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番外編 聖女の場合3
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今日はいよいよ聖女試験開始の式典の日。
素敵なドレスでも着たいけど、ここは聖女候補の服が用意されているから、しょうがない。ヒロインキャラって顔は可愛いのに、何故か胸が寂しいのよね~この制服なら、あんまり目立たなくて良かった!
確か休日にドレス買ってくれるイベントが、すぐにあったよね~ウィリアム様の買ってくれるドレスが好きだったから、そのイベント前後はウィリアム様攻略しなきゃ! 思いだして良かった!
うん、今日もゲーム通りの可愛いヒロインだわ! と思って鏡を見てみる。
……中身が違うからかな? なんだか思っていたのと、違う私が写っている。
表情かな? なんだろう? 昨日眠るのが遅かったからかな? 少しの違和感を感じつつ、今日から始まる私のための舞台に心ときめかせて、神殿の大広間へ向かって歩いた。
神殿にあがると、既に多くの貴族や騎士団・魔術師団の人や神官達が並んでいた。大広間の正面に女神の祭壇が置かれていて、そのまわりを泉で囲んでいる。天井にはステンドグラスが嵌め込まれ光まで美しく見える。
神殿としての美しさも神々しさも、ここの大広間は圧巻だった。そこに私とイザベラが並んで入り、泉の近くの決められた位置に立つ。周りを見渡すと、みんなが私に注目している。これからの事を考えると高揚感を覚える。
王子様達を始めとする攻略対象様達が、位置に着いた。後は王様が到着するのを待つばかり。
神殿の楽士達が音楽を奏でるために、準備を始めている時だった。
「わぁ~今日は、いつもお祈りに来てくれるみんながいるのね!」
誰かの声がする。凛とした美しい声だ。こんな声聞いたこと無い。
その声の主は話し続ける、そして神官長が願う。
「神子様! どうぞ我らにあなたのお慈悲を!」
「……ええと? 私の声が聞こえるの? ……はい。あなた方への慈悲を祈りましょう」
神殿内は大きな歓声に包まれる。
やがて神殿内は光に包まれ天井から、白い羽根や光の珠がキラキラと舞い降りてきていた。
泉の中心の祭壇に一人の美しい女性が落ちてきた。
その幻想的な美しさに誰ひとり動けず固まっていた。そんな中、リオン様だけが祭壇にかけよりその女性を抱き上げて……
「神子様が我が国に降りられた!」
と宣言した。
嘘でしょうっっっ!!??
思い切り大声で叫び出したかったが、声も出ないし身体も動かない。
だって、聖女候補としてやっと今日からゲームがスタートするんだよ!? こっちは十六年近くも待っていたんだからね!
神子が降りて来るなんて聞いてない!
ゲームにもないし、オープニングでは五百年はこの国に降りて来ていないから、聖女が大切だってあったじゃん!
どうなってるのよおおおおおぉぉ!
その後は散々だった。その場にいた誰も彼も神子様の話しばかりだし、みんな興奮していてお祭り騒ぎた。
……あんな神秘的な降臨の場に居合わせた幸運。
わからないことない。私だって呆然としたし、余りの神々しさに動けなかった。そりゃ感動もしたよ! 正直あんなのみせられたら興奮するよ!
国をあげてのお祝いをするだとか相談が始まり、私達の事どころではない……
王様が試験開始の宣言と神子様降臨のお祝いを高らかに宣言した後すぐに退殿された。その後を追いかけて王子様達や、神官長までも慌てて出て行ってしまった。
でも……でも!!! 今日の主役は私達じゃないの!!!!
あんまりの悔しさにイザベラの元に駆け寄る。
「イザベラ!! ……じゃなくて、イザベラさん!」
「まあ! マリアさん」
イザベラは頬を赤く染め興奮した様子だった。いつも真面目な顔をして勉強しているので、こんな様子初めてみた。
「神子様が降りてくるなんて……ね」
「本当ですわね! まさか、まさか神子様にお会いできるなんて思ってもみませんでしたわ! 私達、なんて運が良いのでしょう! この御代は幸福で溢れる事、間違い無しですわね!」
被せ気味に話すなんて、マナーにうるさいイザベラらしくない。それだけ興奮しているようだ。
でも、私の気持ちとは真逆の答えがかえってきてガッカリだ。イザベラは、主役の座を奪われて悔しいと一緒に言い合えるのではないかと思ったからだ。
「……そうだね」
「聖女に選ばれたら、ご一緒出来る機会も多くなりそうですわ! 私達、これからもっと頑張りましょうね! 試験の間にもお会い出来るかしら? ああ! 楽しみですわね! マリアさん!」
そうだよね、貴族なのにわざわざ聖女を目指す位だもん。女神様、神子様リスペクトってやつよね。この娘にとったら喜ぶべき事なのね。
はぁ~攻略対象達とも絡めないし、神子様降りてくるし、今日の式典も全然ゲームと違う。
……違うの??
