Lv1の最強勇者

レル

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第四章

【第67話】正規の裏技

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「ねぇねぇ!なんで言ってくれなかったの!」

ギルドを出てからというもの、リオはしつこく迫ってくるようになった
それというのも俺がSランクというのがバレてしまったから

「何故って?そんな偉い人って最初から分かってたら女将さんとか怯えるだろ?
俺は普通に接してもらいたいんだよ」

「大丈夫だよ!シュウヤさんは親しみやすいし!そんな感じ全然ないよ!」

「あ、そですか」

なんだが嬉しいような悲しいような…

ギルドの他に用が無かった俺達はその後、街にある店や露店などを回った

ある程度色々な物を買ったり食べたりした後にリオは、ハッとした顔で振り返った

「…そう言えば、私お金払ってない」

いやいや今更かよ!

「大丈夫、俺が全部払ってあるから
気にせずもう少し回ろう」

「え、でも…」

「ほら、いいからいいから!」

そう言いつつ次の店に行こうとした時、城の方で爆発が起こり、沢山の小石が飛んできた
周りにいた人達は何事かとざわめき、あっという間に城の方に向かって人の波ができた

俺はリオが流されないように手を引きギリギリの所で路地に滑り込む

「…おいおい、城壊すなんて聞いてないぞ?」

「ねぇ!私達も行ってみよう!」

「やめとけやめとけ、行ったところで人だかりで見えないし
それに今回は事故だ」

「なんで見て無いのに事故だって分かるの!」

「あー、まぁなんというか
つまり冒険者の勘ってやつかな
とりあえず1回宿に戻って街が落ち着くまで待とうぜ」

リオのは渋々ながら頷いてくれた

宿屋に戻ると女将さんが飛び出してきた
聞くとかなり多くの人が城前に押し寄せた為、何人か怪我人が出たらしい

「じゃあ、俺は部屋で今日買った物を整理してるんでなんかあったら呼んでください」

「シュウヤさん、ありがとうね
娘を守ってくれて」

「いえいえ、大した事じゃありませんよ」

そう言って二階に上がり、自分の部屋の扉を開けると先客がベットに横になっていた
その横では何やら小学生程の子供が看病している

「ちょっと、城壊すのはやり過ぎだろ
おかげで露店回り切れなかったじゃないか!」

「すまないな、予想外の事が起こって
いいニュースと悪いニュースがあるんだがどっちから聞きたい?」

「んじゃ、いいニュースから」

「いいニュースは国王から特に損害も無く力を取り戻せた」

「悪いニュースは?」

「力を取り戻した後に乱入された奴に力と俺のLvを取られた
しかもそいつは日本人だ」

「…マジで?って事はこいつはナナシか!?」

小学生はコクンと頷いた

「あぁ、更に言えば
あいつは俺から奪った力で全て揃ったと言っていた
つまりは他の力を全て持っていると言うことだ」

「なんだよそれ、一大事じゃんかよ」

「そうだ、一大事だ
それでひとつ提案がある
今ここで俺を殺せ」

「え?なんで!?」

「今の俺は本物のLv1だ、これでは何の役にも立たない
俺が負けたんだ、今のお前も勝てない
幸いにも俺のスキルは何も盗られていなかった
俺を殺せばスキルのEXPはお前に入るはずだ
少しでも足しにしてくれ」

「いいのか?」

「あぁ、元々俺はこの世界に存在すらしなかった
お前のおかげで少しだけでもこの世界で生きれて楽しかったよ
しかし、もう充分だ」

そうは言っても自分の片割れを殺すと言うのは何とも言えない気持ちだな

「さっさと殺ってくれよ
奴がいつ来るか分からない」

「すまない、キセラギに頼んで次は俺の子供として会おうぜ」

「それも面白そうだ」

俺は刀を振り下ろしシュウヤの首を落とす
頭を落とされた体はだんだんと透けていき
体が完全に消えた時、力がみなぎる感じがした

EXP  13獲得
スキルLvが上がりました
アイテム:【シュウヤの記憶】を獲得しました
称号を獲得しました
・自分殺し
・意思を継ぐ者
・異端者
・異常者


称号の異端者は認めよう
しかし、異常者は認めねぇ!

俺は早速【シュウヤの記憶】を使用して今日あった事を見てみた

「はぁ、元々1人の筈なのに、なんだか変な感じだ」

「そうだよな、なんだが気持ち悪い気がする」

その声で振り返るとそこにはシュウヤが立っていた

「おまっ!なんでいるんだ!?
俺には確かにEXP入ったぞ!!」

「うーん、俺もよくわかんないんだよね
あ、俺のステータスも戻って、さっきの分上がってる」

ん?これはもしかして?

「なぁ、今俺アイツを倒す最高の策を思いついたんだが…」

「奇遇だな、俺もだよ」

そう言って俺達は笑った

この時の笑顔は悪戯を考えた子供のように悪い笑顔だったと、後にナナシは語っている
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