【完結】デュラハンは逃走中-Dullahan is on the run-

コル

文字の大きさ
45 / 75
7章 二人の炭鉱探索

アースの書~炭鉱探索・3~

しおりを挟む
 まさか、こんな所でオリバーとの繋がりが出て来るとは思いもしなかった。
 いやー俺の山勘が当たるとはな。

(アース様、それは本当ですカ?)

 ラティアが老人に聞こえないような小声で聞いて来た。
 まぁ信じられない気持ちもわかる。

『ああ、間違いない。このミミズがのたうち回ったかのような独特な字……これはオリバーにしか書けないんだ』

(はあ? こんな下手くそな字、見ながらなら書けるでしょう)

 今度はエイラが小声で聞いて来た。
 オリバーの字を知らなければそう思うわな。

『確かに見ながらなら同じように書ける。俺もやってみた事があるしな……けど、それだと字にはならず、ただただ乱れた線にしかならなかったんだ。つまり、文字として読めなかったんだよ』

 あの時は他の3人も挑戦してみたけど、結果は同じだった。
 あれは本当に不思議な出来事だった。

(なにそれ? 他人が書くと文字として読めないって? どういう事? わけがわかんないよ)

 姿は見えなくてもエイラの混乱した様子が声でよくわかる。
 その気持ちよくわかるぞ。

「……ふむ。この依頼書を見ても、まだワシを信じられないか?」

 うーん……確かに依頼書は本物と考えていいだろう。
 だが、この爺さん自身を信じていいのだろうか。
 これは難しいところだな。

(えト……どうしましょウ)

 ラティアも困惑している感じだし、答えを出さないとな。
 依頼書は偽造ではないものの、盗んだ可能性も考えられる。
 他には何かしらの罠の可能性もある。
 しかし、どんな形にしろオリバーの情報が目の前にあるのも事実だ。
 それを逃したくはない……ならば……。

『とりあえず、この爺さんの話を聞いてみようか。その内容で判断をしよう』

 さあ、この爺さんは一体何を言って来るかな。

「(わかりましタ)いえ、信じまス。オリバー様の事を教えて頂けますカ?」

「初めからそうしてほしかったがな……まぁいい。オリバー様の事を教えてもいいが……2つ条件がある」

 爺さんが依頼書をポケットにしまいながらボヤいている。
 ……条件ねぇ。
 なんか急に胡散臭く感じて来たぞ。
 その条件次第でこの場から逃げる方がいいかもな。

「条件、ですカ」

「そうだ。まず1つ目はワシの護衛をしてほしい。この先にある炭鉱の中から鉱石を採掘しに行きたいんだ」

 は? どうして、そんな事をしないといけないんだ。
 ここは炭鉱の町だから、鉱石くらい簡単に手に入るだろうに。

「えト、どうして鉱石を採りに行かれるのですカ? この町なら鉱石くらい普通に手に入れられると思うのですガ……」

 ラティアも俺と同じ事を思っていたようだ。

「その鉱石はちょいと特殊でな。ぱっと見だと普通の石と見分けがつかんのだ……この町でも、ワシを含めて数人しかその区別が出来ん。で、最近は炭鉱内にロックワームが出没するようになってしまってな。だから、護衛をしてくれる人を探していたところだったんだ」

 ロックワームか。
 皮膚が岩みたいに堅くて大人の腕くらいのミミズ型のモンスター。だが、ロックワーム自体はそこまでは強くない。
 とはいえモンスターには違いが無いから、爺さん1人だと危ないな。

「なるほド……もう1つの条件というのハ?」

「鉱石の加工した物をワシの代わりにオリバー様に届けてほしいんだ。最近、歳のせいか腰が痛くてな……丁度、届けるのが辛いと思っていたんだよ」

 護衛に関したら危険があるからだとわかる。
 しかし、その理由だけで俺達に届けるのを頼むのはおかしくないか。

「……え? 私がですカ!? ……あの~私が言うのもなんですけド、今日初めてあった人にそんな事を頼んでいいんですカ?」

「全然構わん、依頼書の物は区別しにくいというだけで珍しい物じゃないからな。売り飛ばそうとしても、どこも買い取ってもくれんわ」

 珍しくもないか。
 じゃあ、何でオリバーはそんな物を依頼したのだろう。
 うーん……気にはなるが、そればかりはオリバー本人にしかわからない事か。

「仮に君が持ち逃げをしても、鉱石さえあれば簡単に作り直せるから痛くもかゆくも……あっそうなると、ワシが届けに行かないといけなくなるから痛いところはあるか……」

 ……聞いている限り、俺達を騙して爺さんが得する事は全くないな。
 これは信用しても大丈夫そうだ。

『ラティア、爺さんの条件を飲む事にしよう』

「はイ。わかりまし――」

「デュラハン!?」

『――っ!?』

 背後から女性の声が聞こえてきた。
 この聞き覚えのある声、そしてデュラハンと叫ぶのは現状1人しかいない。
 レインだ! レインの奴が俺達の後ろに居る!

『ラティア! 今すぐ俺の頭を外して自分の顔を見せるんだ! 早く!』

 あいつは人の頭があるかどうかで判断しているみたいだからな。
 なら、この方法が一番手っ取り早い。
 また突進されたらたまったもんじゃないぞ。

「はイ! ――違いまス! 私はれっきとした人間でス!」

 ラティアは声をあげつつ俺の頭を持ち上げて、自分の顔を見せた。
 ごめんな……素顔を出したくないのに、こんな事をさせてしまって。

「……頭が……ある?」

 ふぅ……声に落ち着きが戻った。
 白の神殿の時の様に誤魔化せたみたいだな。

「ありまス! この通リ!」

 ラティアが振り返ると、そこに居たのはレインではなかった。
 そこに居たのは、フードを被り顔の上半分を覆ったアイマスク状の白い仮面をつけた女性。

『……ソフィーナさん?』

 この格好をしているのは、彼女しかいない。
 なんだ……びっくりさせないでくれよ、心臓が飛び出るかと思ったわ。
 にしても、喉が治っているみたいで何よりだ。
 本当の声はレインにそっくりなんだな。
 レインかと思……って、ちょっと待てよ。

 なんで、ソフィーナさんは俺を見て【デュラハン】って叫んだんだ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...