【完結】僕は今、異世界の無人島で生活しています。

コル

文字の大きさ
56 / 66
9章 奴を捕まえろ!

8、猪鹿蝶の味

しおりを挟む
 レバニラを食べたいと思っても、ニラなんて物は無いからレバニラは諦めるしかない。
 内臓類は普通に焼いて食べていいのかな。

「こ、これは普通に焼くだけで良いんだよね?」

「うん。適当な大きさで、切って焼いちゃって」

「わ、わかった」

 こういったのを焼くとなると石の板の出番なんだけど、流石に持って来てない。
 拠点に取りに戻るとしても、往復分と石を焼くのに時間がかかる。
 内臓って痛んでくるのが早いから時間をかけたくないんだよな。

「んー……仕方ないか」

 僕はこぶし大くらいの大きさのある石を焚き火の周りに囲むように置き、その石の上に出来る限り平べったく大きい石を選んで置いた。
 加工する時間も勿体ないから、凸凹やある程度丸まっていても許容範囲としよう。

 即席の石焼はこれで完成。
 けど、石が焼けるまでの時間が勿体ないから、心臓と肝臓を一口サイズで切り揃えて木の枝に刺して焼いておくか。
 これはこれで美味しく焼けるだろうしな。
 僕は鱗で猪鹿蝶の心臓と肝臓を力任せに輪切りにして、木の枝の先に刺していった。
 そして枝に刺したのを焚き火の前の地面に突き刺して準備完了、後は焼けるまで待つのみ。

「で、これをどうするかだな……」

 このよくわからない網状になっている部位はなんなんだろう。
 食べられるから、ここにあるんだろうけど……こんなの見た事が無いんだよな。
 触った感じは脂肪みたいだけど、どうやって焼けばいいんだ。
 木の枝に巻き付けてもうまく焼ける気がしないから、石が焼けるまでは置いておくか。

 とりあえず、これで今できる事は終わった。
 内臓と石の焼き具合を見つつ、アリサの解体具合を様子見するか。
 目線を向けるとアリサは手際よく頭や尻尾、足先を切り落して、皮を剥ぐ作業に入っていた。

「すげぇなー」

 手際がプロみたいだ。
 にしても、毛皮が手に入るのは大きいぞ。
 衣服にしてもいいし、地面やベッドに敷くのもいい。
 この辺りはアリサと相談しないとな。

「おっ……スンスン」

 すごく良い匂いがして来たぞ。
 内臓はよく焼かないと怖いけど……うん、この位焼ければ問題ないだろう。

「ア、アリサ……さん、焼けたよ」

「おっ! まって、ました! 今、行くね!」

 アリサは作業の手を止め、僕の方へと飛んで来た。
 解体を頑張っているんだし、一番おいしいそうに焼けている奴を渡すべきだよな。
 えーと……うん、この心臓がいいかな。

「は、はい、どうぞ」

 僕はアリサに焼けた心臓を手渡した。

「ありがとう! おお……肉だあ~」

 目を輝かせて、すごい幸せそうな顔をしているよ。
 まぁ目の前に肉があればそうなるか。

「それじゃあ、いただきま~す! パクッ……んんっ!! おいひぃ~!! おいひいよ!!」

 いつもと若干リアクションが違う。
 どれ、僕も食べよう。
 肝臓の一つを手に取り、口へと運んだ。

「フーフー……はむ……モグモグ……ほああああああああ!」

 独特の濃厚な風味、そして粘り気のあるこの食感! まさにレバー!
 この無人島で食べたどんな物よりうまい!
 ああ……あまりにもおいしすぎて涙が出てきそうだ。

 僕たち二人はおいしさのあまり、あっという間に食べきってしまった。
 あーこれだけでも十分満足した感じなのに、まだ本命の肉がこの後控えていると思うと楽しみで仕方ない。

「ふぅ~……少し休憩したら、作業再開するね」

「あっ……よ、よろしく」

 出来れば今すぐと言いたいけど、流石にそれは我儘すぎるよな……僕何もしてないし。



 レバーの効果が出たのか、はたまた肉をすぐ食べるという意気込みがあったのか、作業を再開したアリサはあっという間に猪鹿蝶の解体を済ませてしまった。

「うん、だいたい、こんな感じかな。どんなふうに、食べる?」

「そ、そうだね……えーと」

 一部を今日食べる分に回して、残りは干し肉といった保存食する方が良いよな。
 でも、どうせなら……。

「き、今日は好きな部位を好きなだけ食べて、残りは保存食にしようか」

「おお! 好きな部位を、好きなだけ!? それ、のった!」

 さて、どの部分を食べようかな。
 バラにロースにヒレ……もも肉も捨てがたいな。
 うーん、これは悩むぞ。

「うちは。ここと、ここと、ここと、ここと……」

 おいおい、各部位全部食う気かよ。
 いくら何でもそれは食べ過ぎじゃないかな。
 まぁ好きな部位を好きなだけって言ったし、無人島だと豪華な食べ物だ。
 文句を言うのは野暮ってものだよな。

 石の焼き具合も完璧。
 まずは、肉がくっ付かない様に猪鹿蝶の脂身を置いて油を広げる。
 おお……この時点で、もううまそうな匂いがするぞ。

「そ、それじゃあ肉を焼いて行こうか」

「お~~!!」

 アリサが猪鹿蝶の肉を焼き石の上に置いて行く。
 ちょっ僕の焼く場所が無くなっちゃう。
 慌てて自分の分も置いて、肉が焼けるのを待った。
 肉はジュージューといい音をたて、僕のお腹もグーグーと鳴っている。
 早く焼けろー早く焼けろー。

 そんな事を思っていると、すぐに猪鹿蝶の肉がいい具合に焼けてきた。
 僕とアリサは同時に焼けた肉を手にとり……。
 
「「いただきます!」」

 同時に肉にかぶりついた。

「「はむ……モグモグ……」」

 ……うまい! うますぎる!!
 肉の甘み、そして脂身部分はとろけるようでありながらしつこさ、脂っぽさを感じないぞ。
 味は豚肉に似ているけど、ちょっと違うな。
 多分、これが猪の味……いや鹿の味かな? まぁどっちも食べた事が無いからはっきりとは言えないけど、これはかなりおいしい。
 今まで食べた焼肉で一番かもしれないぞ。
 あー! 米と一緒に食いてぇえええな!

「んんん~! おいしいよおおおおおおおおお!」

 アリサが大声で叫んだ。
 その叫びたい気持ちはよくわかる。
 僕1人だったら確実に叫んで小躍りしていただろうな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

好き勝手スローライフしていただけなのに伝説の英雄になってしまった件~異世界転移させられた先は世界最凶の魔境だった~

狐火いりす@商業作家
ファンタジー
 事故でショボ死した主人公──星宮なぎさは神によって異世界に転移させられる。  そこは、Sランク以上の魔物が当たり前のように闊歩する世界最凶の魔境だった。 「せっかく手に入れた第二の人生、楽しみつくさねぇともったいねぇだろ!」  神様の力によって【創造】スキルと最強フィジカルを手に入れたなぎさは、自由気ままなスローライフを始める。  露天風呂付きの家を建てたり、倒した魔物でおいしい料理を作ったり、美人な悪霊を仲間にしたり、ペットを飼ってみたり。  やりたいことをやって好き勝手に生きていく。  なぜか人類未踏破ダンジョンを攻略しちゃったり、ペットが神獣と幻獣だったり、邪竜から目をつけられたりするけど、細かいことは気にしない。  人類最強の主人公がただひたすら好き放題生きていたら伝説になってしまった、そんなほのぼのギャグコメディ。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...