エルフの少女と妖精の少女 ~女神に修行を言い渡されドタバタスローライフ始めます~

須々木あおい

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4話 エルエル、勇者に出会う!

26 エルエル、勇者に出会う!

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 声の方向に振り返るとそこには私達と同年代ぐらいの女の子が3人立っていた。

「おじ様ー♡!!その依頼は私達が引き受けるわーっ♡!!!!」

 私も身長が高い方ではないが3人組の真ん中に立つ声の主はそれより更に小さい身長でふわふわした長い髪を後ろで2つにリボンで結んでいる。眠そうな目つきをしているが妙にキリっとしていて生意気そうな顔で笑いながら仁王立ちしている。

 両サイドの2人もニヤリと不敵な笑みを浮かべている。
 "獣の耳と尻尾をつけた奴"と"私と同じエルフっぽいけどエルリア族じゃなさそうな奴"
 ……見た事ない種族だ。何て言う種族なんだろうこの2人。

「その依頼……ルピーの報酬が多い上にサクッと終わりそうで私達にピッタリじゃな~い♡!」

 その女達は私達なんか見えない風で鍛冶屋おじさんの前まで歩いて来る。
 何が入ってるんだか小さいポーチを体中につけて背中には細くて綺麗な剣と盾を背負っていてまさに冒険者といった格好だ。
 近くで顔を見ると……耳が短くフィオナと同じヒュルド(人)族だと分かる。

 ……ん?
 見た目はヒュルド族だけど……なんだろうコイツ?
 なにかヒュルド族とは……いや私が今まで会って来た人達とは全く違う不思議な雰囲気を纏っている様に感じた。横の2人は見た事ない種族だけど特に何も感じない。……ただの気のせいかな?

 ……って。

「なんだお前らあああああ!!!横入りしてんじゃねえええええええええええ!!!!!」
「あっ!!そうよ!!!この依頼は私達が受けようとしてたのよ!!!」

 アルルと一緒に乱入してきたクソ女共を指さし叫ぶ。

「はあっ?なにいってんのっ?あんたたちまだ正式に受けたわけじゃないでしょーが♡」

「うるせーふざけんな!!!!もう完全に私達が受ける流れだったんだよ!!!そうですよねおじさん!?」
「そうよそうよ!!!」

 私達は依頼者の鍛冶屋のおじさんの方に圧をかける様に振り返る。

「お、おうよ!!先にこっちのお嬢ちゃん達に頼もうと思ってたんだ」

「へぇ……そうなの……?」

「ああ、だから後から来たお嬢ちゃん達には悪いが……」


「私達に依頼を受けさせないなんてあんた達……!
 ……≪いっちゃってる!!w≫」


「「は?」」

 クソ女は寄り目をしながら人差し指を天に向けた。何やってんだコイツ。と思った次の瞬間。

「うおおおお!!あ、あれはエミー様の≪いっちゃってる≫だああああ!!!」
「お、面白すぎる……!!神々しい……!!!!」
「えっ!!?!?エミー様御一行なのかああああ!!?!?!」
「おいみんな見ろよ!!!エミー様達がおられるぞあああああ!!!!」
「かわいいティオ様~!!!!!」
「ユウギリ様今日もお美しい……」
「女神様の再来じゃああああああああああ!!」
「ありがたや……ありがたや……!!」

 周りの人達がこいつのなんかよく分からんポーズに反応し、振り返り集まって来て大盛り上がりをする。
 さっき見た鎧を着た人や強面の冒険者達も皆コイツらに驚きこっちを見ている。

「エミー様!!おもしろーい!!!」
「フッ……エミー殿の一発ギャグはいつ見ても……ぶふーーーっ!!w」

 クソ女の取り巻き2人も拍手をしながら笑っている。なにこの状況。

「ぷくくく……w『異世界で芸人のギャグやったら人気者になった件』って感じね……w」

 クソ女は口を抑えて笑いを我慢しながら小声で何か意味不明な事呟いてる。なんだこいつ。

「……アルル、今の何が面白いんですか?」
「さ、さぁ……?」

「えっ……ええええええええええええ!?!?!
 あ、あ、あ、あの""エミー様""ぁああああ!?!?!!」

 鍛冶屋のおじさんはひどく驚きひっくり返った後、もみ手をしながらその女に対して腰を低くした。

「そ、それなら""依頼はエミー様達に受けてもらう""という事で……たはは……」

「「は……はあああああああああああああ!!?!?!?!」」

 急に手の平を返してこのエミーとか言うクソ女に依頼を受けてもらう様に言うおじさんに私達はキレる。

「ふーん、まぁそっちがそこまで言うなら受けてやってもいいけどぉ♡」

「ふ、ふざけんなあああ!!!!オイ!!鍛冶屋オヤジ!!!私達に依頼受けてもらうんじゃなかったんですか!!!!」
「そうよ!!!こんな横入りして来た奴らになんで受けさせるのよ!!!!!」

「ひ、ひいい……す、すまない……だ、だって……」

「だってなんだよ!!?!」

「こ、この方々は『エミー様御一行』……
""世界を救う勇者パーティ""なんだ……!!!」

「「ゆ、勇者ぁぁ!?!!!」」
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