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ギフト
しおりを挟むあれから、花に埋まった私を乳母が発見して大騒ぎになった。
けれど、私自身は力の使い過ぎだとわかっていたので、一晩寝たらなんの問題も無く回復した。
結局、神殿からギフトの説明があったのは、三日も経ってからだった。
また神殿に呼び出されたと思ったら、神官様達だけではなく、王と多くの妃と王子王女がいた。
「此度のフローラ様のギフトおめでとうございます。神殿の総力をあげ、過去の文献を遡りましても、今回のギフトは今までに無いものでした。幸いな事にギフトの使い方はフローラ様がわかるでしょう。なので、そちらはひとまず置いて置きましょう。
過去の文献からは解読出来た部分は、この様になりました」
私の可愛いこ■■……
あなたに■■■■■力を贈りましょう
『■■■』
『最上位』
この力で、■■■■になりなさい
「過去にない神語が多く、素晴らしい事です」
なるほど、過去に無いものはわからないと言う事なのね。
そして、最上位がみんな気になる……って所かしら。
そうよね、王位継承にも関わるかもしれないし。
まぁ基本的に、王女が王位継承する事は少ない。だって産む数に一人だと限界があるから。
だから、王位には王子がなって、使えるギフト持ちなら取り込もうという所だろう。
……これは神語が読めた事は、言わない方が良さそうね。だって絶対この国から出られなくなってしまうもの。一生辞書を作らされそうだ。
神語以外にも、前世の記憶が戻ってから言語翻訳があった事にはうっすら気がついていた。
記憶が戻る前からそうなのか、戻ってからそうなのかはわからないが、後宮に人が入るようになり、教師がボソリと呟いた教えられていない言語も理解出来たし、ノートのメモなんかも読めていた。
これがよく前世で聞く転生チートなのかな。ありがたい。
「さてフローラ様。どんなギフトだったのか私どもにお教えください」
私は緊張でゴクリとツバをのむ。
ここ三日、必死に考えた事をまとめるつもりで、一言になってしまった。
「……お花を咲かせます」
「…………は?」
「お花を咲かせる事が出来ます」
「ふむ、花ですか?」
神官長様は困惑したように周囲を見渡した。
「ここで披露しても?」
国王が頷いたのを確認してから、それでは……と、私は裏庭から持参した薔薇の枝を一本だす。
ギフトの力を込めれば簡単に大輪の、普通より大ぶりで花弁の多い見事な薔薇が咲いた。
「この様に、一般的な花よりも豪華なものや違う色味のもの、または大きくも小さくすることもでき自由に咲かせられます。」
ここまで発言することがなかった王が、眉を顰めて顎で第一王女を私の元に寄越してから問う。
「最上位と聞いた。何か他にあるだろう」
もちろん、ここまでは想定の範囲内だった。第一王女が私の肩に手を置いたのを確認してから応える。
「はい。私が知っている花であれば、このように枝や種など、元になるものがなくても咲かせる事ができます。
無からも有みだすことが出来るという事です。ただし、無からだすのは難しく力の消費が激しいので、先日の様に無からたくさん出すと、倒れてしまう様です」
「無からも、有みだすか……」
チラリと第一王女をみて、王女が頷くのを確認すると途端に興味を失ったかのように、背もたれにもたれ掛かった。
王女も席にもどる。
「第一王子よ、そなたは水を生みだせるか?」
「いえ、出すことは出来ないでしょう。あくまで操れるだけです」
第一王子はあくまでも淡々と返答する。この王子だけはいつもこうだ。私に……私達に興味も関心もなさそうだ。まぁ、自分の地位はゆるぎないという確信からくる自信なのか、性格なのか敵でも味方でもない。
ただ私が脅威でも、取り入る必要もないとわかった瞬間、他の妃達はこちらにまた嘲る様な表情を向けてくる。
わかりやすい。
「では、お前の能力は花を出すだけだな?」
「確認出来たのは花を出したり、咲かせたりで……消したり枯らせる事は出来ないようです」
ここまでは想定内だ。
神殿には王族のギフトについての記録がある。これは王族ならば閲覧可能になっていた。あの煩いマデリンが自慢げに教えてくれたのだ。彼女に絡むのは面倒だがこんな時に役に立つ。
知らなかったら危ないところだった。
ここで調べた所によると、現王のギフトは『嘘がわかる』というものだ。だから、絶対に嘘をついてはいけない。
更に第一王女は『過去をみる』触れたものの過去を映像としてみることが出来るらしい。
なので、私のギフトを使用している時の状況を確認した上で、嘘がないか確認していたのだ。
ギフトの使い方は、歩ければ歩いてみるように、なんとなくわかるのだから最初に確認するだろう。だからこその、この質問で映像確認だ。所詮五歳児ならば確実に使う。使いまくって倒れる……想定の出来事だろう。
使用してないからわからないは、嘘ではないし見られないのだ。母親もいない五歳児がそんな事考えているなんて思いもしていないだろう。
ここを乗り切れたら、逃亡まで時間が稼げるはず。
こうして私は賭けに勝った!!
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