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Ep36
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土煙が舞う平原の中央。リィザの踏み込みは、ゼノスの予想を遥かに上回っていた。
「ぬうっ……!」
ゼノスは反射的に斧の柄でリィザの刺突を弾く。凄まじい衝撃波が周囲の空気を震わせ、観戦していた騎士団の馬たちが怯えて嘶いた。
リィザは弾かれた勢いを利用し、流れるような動作でバク転を見せると、着地の瞬間に再び地面を爆発させた。魔法による『加速』ではない。鍛え抜かれた大腿四頭筋が、蓄えられたエネルギーを一気に解放する物理的な爆発だ。
「速い! だが、軽いな」
ゼノスが吠える。彼の振るう大斧は、ただの鉄の塊ではない。魔族特有の剛力が加わったそれは、掠めただけで岩を粉砕する破壊の権化だ。対格差は如何ともしがたい。
リィザはその一撃を、文字通り「紙一重」で躱し続けた。
ケンジが教えてくれた『動作の最適化』。
敵の予備動作から攻撃軌道を予測し、最小限の回避で反撃の隙を作る。
右、左、上――。
大斧が空を切るたび、リィザの剣がゼノスの鎧の隙間を的確に突く。
キィィン! キィィン!
「……効かんな! 貴様の剣は鋭いが、我が皮膜を貫くには至らぬ!」
ゼノスが横薙ぎの一撃を放つ。リィザはそれを跳んで回避するが、ゼノスの追撃が容赦なく迫る。空中で姿勢を崩したリィザに向け、ゼノスの拳が叩き込まれた。
「――っ!」
リィザは空中で剣を盾にし、ガードを固める。凄まじい質量に吹き飛ばされ、彼女の体は数メートル後方の地面を転がった。
「リィザ様!」
城壁の上から、そして騎士団の列から悲鳴が上がる。
「……はぁ、はぁ……」
リィザはゆっくりと立ち上がった。全身に打撲の痛みが走る。だが、彼女の瞳はかつてないほど澄んでいた。
「あの限界まで追い込み続けた訓練のつらさに比べれば大したことないわ」
リィザは剣を正眼に構え直した。
リィザが再び走り出す。今度は直線ではない。ジグザグに、かつ不規則なリズムでゼノスを翻弄する。
「小癪な!」
ゼノスが斧を振り下ろすが、そこにリィザはいない。
彼女はゼノスの斧の柄を「踏み台」にして高く跳び上がっていた。
「上か!」
ゼノスが顔を上げた瞬間、リィザは空中で体を捻り、全身のバネを絞るようにして剣を振り抜いた。
「奥義……なんて名前はないわ。ただの強打よ!」
リィザの剣が、ゼノスの大斧の根元――最も負荷がかかっていた金属の疲労箇所を正確に捉えた。
ケンジが事前にノアで解析し、リィザに伝えていた「構造上の弱点」。
パキン、と乾いた音が響いた。
魔族の将が誇る大斧が、中ほどから真っ二つに折れ飛ぶ。
「何っ!?」
驚愕に目を見開くゼノスの喉元に、リィザの剣先がピタリと止まった。
静寂が平原を支配する。
朝日が昇り、二人の影を長く伸ばした。
「……負けだ」
ゼノスが折れた斧の柄を捨て、両手を広げた。
「これほどの技と力を見せるとは。……カレンベルクのリィザよ、見事だ」
双方の軍勢から、静かな地響きのような唸りが上がった。それは敗北への怒りや敗者への侮蔑ではなく、強者への敬意だった。
「ぬうっ……!」
ゼノスは反射的に斧の柄でリィザの刺突を弾く。凄まじい衝撃波が周囲の空気を震わせ、観戦していた騎士団の馬たちが怯えて嘶いた。
リィザは弾かれた勢いを利用し、流れるような動作でバク転を見せると、着地の瞬間に再び地面を爆発させた。魔法による『加速』ではない。鍛え抜かれた大腿四頭筋が、蓄えられたエネルギーを一気に解放する物理的な爆発だ。
「速い! だが、軽いな」
ゼノスが吠える。彼の振るう大斧は、ただの鉄の塊ではない。魔族特有の剛力が加わったそれは、掠めただけで岩を粉砕する破壊の権化だ。対格差は如何ともしがたい。
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ケンジが教えてくれた『動作の最適化』。
敵の予備動作から攻撃軌道を予測し、最小限の回避で反撃の隙を作る。
右、左、上――。
大斧が空を切るたび、リィザの剣がゼノスの鎧の隙間を的確に突く。
キィィン! キィィン!
「……効かんな! 貴様の剣は鋭いが、我が皮膜を貫くには至らぬ!」
ゼノスが横薙ぎの一撃を放つ。リィザはそれを跳んで回避するが、ゼノスの追撃が容赦なく迫る。空中で姿勢を崩したリィザに向け、ゼノスの拳が叩き込まれた。
「――っ!」
リィザは空中で剣を盾にし、ガードを固める。凄まじい質量に吹き飛ばされ、彼女の体は数メートル後方の地面を転がった。
「リィザ様!」
城壁の上から、そして騎士団の列から悲鳴が上がる。
「……はぁ、はぁ……」
リィザはゆっくりと立ち上がった。全身に打撲の痛みが走る。だが、彼女の瞳はかつてないほど澄んでいた。
「あの限界まで追い込み続けた訓練のつらさに比べれば大したことないわ」
リィザは剣を正眼に構え直した。
リィザが再び走り出す。今度は直線ではない。ジグザグに、かつ不規則なリズムでゼノスを翻弄する。
「小癪な!」
ゼノスが斧を振り下ろすが、そこにリィザはいない。
彼女はゼノスの斧の柄を「踏み台」にして高く跳び上がっていた。
「上か!」
ゼノスが顔を上げた瞬間、リィザは空中で体を捻り、全身のバネを絞るようにして剣を振り抜いた。
「奥義……なんて名前はないわ。ただの強打よ!」
リィザの剣が、ゼノスの大斧の根元――最も負荷がかかっていた金属の疲労箇所を正確に捉えた。
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魔族の将が誇る大斧が、中ほどから真っ二つに折れ飛ぶ。
「何っ!?」
驚愕に目を見開くゼノスの喉元に、リィザの剣先がピタリと止まった。
静寂が平原を支配する。
朝日が昇り、二人の影を長く伸ばした。
「……負けだ」
ゼノスが折れた斧の柄を捨て、両手を広げた。
「これほどの技と力を見せるとは。……カレンベルクのリィザよ、見事だ」
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