花咲姫のしあわせ〜国から棄てられる?こっちが棄ててやるんだから!〜

木村 巴

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福寿草の根には毒がある。

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 目を覚ますと全てが変わっていたし、終わっていた。



 まるで母の葬儀は遠い昔の様だ。

 母の死のショックからか……私は前世の記憶を思い出していた。前世の私は高校を卒業して大学に入学したての一年生だった。

 ……全てがこれからだったのに。

 新しいアパートを決めて、まだ大学に数日しか行っていない。新生活を楽しみにしていた特別な事などなにもない、田舎から出てきた大学生だった。
 最後にアパートで寝て……災害かな。何が起きたのか分からないけれど、大きな衝撃があった気がする。たぶん……その時に私は死んだのだろう。


 記憶が混乱していることもそうだが、まだ現在の年齢が四歳の私には十八年間の記憶は理解が追いつかないモノであった。それでも、私の心を……精神年齢を格段にあげる出来事だった。

 そして、それによって見えてきたこともある。


 ──母は王家に殺されたのだ。

 だって私の前世の母は病気で、私が高校生の時に死んでしまった。病院に通ったり手術をしたり、そんな日々を繰り返していた。最後は家族と本人の意向で家で看取った。
 だから病気で死ぬというのと、今世の母の死に方が全く違うと……記憶を思い出して気がついた。

 医療技術の問題ではない、母の様子でわかる。病気で死ぬって、身体が病に侵されるって事は、身体にどんな変化がおこるか私は見てきた。
 もちろん、経過は全て同じじゃないのも知ってる。母の経過と隣のおばあちゃんの経過も身体も何もかも違ったから……。


 あんな風に、ただ動かなくなるだけの病気なんてない。ましてや点滴も薬もなく、痛みもなく……病気な訳、ないじゃない。

 この世界にある魔法か呪いか、それとも毒か……心理的要因による衰弱は可能性としてあっても…………。いずれにせよ王家によって殺されたも同然だ。


 ここに居たくない。
 母を死に追いやったここに、居たくなんかない。
 王家に一番利のない形で出ていってみせる。



 目覚めた時に変わったのは、乳母以外に使用人と教師が数人、父親であるらしい王様から送られて来ていた事だ。

 今までは母が断っていたために、使用人も教師も派遣されて来なかったらしい。


 授業が始まるとはじめて、私はこの国の王族の詳細やギフトについて知った。

 王族は特殊なギフトを女神から貰えるとあって、王には子供がたくさんいればいる程いいと言われていた。

 正妃様はもちろん側妃様もたくさんいて、平民からも気に入った娘を妾として娶る事も推奨されていた。


 母はとにかく美しい人だったから、拐われる様にして嫁いで来たらしい。もう一人だけいる平民の妾は踊り子で自ら売り込みに来た野心家との事だ。それくらいでなければ、ここは厳しい場所だ。ちなみにまだ子供はいない。

 大勢いる妃はみな貴族である。

 後ろ盾もなく、ただ美しいだけで娶られた母は常に蔑まれ、虐められていた。貴族相手に何の抵抗か出来る訳でもない母は、都合の良いストレス発散相手であっただろう。
 だから母はこの離宮で、ここを出られる様になるまで目立たない様に静かに過ごしていたのだろう。


 ここには若くて美しいたくさんの妃が、どんどん嫁入りしてくるのだ。後ろ盾も教養もない、美しいだけの平民への関心は数年で薄れていたと言われなくともわかった。

 ただし、生んだ子供にギフトがあれば子供は王族として生きなければならない。有用ならば使い、嫁がせ、親善という名で売り出されるのだ。
 ギフトがなければ、自由にして構わないという事だった。
 次代のギフトは、次代の王の子供のみに与えられるものだからだ。今代の王の血を引いていてもなんの利用価値もなければ、制限もない。


 だから母はギフトがなければ、一緒に市井に降りて花屋をしようと言っていたのだと今さらになってわかる。
 母は優しい人だった。こんな後宮では生きにくい性質だったと思う。


 それでも今までは妾であっても姫を生んだ母が居たため、ここに母の許可のない者が自由に出入りすることは出来なかった。
 しかし母が亡くなり姫としての商品価値を落とさない様にと、王の指示された人達の出入りが増えた。





「おまえ、平民の娘なのでしょう? 私より少し早く生まれたからと言って姉と名のろうなんて思わないで!」



 こうやって、この宮殿に人が訪れるのだ。







──────

短いので、今日は後でもう1話UPします (〃´ω`〃)
春を告げる福寿草のしあわせなイメージと根の毒の相反するイメージがとっても創作意欲を刺激しますよね……


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