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第四章:深淵より来たる水曜日
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一連の書類の処理が終り、「協会」の事務職、槇屋降杏が退席する。玄関まで菊子、酒井、蒲田が見送る中、客間に残った柾木は信仁に聞く。
「送ってったりしないんですか?」
「いや、なんか、銀座で買い物していくからいいって、行きの車の中で」
信仁の答えに、巴が皮肉を被せる。
「あんたの運転に酔ったのよきっと」
「いやあ、照れるなぁ」
「酔わせるの意味が違う!」
すぱーんと、巴の平手打ちが信仁の後頭部にツッコむ。
「えーと、信仁君、こんな時になんだけど、改めて紹介してもらえるかな?」
後頭部を押さえる信仁に、柾木が尋ね直す。
「あ、そうですね。こちらが鰍ちゃんの上の姉の巴さん、隣が次女の馨さんです。姐さんと馨ちゃん、あちらが北条柾木さん、隣は西条玲子さんです」
「どうも、妹とこのバカが大変ご迷惑おかけしまして」
ごつん。
右手で信仁の頭をテーブルに押しつけながら巴が、馨もそれに習って頭を下げる。
「いえいえ、迷惑というか何というか」
脳天撃ち抜かれて、迷惑とかそういうレベルじゃないけど、それはまあ不可抗力だし。こうして体は元通りになってるし、今更蒸し返す話でもないしなぁ……柾木は、どう答えたものか迷う。
「初めまして、西条玲子です。今後ともよろしくお願いします」
その柾木に被せて、絶妙なタイミングで玲子が挨拶を返す。
「鰍さんと信仁さんには大変お世話になりました。どうぞお気になさらずに」
ナイスアシスト。柾木は心の中で玲子に手を合わせる。
「……そうですか?そうおっしゃるなら、まあ」
「はい、お気になさらず。それよりも、聞いてもよろしゅうございまして?ご姉妹でいらっしゃるのは分かりましたが、信仁さんはどのようなご関係でいらっしゃいますの?」
ああ、そう言えばあの時、玲子さんはちょっとだけ拗ねて話聞いてなかったんだっけ。柾木は、ノーザンハイランダー号に突入する直前のあれこれを思い出す。
「信仁兄は姉貴の彼氏よ。この夫婦漫才見てて飽きないけど、一体姉貴の何が良くて粉かけたんだか」
にたーっと笑って、馨が口を開いた。
「馨!」
「ね、信仁兄、実際どこが良かったの?」
「うーん……」
腕を組んで真剣に考え……るふりをした信仁が、顔を上げて、
「……尻?」
ごん。
巴の右ストレートに、信仁はソファに沈む。
「ね、見てて飽きないでしょ?」
「馨ぅ!」
ああ、見た目は似てないけど、これは確かに鰍さんの姉妹、つか円さんの孫だ。いろんな意味で目をまん丸にしている――ベールに隠れて目は見えないが――玲子を横目に見ながら、柾木は、理屈じゃ無い部分で理解した。
「お、若い人同士もう打ち解けてますな」
槇屋降を送り出して戻ってきた酒井が、ドアから入りざまに柾木達に声をかけた。続いて、蒲田と菊子も入ってくる。
「若いって。酒井さんも充分まだお若いでしょう?はい」
「酒井さん、おいくつなんですか?」
蒲田のツッコミを真に受けて、菊子が尋ねる。
「え、いや、三十三ですが」
「まあ、充分お若いじゃないですか」
少なくとも戦前から稼働しているオートマータにそう言われるのって、どうなんだろう?酒井は微かな疑問を感じる。
「そういえば、皆さんは大学生でしたっけ?」
「協会」メンバーに向き直った蒲田が聞く。
「はい、俺と馨ちゃんは二年、姐さんは三年です」
「ああ……それで」
いつの間にか復活した信仁の返答に、蒲田は何かに納得したように返事をする。酒井も柾木も、その瞬間に色々なものが氷解するのを感じた。
「皆さん、準備が大体出来ました、下に来て下さい」
