムムの火おこしは諦めて、持って来ておいた熾火で火を起こすとしよう。

「ア、アリサ……さん。一度手を止めて――」

「――っ! ちょっと、待って!」

 僕が声を掛けた瞬間、アリサは手を止めて溝を彫ってある方のバムムを持ち上げた。
 下に置いてあった火口の上に小さいけど赤く光る物が……これって!

「リョー! こっこれって……」

「は、早く火種を包み込んで、ゆっくりと息を吹きかけて!」

「う、うん! ……ふぅ~……ふぅ~……」

 アリサは火種を火口で包み込んで、ゆっくり優しく息を吹きかけた。
 すると、火口から煙が上がり小さい火種の火が――。

「――わっ! あつ!」

 ――火口を燃え上がらせた。
 アリサは慌てて、燃えている火口を昨日使ったかまどへと投げ入れた。

「…………やった……やったよ! リョー!!」

「う、うん! やったね!」

 バムムで、アリサ1人の力で火がついた!

「わああああああああああああああ!!」

 アリサが泣きながら僕に向かって駆け寄って来た。
 そして、喜びのあまりアリサが僕に抱き付いた。
 ――その瞬間、僕の顔面からも火が出て意識がぶっ飛んだのだった。
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