花咲姫のしあわせ〜国から棄てられる?こっちが棄ててやるんだから!〜

木村 巴

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19 ギフトとごはん 1

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 宿に戻ったのは、日付も変わって深夜から夜明けに近い時間帯だった……らしい。というのも、私は途中で寝落ちしてしまっていたから、詳しい事がわからなかったのだ。

 あの後……アレックス様とオリビア様、トラビス様は戦いで寝ない事もあるらしく夜の作業にも慣れていると張り切って眠るパールの世話を始めた。
 そして、やはり三人とも体力が尋常ではないせいか、平気な様子で大人しく寝ているパールの体に薬を塗ったりと治療をしていく。
 私も手伝おうとしたが、竜は大きく重いので手伝う事も出来ず……安全のため一人で宿に戻る事も許されず、部屋の隅での待機を三人からお願いされていた。
 なので、しぶしぶ待機していたんだけど……。
 時折トラビス様から「天使様……」とこちらをチラチラ見るのが気になるくらいで、やる事もなく夜もふけるうちに、眠ってしまった様だった。


 ……だって。

 だって私……今世は王宮で放置されてると言っても、今朝まで王宮から出た事もほとんどないお姫様だったんだよ??

 初めての竜に乗って、初めての街で、初めての人にたくさんあって、初めて竜の治療して……疲れていたんだもん。
 旦那様(予定)に、更にはあの二人にも寝顔を晒して居眠りしていたなんて……ツライ。恥ずか死ぬ。うわ~ん! 泣きたい!!

 せめてヨダレとか垂らしてないといいんだけれど……あー疲れてたから、垂らしてそうで怖い!! ヨダレとか! 嫌すぎる!


 私の乙女心が死ぬから、もうこの事は忘れよう。そうしよう。ヨダレなにそれ。おいしいの? だ。


 宿のベッドの中で目が覚めて、布団の中で少し恥ずかしくて枕にぐりぐり顔を押しつけていると部屋の前に待機していたトラビス様に声をかけられた。なぜ起きたのがわかったの……? 音が出るほどぐりぐりしてないよ……ね?
 すぐに隣の部屋からアレックス様も来てくれる。

 心の準備も出来ないけれど、とにかく急いで身支度をしてなくちゃ。鏡の前で髪と服を少し整えて、部屋に招き入れる。



「フローラ、昨日はありがとう。パールも少し前に目を覚まして、元気だそうだ。姉さんも、もう少しで戻るだろう」
「よかった……」

 ああ、私の力が役に立って本当によかった。

 安心したのもつかの間で、やっぱりトラビス様は私をキラキラした目で見てる。
 …………う~ん。どうしたものなのかしら。どこまで、誰まで説明するかはアレックス様にお任せするにしても、まずはアレックス様と相談しなくちゃ、かな?

「あの……アレックス様、その……」


 チラリとトラビス様をみてから、私がなんと説明すればいいのか分からず言い淀んでいると、言いたいことが分かったのか答えてくれる。

「トラビスは、俺の従兄弟で乳兄弟なんだ。軍でも俺の副官で最も信頼している者だから、トラビスに聞かれて困る事はないと思って大丈夫だ」

 それを聞いてホッとした。トラビス様も大きくウンウン頷いている。なにそれ、可愛いな。

 既に昨日、力を使った所の一部を見られているので心配していたのだけれど……。
 でも、よく考えるとそうか、三人でこの街に来ているのだから、お姉さんと同じくらい信頼しているんだよね。

 後ろでトラビス様が「アレックス……」と感動してウルウルしているのは見ないでおこう。

 頷き方といい涙目といい、感激屋さんなのかもしれない。



「では、まずは食事をして落ち着いてからにしようか? それとも先のが安心か?」

 内容はともかく、これだけは先に確認したいので頷く。

「どこまで、誰にまで話していいのかの判断は、旦那様になるアレックス様にお願いしようと思うのですが……いいですか?」
「……任せてくれ」


 アレックス様はお顔を上に向けてしまったので表情までは分からないけれど、引き受けて貰えてよかった。

 秘密を打ち明ける決心に必死で「旦那様……いい……」という小さなつぶやきも「どこまでも天使……」というトラビス様の呟きも、私の耳には届く事はなかった。


 とりあえず私の今、わかっているギフトの力を簡単に説明していく事にした。


「私の力は、同音異義語という同じ発音でも違う意味を持つを貰ったんです。
 一つは以前も見せた『開花』という花を咲かせる力で、母国ではこの力だけを開示していました。
 もう一つが『開架』という、図書館などにある文献であればそこから、必要な知識を探し出せるという力です」

「違う意味の……なるほど。それで月光花を?」
「はい。ブラッディベアを調べて、必要になるかもしれないなと……」
「眠る魔草は?」
「あれは、万が一危険なことやキュプラ国から逃げなくてはならない事があれば、使える武器をと思い調べていたものの一つです」
「使う機会が!?」
「いえ、それはありませんでした。念の為というか安全なのはわかっていたのですが、動物から試して、数回は人でも試したくらいです」
「そうか、使う機会がなく迎えに行けてよかった……」

 アレックス様は、ほっとした様子で微笑んでくれた。


 とりあえず、他国の言語でも私は読める事も含め、何処かの図書館にさえあれば情報が引き出せる様だと伝える。

「それは、どの国の言語も読み書き出来るのか?」
「書くのは難しいかもしれませんが、今のところ全て読むことは出来ます」

 それはすごいなと、呟くアレックス様の後ろでトラビス様もキラキラが増している。

 ……トラビス様の中での私は、どうなってしまっているのか、想像するのが怖い。ちょいちょい天使って聞こえるんですけど、違いすぎるからね? まあ、置いておこう。


「後は試した事はないんですけど、たぶん後ちょっと二つくらい何かが出来そうです。その内に試してまた報告しますね!」

 二人が「ちょっと二つ?」と首を傾げているのが可愛い。
 でも、この力はキュプラ国王にバレない様にら試した事がないから私にもよく分からないのだ。















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