その時、壁面のモニタの右下部分に、地下の実験室のいおりからの呼び出し映像が映し出された。
「ところで、凄く根本的な質問なんですが」
階段を降りつつ、蒲田が巴と馨に聞く。
「いや、お気を悪くしないで欲しいのですが。あの首運ぶのに、ずいぶん物々しいと感じたのですが、はい。お二人が必要なほど危険なものなのですか?」
「ああ、別にアレは全然問題ないらしいですけど」
スーパーロングの栗毛を揺らせて振り向き、馨が答える。
「ばーちゃんが、警察の人がこないだの話聞きたがってるからお前ら行って面通して来いって」
四人目確定。酒井は、これで疑問が一つ解決した事を感じた。
酒井や蒲田、柾木より背の高い、しかしいかにもスポーツをやってそうな引き締まった体とキレの良い動きをする、太めの眉と吊り気味の目元の馨は、健康的な魅力のほとばしる満面の笑みで言葉を続けた。
「あたしも姉貴も、ちゃんと手加減したんですから。死人は出てないっしょ?」
地下実験室では、いおりが計測器の配線を確認していた。
「あ、皆さんいらっしゃいましたか」
気配に気付いたのか、いおりが振り向いた。
「ちょっと待って下さいね、もうすぐ仕上がりますから」
見れば、二つ並べた作業台の上に、片側はエータが、もう片方は部品をそれらしく並べたラムダ3号機が横たわっている。柾木にとって見慣れた、エータの首の後ろから延びるケーブルは複数の計測器と、一部はラムダの作業台に置いてあるラムダの首、口を半開きにした元ヤクザの生首に繋がっている。
「うわぁ……これ、牛乳吐いたりしないですよね?」
違う何かを思い出して、信仁がいおりに聞く。
「牛乳?」
質問の意味が分からず、いおりは聞き返す。
「?、袴田、どうしました?」
「……いえ、何でもありません……」
それまでは別室に控え、主人が終わった後の自分たちの昼食と休憩を取っていた時田と袴田も玲子に続いて階下に降りてきたが、その生首が目に入った途端に信仁の一言で不意打ちを食らったらしい袴田が、肩をふるわせて後ろを向いた。
「……俺、あの人と友達になれそうな気がする」
「やめたげなさい」
袴田を見て呟く信仁に、巴が肘鉄を入れた。
「送ってったりしないんですか?」
「いや、なんか、銀座で買い物していくからいいって、行きの車の中で」
信仁の答えに、巴が皮肉を被せる。
「あんたの運転に酔ったのよきっと」
「いやあ、照れるなぁ」
「酔わせるの意味が違う!」
すぱーんと、巴の平手打ちが信仁の後頭部にツッコむ。
「えーと、信仁君、こんな時になんだけど、改めて紹介してもらえるかな?」
後頭部を押さえる信仁に、柾木が尋ね直す。
「あ、そうですね。こちらが鰍ちゃんの上の姉の巴さん、隣が次女の馨さんです。姐さんと馨ちゃん、あちらが北条柾木さん、隣は西条玲子さんです」
「どうも、妹とこのバカが大変ご迷惑おかけしまして」
ごつん。
右手で信仁の頭をテーブルに押しつけながら巴が、馨もそれに習って頭を下げる。
「いえいえ、迷惑というか何というか」
脳天撃ち抜かれて、迷惑とかそういうレベルじゃないけど、それはまあ不可抗力だし。こうして体は元通りになってるし、今更蒸し返す話でもないしなぁ……柾木は、どう答えたものか迷う。
「初めまして、西条玲子です。今後ともよろしくお願いします」
その柾木に被せて、絶妙なタイミングで玲子が挨拶を返す。
「鰍さんと信仁さんには大変お世話になりました。どうぞお気になさらずに」
ナイスアシスト。柾木は心の中で玲子に手を合わせる。
「……そうですか?そうおっしゃるなら、まあ」
「はい、お気になさらず。それよりも、聞いてもよろしゅうございまして?ご姉妹でいらっしゃるのは分かりましたが、信仁さんはどのようなご関係でいらっしゃいますの?」
ああ、そう言えばあの時、玲子さんはちょっとだけ拗ねて話聞いてなかったんだっけ。柾木は、ノーザンハイランダー号に突入する直前のあれこれを思い出す。