ゲームの世界じゃないの? そんな可能性が頭の片隅をよぎる……え?? そんな事ってある? 嘘だ嘘だ……
おそらく、私はひどい顔色をしていたと思う。
イザベラが心配そうに付き添いながら、一緒に部屋まで帰ってくれた。
素敵なドレスでも着たいけど、ここは聖女候補の服が用意されているから、しょうがない。ヒロインキャラって顔は可愛いのに、何故か胸が寂しいのよね~この制服なら、あんまり目立たなくて良かった!
確か休日にドレス買ってくれるイベントが、すぐにあったよね~ウィリアム様の買ってくれるドレスが好きだったから、そのイベント前後はウィリアム様攻略しなきゃ! 思いだして良かった!
うん、今日もゲーム通りの可愛いヒロインだわ! と思って鏡を見てみる。
……中身が違うからかな? なんだか思っていたのと、違う私が写っている。
表情かな? なんだろう? 昨日眠るのが遅かったからかな? 少しの違和感を感じつつ、今日から始まる私のための舞台に心ときめかせて、神殿の大広間へ向かって歩いた。
神殿にあがると、既に多くの貴族や騎士団・魔術師団の人や神官達が並んでいた。大広間の正面に女神の祭壇が置かれていて、そのまわりを泉で囲んでいる。天井にはステンドグラスが嵌め込まれ光まで美しく見える。
神殿としての美しさも神々しさも、ここの大広間は圧巻だった。そこに私とイザベラが並んで入り、泉の近くの決められた位置に立つ。周りを見渡すと、みんなが私に注目している。これからの事を考えると高揚感を覚える。
王子様達を始めとする攻略対象様達が、位置に着いた。後は王様が到着するのを待つばかり。
神殿の楽士達が音楽を奏でるために、準備を始めている時だった。
「わぁ~今日は、いつもお祈りに来てくれるみんながいるのね!」
誰かの声がする。凛とした美しい声だ。こんな声聞いたこと無い。
その声の主は話し続ける、そして神官長が願う。
「神子様! どうぞ我らにあなたのお慈悲を!」
「……ええと? 私の声が聞こえるの? ……はい。あなた方への慈悲を祈りましょう」
神殿内は大きな歓声に包まれる。
やがて神殿内は光に包まれ天井から、白い羽根や光の珠がキラキラと舞い降りてきていた。
泉の中心の祭壇に一人の美しい女性が落ちてきた。
その幻想的な美しさに誰ひとり動けず固まっていた。そんな中、リオン様だけが祭壇にかけよりその女性を抱き上げて……
「神子様が我が国に降りられた!」
と宣言した。
嘘でしょうっっっ!!??
思い切り大声で叫び出したかったが、声も出ないし身体も動かない。
だって、聖女候補としてやっと今日からゲームがスタートするんだよ!? こっちは十六年近くも待っていたんだからね!
神子が降りて来るなんて聞いてない!
ゲームにもないし、オープニングでは五百年はこの国に降りて来ていないから、聖女が大切だってあったじゃん!
どうなってるのよおおおおおぉぉ!
その後は散々だった。その場にいた誰も彼も神子様の話しばかりだし、みんな興奮していてお祭り騒ぎた。
……あんな神秘的な降臨の場に居合わせた幸運。
わからないことない。私だって呆然としたし、余りの神々しさに動けなかった。そりゃ感動もしたよ! 正直あんなのみせられたら興奮するよ!
国をあげてのお祝いをするだとか相談が始まり、私達の事どころではない……
王様が試験開始の宣言と神子様降臨のお祝いを高らかに宣言した後すぐに退殿された。その後を追いかけて王子様達や、神官長までも慌てて出て行ってしまった。
でも……でも!!! 今日の主役は私達じゃないの!!!!
あんまりの悔しさにイザベラの元に駆け寄る。
「イザベラ!! ……じゃなくて、イザベラさん!」
「まあ! マリアさん」
イザベラは頬を赤く染め興奮した様子だった。いつも真面目な顔をして勉強しているので、こんな様子初めてみた。
「神子様が降りてくるなんて……ね」
「本当ですわね! まさか、まさか神子様にお会いできるなんて思ってもみませんでしたわ! 私達、なんて運が良いのでしょう! この御代は幸福で溢れる事、間違い無しですわね!」
被せ気味に話すなんて、マナーにうるさいイザベラらしくない。それだけ興奮しているようだ。
でも、私の気持ちとは真逆の答えがかえってきてガッカリだ。イザベラは、主役の座を奪われて悔しいと一緒に言い合えるのではないかと思ったからだ。
「……そうだね」
「聖女に選ばれたら、ご一緒出来る機会も多くなりそうですわ! 私達、これからもっと頑張りましょうね! 試験の間にもお会い出来るかしら? ああ! 楽しみですわね! マリアさん!」
そうだよね、貴族なのにわざわざ聖女を目指す位だもん。女神様、神子様リスペクトってやつよね。この娘にとったら喜ぶべき事なのね。
はぁ~攻略対象達とも絡めないし、神子様降りてくるし、今日の式典も全然ゲームと違う。
……違うの??
ゲームの世界じゃないの? そんな可能性が頭の片隅をよぎる……え?? そんな事ってある? 嘘だ嘘だ……
おそらく、私はひどい顔色をしていたと思う。
イザベラが心配そうに付き添いながら、一緒に部屋まで帰ってくれた。
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