花咲姫のしあわせ〜国から棄てられる?こっちが棄ててやるんだから!〜

木村 巴

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竜の谷とギフト 2

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 アレックス様達の部屋に戻って四人で食べた朝食は、固くて小さなパンとスープが少しだった。


「フローラ、竜の谷から竜の山が見えるから後で一緒に見に行こう。まぁそれ以外に見るところも少ないのだが、上手くいけば新しい竜に会える」

「アレックス様、嬉しいです! でもせっかくここに三日もいるので、試したい事もあるんです! いいですか?」


 試したい事? と三人とも首をかしげている。


 私の力をここで活かせると思う。むしろ、ここみたいに足りない場所こそ、この力が生きると思うの。



「えと、どなたか土属性の魔法でこの土地を耕せたりしますか?」
「俺がやろう。二人は攻撃特化だし、俺はどの属性の魔法も使える」

 え? アレックス様すごい!

「ただ、耕せばいいのか?」
「はい、本当はもっとやりようもあるんですが、時間もないので今回は耕すだけでお願いします」



 アレックス様は「わかった」と言ってから、私の指定した範囲の土を掘り返し耕してくれた。
 耕された土を確認してみると、そこは思ったよりも悪い土ではなかったので少し安心だ。

 周囲に誰もいないのを確認してから、目の前の耕された土地の大きさを確認する。


「アレックス様。私もどれくらい出来るのか試した事がないので、分からないのですが……もし力が足りず倒れる事があれば、その後はお願いします。先日お話したように眠れば大丈夫なので心配しないでくださいね」

「今でなくても…………いや、理由があるんだな。わかった」







 私は大きく深呼吸を一つしてから、大地に跪きふかふかの土に手を置いた。

 何もないところ──無から有(う)み出す時には、こうやって有る物を触って有る物を活かす形で力を込める方が効率がいい事は既に実証済みだった。



 大きくふぅ~と一つ息を吐く。




 また一つ大きく息を吸い込んでから……
 ふぅ~と二つめの息を吐いて──

 私は目の前にある畑一面に、花を咲かせる様に力を込める。


 ぶわぁっと音がしそうな程、いっせいに土から芽が出た──かと思うとそのまま、グーっと茎が伸び……ポポポポポンと花が咲いていく。


 ──目の前には一面のオクラの花だ。






「やった! 成功しました!!」



 オクラは開花から三日から五日ほどで収獲出来る。
 ナスと同じで花が咲けば、必ず実がなる家庭菜園初心者に向いている植物だ。

 前世の実家でも庭に植えていて、花が咲いてすぐに食べられるので気に入っていた。


「アレックス様! 私やりました!」
「ああ」


「喜んでいるところ、ごめんねフローラ。これは何の花なの?」
「オリビア様! これはオクラです!」

「「「オクラ??」」」


 三人揃って首をかしげているので、この世界にはないのかもしれないし、この国にないだけかもしれない。
 でも、そんな事は問題じゃないのだ!


「見ていてくださいね。明後日には早ければ収獲出来ます。明後日はオクラパーティーです!」



 オクラパーティーって何? とオリビア様が笑っているので、説明しようと立ち上がろうとしたら、身体がふらついた。

 倒れるっ! と思った瞬間アレックス様が身体を支えてくれる。


「アレックス様。ありがとうございました」
「ああ、力を使った後の事は任されていたからな」


 少し頬を赤くしたまま、私を抱き上げてくれる腕はとても頼りがいがある。やっぱり、アレックス様は素敵だ。


 オリビア様もアレックス様も心配そうな様子で私を覗き込んでくる


「部屋で休むか?」
「いいえ! 少し休めば……このくらいなら全然平気です。それよりも、さっき言ってた竜の山を見に行きたいです!」


 興奮ぎみにそう答えると、三人は一瞬ぽかんとしてから笑い──


 そしてアレックス様に抱えられたまま、竜の山に向かったのだった。








    
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