Lv1の最強勇者

レル

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第三章

【第52話】帰想本能

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皆が急いで庭にでていき、そこで見たものは
庭にできた大きな窪みから魔力を帯びたモヤが這い出て来ている所だった

「何よ、あれ…」

「安心しろ、あれは俺が相手をする」

そう言ってシュウヤが刀を抜きながら歩み寄っていく

「どうやったか知らないが、死に損ないが見苦しい
さっさと消えろ!」

そう言って刀を振るおうとしたシュウヤをケルベロスとフェンリルが妨害した

「グルルルル…」

「アァアウウゥゥ」

モヤは2匹に手を伸ばすとゆっくりと撫でた
2匹は嬉しそうにしている

「2匹が懐いてる?」

「まだ、私にも懐いていないのに……」

アイラは少し悔しそうだ

「弱い癖によく吼える、駄犬ごと消してやろう」

シュウヤは刀を構え直す

「やめて!」

そう言ってステラが手を広げモヤを庇った

「ステラ、俺の邪魔をするのか?」

「うるさい偽物!ご主人は私が守る!」

「ステラ、何を言ってるの!?それがシュウヤだって言うの?」

「ステラ、それはシュウヤではない」

「みんながどうしてもご主人を消すというのなら、私を倒してからにしろ!」

「ステラ、どうしちゃったの?」

「ステラはアレに操られている
大丈夫、ちゃんと分からせるから」

ドンッ

「ギャッ!」

シュウヤの拳がステラのボディに深く決まる
ステラはその衝撃でモヤのすぐ横まで飛んでいった

「手加減はした、洗脳を解くのはヤツを消した後だ
それまで眠っていろ」 



「アァ、アアァァァ…」
(ステラ…ってダレダ!?)

「すいません、ご主人
私、じゃ、ご主人を守れませんでした」

(よく分からない。けど、この人を傷つけたアイツは許さない!)

モヤの色が黒く深くなる

「ハッ!とうとう本性を表したな化物め!」

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」

ギュッ 
手を掴まれた

「ダメ、忘れちゃ。ダメ
自分を見失わないで……」

「………………」

(少し思い出した。俺のやるべき事、やらなきゃいけない事は!)

「みんなを、守る事!」

モヤが弾け、俺の身体が構築されていく

「ありがとう、止めてくれて」

ステラは笑って気を失った
そこに立っていたのは紛れもない
柊夜だった
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