【完結】デュラハンは逃走中-Dullahan is on the run-

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3章 二人の遭遇

アースの書~遭遇・2~

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 後、今の話を聞いてわかった事がある。
 神殿の奥に入る事を止めたのは妹を起こさない様にというのもあるだろうが、妹に対して守護者を押し付けた後ろめたさも感じているだろう。
 俺も家から親の制止を聞かずに飛び出した身だからな。
 その気持ちはわからんでもない。

『とはいえ、せめて外から見えない程度には奥に行きたいんが……』

 レインに見つかってしまっては元も子もないからな。
 下手をすれば、その騒動で妹が目を覚ますかもしれんし。

「それもそうだね。ん~……ぢゃあ~あの角なんてどう?」

 エイラが指をさしたところはT字路の角か。
 あの辺りなら外からは見えないし、問題はなさそうかな。

『わかった。あの角の影に身を隠すとしようか』

 俺達はT字路の角に行き、身を潜めた。
 座り込むと何だか気分が落ち着いて来た。
 やっぱり、肉体は疲れなくとも精神的に疲れていたんだな。

「ところでさ、あの武器持った人間はなんだったの?」

『うっ』

 落ち着て来たところなのにまた気分が……。
 うー説明したくないが……この状態は説明をしないわけにもいかないよな。

『レインといって……俺の仲間だよ』

「えっ!? あんた仲間に襲われていたの!?」

 それを言わないでくれ。
 俺だって仲間に攻撃されるだなんて思いもしなかったわ。

「仕方がなかったんだヨ。アース様はこの姿だシ……」

 ただ、こればかりはレインが悪いと言い切れない。
 俺とレインの立場が逆だとしたら同じ様に敵意は持っただろう。
 何せ首が無いプレートアーマーが動き回っているのだから。

「それに私の言葉もレイン様には届かったシ……」

 そうなんだよな、レインは一度言い出したら聞かない所があるのが困った所なんだよ。
 せめて俺の声が聞こえていたら説得……は無理か。
 モンスターなんかの言葉に耳を傾けるか! とか言われるのがオチが見える。
 あっ声と言えば。

『レインには俺の声が聞こえていないみたいだったが……』

「そりゃそうよ。鎧がどうやって声を出すのさ」

 ……確かに。
 プレートアーマーは金属だ、だから喉がない、故に声が出るわけがない。
 理屈的にはわかる、わかるんだが……。

『エイラの言う通りだ、でも2人には俺の声が聞こえているだろ? こうして、普通に会話しているじゃないか』

 この状態はどういうことなんだ。

「会話というか……ん~簡単に言うとアースの声は魔力を飛ばしているの。でも、それはモンスター特有の波長だからあ~しには聞こえるけど、その波長が合わない人間は聞こえないわけなのよ」

「えッ! じゃあ私は知らない内にモンスターになっちゃったわケ!?」

 モンスターから魔力を得る代償に自分がモンスター化しちゃうのか。
 初めて聞いた事例だな。

「あっ大丈夫だよ、ラティの場合はアースと魔力で繋がっているからそれで聞こえるだけ。人間のままだから」

 違うんかい!

「ほッ……良かっタ」

「あっそうだ、ラティとアースの繋がりについて言っておかないと。アースがその体を維持出来ているのは、常にラティからアースへ魔力が供給されているからなの。だからラティから一定距離を離れると供給する魔力が少なくなって動けなくなっちゃうから」

『あーそれであの時動けなくなったのか……』

 なら、これからはラティアの近くで行動しないといけないな。
 うーむ……それはそれでどうなんだろうか。
 どう考えても色々と迷惑だよな。

『なら、ラティアに迷惑が掛かってしまし何かいい方法は……』

「無いでス! ありませン! 迷惑じゃないでス! だから気にせず私の傍にいて下さイ!」

 なんか、すごい剣幕で怒鳴られているんですけど!
 なに? 俺何か気に障る事言っちゃった?

『あ、ああ……わかったよ……よっよろしく……』

「はイ~私こそよろしくお願いいたしますネ」

 なんだったんだ、今のは……。
 何故だかわからないが、これ以上この話題に触れると駄目な気がする。
 なら、話題を変えよう。

『えーと……とりあえず、これからどうするかを考えないとな。ずっとここに居るわけにもいかないし』

「あの~屋敷で身を潜めては駄目なのですカ?」

『屋敷にラティアが戻っている事を聞きつけたレインが襲って来ると思う……』

 となると回って逃げるしかないか?
 しかし、当てもなく各地を転々としてもいつかは見つかってしまうだろう。
 そうなったら今度こそこの頭にメイスがめり込む事に……考えただけで恐ろしい。
 
『はぁーせめて俺の話を聞いてくれる奴がいればな……』

 ……待てよ、話を聞いてくれる人物?
 いるじゃないか! 物事を冷静に考え、かつレインが聞く耳を持つ奴が!

『オリバーを頼ろう!』

「オリバー? オリバー・ジョサム様の事ですカ?」

『ああ! オリバーなら俺達の話を聞いてくれるだろうし、レインも聞く耳を持つはずだ!』

 これしかない。
 というか、これ以外に最適解が思いつかない。

『ラティア、オリバーが今どこにいるのか知っているか?』

「すみません、わからないでス……」

 ラティアが顔を下に向けて申し訳なさそうにしている。

『そうか……なら、オリバーを探す旅に出よう』

「え? しかし、生きておられるかもわからないんですヨ?」

『大丈夫、たかが10年。オリバーは元気にしているさ』

 正直、50年経ったと言われてもオリバーは元気に生きていると思う。

「だとしても、どうやって探すのですカ?」

『魔力が集まる場所を巡れば情報を得られると思う。オリバーはそういった力が集まる場所を巡るのが好きだったんだよ』

 ファルベイン討伐の旅でも、それに振り回れたからな。
 どう考えても魔力が残っていない枯れた泉の跡とかを何故か熱心に調べてたし。

『姿を消したとはいえ己の探求が消える事はないからな、だから絶対に情報が手に入る。とはいえ……この旅には、必然とラティアに着いて来てもらわないといけないが……』

 でないと、この神殿を出た時点で旅が終わってしまう。
 けど無理強いはしたくないしなー。
 断られた場合どうしようかな。

「大丈夫でス! 一緒ニ! 私とアース様デ! 共に旅に出ましょウ!」

 おお、行く気満々だ。
 この感じだとラティアも旅に出たかったのかな。
 なら良かった良かった。
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