「信仁兄は姉貴の彼氏よ。この夫婦漫才見てて飽きないけど、一体姉貴の何が良くて粉かけたんだか」
にたーっと笑って、馨が口を開いた。
「馨!」
「ね、信仁兄、実際どこが良かったの?」
「うーん……」
腕を組んで真剣に考え……るふりをした信仁が、顔を上げて、
「……尻?」
ごん。
巴の右ストレートに、信仁はソファに沈む。
「ね、見てて飽きないでしょ?」
「馨ぅ!」
ああ、見た目は似てないけど、これは確かに鰍さんの姉妹、つか円さんの孫だ。いろんな意味で目をまん丸にしている――ベールに隠れて目は見えないが――玲子を横目に見ながら、柾木は、理屈じゃ無い部分で理解した。
「お、若い人同士もう打ち解けてますな」
槇屋降を送り出して戻ってきた酒井が、ドアから入りざまに柾木達に声をかけた。続いて、蒲田と菊子も入ってくる。
「若いって。酒井さんも充分まだお若いでしょう?はい」
「酒井さん、おいくつなんですか?」
蒲田のツッコミを真に受けて、菊子が尋ねる。
「え、いや、三十三ですが」
「まあ、充分お若いじゃないですか」
少なくとも戦前から稼働しているオートマータにそう言われるのって、どうなんだろう?酒井は微かな疑問を感じる。
「そういえば、皆さんは大学生でしたっけ?」
「協会」メンバーに向き直った蒲田が聞く。
「はい、俺と馨ちゃんは二年、姐さんは三年です」
「ああ……それで」
いつの間にか復活した信仁の返答に、蒲田は何かに納得したように返事をする。酒井も柾木も、その瞬間に色々なものが氷解するのを感じた。
「皆さん、準備が大体出来ました、下に来て下さい」
その時、壁面のモニタの右下部分に、地下の実験室のいおりからの呼び出し映像が映し出された。
「ところで、凄く根本的な質問なんですが」
階段を降りつつ、蒲田が巴と馨に聞く。
「いや、お気を悪くしないで欲しいのですが。あの首運ぶのに、ずいぶん物々しいと感じたのですが、はい。お二人が必要なほど危険なものなのですか?」
「ああ、別にアレは全然問題ないらしいですけど」
スーパーロングの栗毛を揺らせて振り向き、馨が答える。
「ばーちゃんが、警察の人がこないだの話聞きたがってるからお前ら行って面通して来いって」
四人目確定。酒井は、これで疑問が一つ解決した事を感じた。
酒井や蒲田、柾木より背の高い、しかしいかにもスポーツをやってそうな引き締まった体とキレの良い動きをする、太めの眉と吊り気味の目元の馨は、健康的な魅力のほとばしる満面の笑みで言葉を続けた。
「あたしも姉貴も、ちゃんと手加減したんですから。死人は出てないっしょ?」
地下実験室では、いおりが計測器の配線を確認していた。
「あ、皆さんいらっしゃいましたか」
気配に気付いたのか、いおりが振り向いた。
「ちょっと待って下さいね、もうすぐ仕上がりますから」
見れば、二つ並べた作業台の上に、片側はエータが、もう片方は部品をそれらしく並べたラムダ3号機が横たわっている。柾木にとって見慣れた、エータの首の後ろから延びるケーブルは複数の計測器と、一部はラムダの作業台に置いてあるラムダの首、口を半開きにした元ヤクザの生首に繋がっている。
「うわぁ……これ、牛乳吐いたりしないですよね?」
違う何かを思い出して、信仁がいおりに聞く。
「牛乳?」
質問の意味が分からず、いおりは聞き返す。
「?、袴田、どうしました?」
「……いえ、何でもありません……」
それまでは別室に控え、主人が終わった後の自分たちの昼食と休憩を取っていた時田と袴田も玲子に続いて階下に降りてきたが、その生首が目に入った途端に信仁の一言で不意打ちを食らったらしい袴田が、肩をふるわせて後ろを向いた。
「……俺、あの人と友達になれそうな気がする」
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